ちく‐せき【蓄積】例文一覧 30件

  1. ・・・ たとい彼らにとって当面には、そして現実身辺には、合理的知性の操練と、科学知の蓄積とが適当で、かつユースフルであろうとも、彼らの宇宙的存在と、霊的の身分に関しては、彼らが本来合理的平民の子ではなくして、神秘的の神の胤であることを耳に吹き・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  2. ・・・逝去二年後に発表のこと、と書き認められた紙片が、その蓄積された作品の上に、きちんと載せられているのである。二年後が、十年後と書き改められたり、二カ月後と書き直されたり、ときには、百年後、となっていたりするのである。次男は、二十四歳。これは、・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  3. ・・・逝去二年後に発表のこと、と書き認められた紙片が、その蓄積された作品の上に、きちんと載せられているのである。二年後が、十年後と書き改められたり、二ヶ月後と書き直されたり、ときには、百年後、となっていたりするのである。 次男は、二十四歳。こ・・・<太宰治「ろまん燈籠」青空文庫>
  4. ・・・そこいらの漁師の神さんが鮪を料理するよりも鮮やかな手ぶりで一匹の海豹を解きほごすのであるが、その場面の中でこの動物の皮下に蓄積された真白な脂肪の厚い層を掻き取りかき落すところを見ていた時、この民族の生活のいかに乏しいものであるかということ、・・・<寺田寅彦「映画雑感6[#「6」はローマ数字、1-13-26]」青空文庫>
  5. ・・・こういうアメリカ映画が日本の婦人の思想に及ぼす蓄積的な影響は存外ばかにならないであろうという気がした。 「映画と道徳」という一つの大きなテーマが暗示される。この映画や、それからたとえばせんだっての「人生の設計」なども、この大きな問題を考・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  6. ・・・ ある哲学者が多年の間にたくさんの文献を渉猟して収集し蓄積した素材の団塊から自身の独創的体系を構成する場合があるであろう。科学者でも同様な場合があるであろう。そういう場合に寄り集まった材料が互いに別々な畑から寄せ集められたものである以上・・・<寺田寅彦「空想日録」青空文庫>
  7. ・・・そうして学問の資料が蓄積される。 このような知識は、それだけでは云わばただ物置の中に積み上げられたような状態にある。それが少数であるうちはそれでもよい。しかし数と量が増すにつれて整理が必要になる。その整理の第一歩は「分類」である。適当に・・・<寺田寅彦「言語と道具」青空文庫>
  8. ・・・ それは脳に徐々の出血があって、それがだんだんに蓄積して内圧を増す、それにつれて脈搏がはじめはだんだん昂進して百二十ほどに上がるが、それでも当人には自覚症状はない。それから脈搏がだんだん減少して行き、それが六十ぐらいに達したころに急に卒・・・<寺田寅彦「鎖骨」青空文庫>
  9. ・・・ そういう特別な場合の記憶だけが残存蓄積するせいもあろう。捜してすぐにあった場合は忘れるからである。 しかし、また、実際、特別緊急な捜しものをする場合には、心にこだわりがあって、自由な観察と認識の能力がいくぶん減退しているためもたし・・・<寺田寅彦「錯覚数題」青空文庫>
  10. ・・・ これもやはり、他の多くの場合と同様に自分の注目し期待する特定の場合の記憶だけが蓄積され、これにあたらない場合は全然忘れられるかあるいは採点を低くして値踏みされるためかもしれない。しかし必ずしもそういう心理的の事実のみではなくて、実際に・・・<寺田寅彦「時事雑感」青空文庫>
  11. ・・・これに反して偶然変異がそのままに保存され蓄積し増長する多くの場合には不規則な花形、「ひとで」形等になる。このほうが普通だとも考えられる。そうして、ある週期のものだけが特に助長されるような条件が加われば規則正しい放射像となるというふうに考えら・・・<寺田寅彦「自然界の縞模様」青空文庫>
  12. ・・・ 地殻の歪みが漸次蓄積して不安定の状態に達せる時、適当なる第二次原因例えば気圧の変化のごときものが働けば地震を誘発する事は疑いなきもののごとし。故に一方において地殻の歪みを測知し、また一方においては主要なる第二次原因を知悉するを得れば地・・・<寺田寅彦「自然現象の予報」青空文庫>
  13. ・・・それでたとえばわれらの祖先のある時代に芋虫や毛虫を食ってひどい目に会ったという経験が蓄積しそれが遺伝した結果ではないかという気もするが、そうした経験の記憶が遺伝しうるものかどうか自分は知らない。ただそんなことでも考えなければちょっと他に説明・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  14. ・・・ 故意に、また漂流の結果自由意志に反してこの国土に入り込んで住みついた我々の祖先は、年々に見舞って来る颱風の体験知識を大切な遺産として子々孫々に伝え、子孫は更にこの遺産を増殖し蓄積した。そうしてそれらの世襲知識を整理し帰納し演繹してこの・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  15. ・・・もっともこの測量には多大の費用がかかるのであるが、それは幸いに帝国学士院や、原田積善会、服部報公会等の財団または若干篤志家の有力な援助によって支弁され、そのおかげで次第に観測資料が蓄積され、その結果はわが国の有為な少壮学者らの手によって逐次・・・<寺田寅彦「地図をながめて」青空文庫>
  16. ・・・その災禍を起こさせたもとの起こりは天然に反抗する人間の細工であると言っても不当ではないはずである、災害の運動エネルギーとなるべき位置エネルギーを蓄積させ、いやが上にも災害を大きくするように努力しているものはたれあろう文明人そのものなのである・・・<寺田寅彦「天災と国防」青空文庫>
  17. ・・・いう、その人の身は、必ず学校より出でたる者にして、少小教育の所得を、成年の後、殖産の実地に施し、もって一身一家の富をいたしたる者にして、世に名声も香しきことなれども、少壮の時より政府の官につき、月給を蓄積して富豪の名を成したる者あるを聞かず・・・<福沢諭吉「慶応義塾学生諸氏に告ぐ」青空文庫>
  18. 〔冒頭原稿一枚?なし〕以外の物質は、みなすべて、よくこれを摂取して、脂肪若くは蛋白質となし、その体内に蓄積す。」とこう書いてあったから、農学校の畜産の、助手や又小使などは金石でないものならばどんなものでも片っ端から、持っ・・・<宮沢賢治「フランドン農学校の豚」青空文庫>
  19. ・・・また、過去のすべての文化的蓄積を最も革命的に利用し得るよう自身を鍛え洗われたものとし、世界観の隅々までをプロレタリアに組織するためには、先ず、文化啓蒙活動をとおしてあらゆる機会に勤労大衆と接触しその一員となることこそ、正しい第一歩であること・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  20. ・・・高利貸資本を蓄積して徳川中葉から経済力を充実させて来た大阪や江戸の大町人が、経済の能力にしたがって人間らしい自分の欲望を発揮するためにはさまざまの苦肉策がとられた。大名、武家に対して町人の服装は制限されていたから、表は木綿で裏には見事な染羽・・・<宮本百合子「偽りのない文化を」青空文庫>
  21. ・・・それだのに、こういう独創性や能力は社会的に日本の生産に現れた婦人の地位を高める条件としては、ちっとも蓄積されていない。 例えば今日ではもう昔の物語になってしまった琉球のあの美しい絣織物にしても染めの技術にしても今はみんな壊れてしまってな・・・<宮本百合子「衣服と婦人の生活」青空文庫>
  22. ・・・ 戦争のある段階まで、いわゆる作家的成長欲やその本質を自問しないで、ただ経験の蓄積を願う古い自然主義風な現実主義から少なからぬ作家たちが国内、国外にあれこれ動員された。ところが、戦争が進むにつれ、軍そのものが、偽りで固めた人民むけ報道の・・・<宮本百合子「歌声よ、おこれ」青空文庫>
  23. ・・・そして、今日かあるいは明日科学の常識がそこまで成長したということのかげにこそファーブルの努力の意味が生きているというのは人類の知識の蓄積されてゆく上の何と感慨深い過程だろう。 第十四話、毛生動物の話は、やはりアメリカの生んだ著名な野生動・・・<宮本百合子「科学の常識のため」青空文庫>
  24. ・・・ 音楽は文学よりもおくれて入っているから理論的・感性的蓄積が未だ決して豊富でない。それに音楽というもの、音の不断の刺戟というものが人間の頭脳に生理学の上からどう影響するものか、非常に研究されるべき神経学、心理学のテーマがあるとも思われま・・・<宮本百合子「期待と切望」青空文庫>
  25. ・・・まだその頃、稲子さんの過去の生活にどんな階級的な蓄積があるかということなどについて私は殆ど全く知らなかったから、ごく普通に考えて、私は自分が稲子さんより年上だし劬って上げなければならないという気がしていたのであった。そのことを考えると、私は・・・<宮本百合子「窪川稲子のこと」青空文庫>
  26. ・・・人間が人間を生かし殺す力の媒介物たる金銭というものの魔術性をあらわにし、それが近代社会を支配する大怪物として蓄積されてゆく過程を明らかにして、人間性の勝利の実質、生産する者が生産を掌握することの自然さを示した社会科学者たちの業績と、それを実・・・<宮本百合子「現代の主題」青空文庫>
  27. ・・・主題の強化、題材の蓄積、整理、筋の組立て。それらのためには時間がいる。 文学はその点で、特に小説は、絵画と非常に違う。現に五ヵ年計画第二年目の一九三〇年に見ても、絵画には既に相当五ヵ年計画がもりこまれている。戯曲も、農村の集団化と都会の・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  28. ・・・そして、そういう力なしに大きい作品は書けないのだが、私は自分が過去二三年の間、そのひろくて、熱のある想像力の土台の蓄積のために随分身を粉にしたし、そのおかげで今日自身が仮令僅かなりともそういう文学上の力を再び我ものにしたことを実感しているの・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  29. ・・・全体として体力を蓄積なさることが大切ですから、読書なども平常よりは用心してなさいますように。 皆からよろしく。きょうの太郎は眠くって失礼。でも思いがけなかったでしょう。[自注1]中條咲枝より――発信人は咲枝となっているが、百・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  30. ・・・その絶間なく小さい狡いことをされる顧客の大部分がまた過去に於てせくせく蓄めた金をもって引込んで来た人間の、現在中流的偏見に満ちて社会的地位や財産を蓄積しつつある者なのは面白い。天から見たら苦笑される鼬ごっこだ。大体、郊外の住宅地というものは・・・<宮本百合子「是は現実的な感想」青空文庫>