ち‐めい【知名】例文一覧 18件

  1. ・・・とか云うので、画家は知名の人でも何でもなかった。また画そのものも、ただ濁った水と、湿った土と、そうしてその土に繁茂する草木とを描いただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り一顧さえも受けなかった事であろう。 その上不思議な事にこの画・・・<芥川竜之介「沼地」青空文庫>
  2. ・・・梅水の主人は趣味が遍く、客が八方に広いから、多方面の芸術家、画家、彫刻家、医、文、法、理工の学士、博士、俳優、いずれの道にも、知名の人物が少くない。揃った事は、婦人科、小児科、歯科もある。申しおくれました、作家、劇作家も勿論ある。そこで、こ・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  3. ・・・が、少年の筆らしくない該博の識見に驚嘆した読売の編輯局は必ずや世に聞ゆる知名の学者の覆面か、あるいは隠れたる篤学であろうと想像し、敬意を表しかたがた今後の寄書をも仰ぐべく特に社員を鴎外の仮寓に伺候せしめた。ところが社員は恐る恐る刺を通じて早・・・<内田魯庵「鴎外博士の追憶」青空文庫>
  4. ・・・と直ぐ御承知の、そして眉をひそめらるる者も随分あるらしい程の知名な老人である。 さて然らば先生は故郷で何を為ていたかというに、親族が世話するというのも拒んで、広い田の中の一軒屋の、五間ばかりあるを、何々塾と名け、近郷の青年七八名を集めて・・・<国木田独歩「富岡先生」青空文庫>
  5. ・・・ つい近ごろになってある新聞にいろいろなペットの話が連載されているうちに知名の某家の猫のことが出ていて、その三匹の猫の写真が掲載されていた。そのうちの一匹がどうも前述のいわゆるアンゴラに似ているように思われた。これだけでは何も問題にはな・・・<寺田寅彦「ある探偵事件」青空文庫>
  6. ・・・手紙を読んでみると、先ず最初に自分の経歴を述べ、永年新聞社の探訪係を勤めていたということを書いたあとで、小説家や戯曲家はみんなどこかから種を盗んで来てそれを元にして自分の原稿をこしらえるのだが、自分は知名の文士の誰々の種の出所をちゃんと知っ・・・<寺田寅彦「随筆難」青空文庫>
  7. ・・・然るに現今幾百を数える知名の画家殊に日本画家中で少なくも真剣にこういう努力をしている人が何人あるかという事は、考えてみると甚だ心細いような気がする。それで津田君のこの点に対する努力の結果が既にどこまで進んでいるかは別問題としても、そういう態・・・<寺田寅彦「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」青空文庫>
  8. ・・・手に取って見るとそれは知名の某俳人の句集であったが、その青年のいうところによると、その俳人がこの人のためにもし何かのたしになるならと言って若干冊だけ恵与されたものだそうである。しかしそれをどうすればよいのかわからなかったので、はなはだ露骨で・・・<寺田寅彦「俳諧瑣談」青空文庫>
  9. ・・・これに反して驚くべく大きな見出しで出ているものの内で、知名の人の死に関する詳細な記事とか、外国から来た貴賓の動静とかはまだいいとしたところで、それらよりももっと今の新聞の特色として目立っているものは、この世の中にありとあらゆる醜悪な「罪」に・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  10. ・・・         七 知名の人の葬式に出た。 荘厳な祭式の後に、色々な弔詞が読み上げられた。ある人は朗々と大きな声で面白いような抑揚をつけて読んだが、六かしい漢文だから意味はよく分らなかった。またある人は口の中でぼしゃぼ・・・<寺田寅彦「鑢屑」青空文庫>
  11. ・・・尤も先生がこれら知名の人の名を挙げたのは、辞任の必ずしも非礼でないという実証を余に紹介されたまでで、これら知名の人を余に比較するためでなかったのは無論である。 先生いう、――われらが流俗以上に傑出しようと力めるのは、人として当然である。・・・<夏目漱石「博士問題とマードック先生と余」青空文庫>
  12. ・・・それから、現今の露西亜文壇の趨勢の断えず変っている有様やら、知名の文学者の名やら、日本の小説の売れない事やら、露西亜へ行ったら、日本人の短篇を露語に訳して見たいという希望やら、いろいろ述べた。何しろ三人寝そべって、二三時間暮らしていたのだか・・・<夏目漱石「長谷川君と余」青空文庫>
  13. ・・・進歩党その他の婦人代議士も、大体元代議士夫人、女流教育家、社長夫人、娘、重役、病院長、婦人会関係の知名婦人等が多数を占めていることは注目される。僅かに社会党の山崎道子氏が、多年社会事業方面の事業の経験者であり、共産党の柄沢とし子氏が、労働組・・・<宮本百合子「一票の教訓」青空文庫>
  14. ・・・彼の妻で、知名なダンサーであるラタン・デビーのことなどをきいているところへ、女中が名刺を取次ぎ、一人の客を案内して来た。その顔を何心なく見、“Glad to see you”と云いながら、自分は思いがけない心地がした。 この人は、先赤門・・・<宮本百合子「思い出すこと」青空文庫>
  15. ・・・特に知名な科学者の随筆などが求められる傾きがつよくあった。注意をひかれざるを得ないのは、一部の科学者をジャーナリズムに招き出したこの時期は、読書人の間に随筆が迎えられた時、内田百間氏が「百鬼園随筆」によって第一段の債鬼追っ払いをした時代であ・・・<宮本百合子「作家のみた科学者の文学的活動」青空文庫>
  16. ・・・ 或る知名な技術家に十六七の娘さんがいて、そのひとは数学が大変すきだ。女学校へ入った頃から特別に指導者をもってよろこんでその道を辿り、現在では高等数学の相当のところまで行っている。その娘さんが女学校を出てから更に専門の教育をうけて、婦人・・・<宮本百合子「市民の生活と科学」青空文庫>
  17. ・・・嘗て、或る知名な女流歌人が右のような行為に出た時、都下の或る大新聞は、文化の最高指導者たるべき紙面を、全部その報告、ドキドキさせるようなロマンチック・センセーションで埋めまでした。寧ろ、悲惨な心持がせずにはいない。それほど、皆が心を動顛させ・・・<宮本百合子「深く静に各自の路を見出せ」青空文庫>
  18. ・・・自然の起伏を利用した規則正しい区画、東と西の大通りを縁どる並木、自動車路など、比較的落付いた趣があったので、知名な俳優や物持ちが別宅などを建てた。石川は、そのようにしてだんだん××町が開けて行く草分から町の入口――よく小さい別荘地の入口に見・・・<宮本百合子「牡丹」青空文庫>