ちゃち例文一覧 5件

  1. ・・・折井は神田でちゃちな与太者に過ぎなかったが、一年の間に浅草の方で顔を売り、黒姫団の団長であった。浅草へゆくと、折井は簪を買ってくれたり、しるこ屋へ連れて行ってくれたり、夜店の指輪も折井が買うと三割引だった。「こんな晩くなっちゃ、うちへ帰・・・<織田作之助「妖婦」青空文庫>
  2. ・・・おのれ。ちゃちな小利巧の仲間。 大学生たちをどんどん押しのけ、ようやく食堂の入口にたどりつく。入口には小さい貼紙があって、それにはこう書きしたためられていた。 ――きょう、みなさまの食堂も、はばかりながら創業満三箇年の日をむかえまし・・・<太宰治「逆行」青空文庫>
  3. ・・・かたちの間抜けにしんから閉口して居ると、私の中のちゃちな作家までが顔を出して、「人間のもっとも悲痛の表情は涙でもなければ白髪でもなし、まして、眉間の皺ではない。最も苦悩の大いなる場合、人は、だまって微笑んでいるものである。」虫の息。三十分ご・・・<太宰治「狂言の神」青空文庫>
  4. ・・・厳酷、その奥底には、人間の本然の、あたたかい思いやりで一ぱいであるのだが、冷酷は、ちゃちなガラスの器物の如きもので、ここには、いかなる花ひとつ、咲きいでず、まるで縁なきものである。わがかなしみ 夜道を歩いていると、草むらの中・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
  5. ・・・しゅん子なんて、物心地のつかないうちに、もう東京へ来て山形の見事な雪景色を知らないから、こんな東京のちゃちな雪景色を見て騒いでいやがる。おれの眼なんかは、もっと見事な雪景色を、百倍も千倍もいやになるくらいどっさり見て来ているんだからね、何と・・・<太宰治「雪の夜の話」青空文庫>