ちゅう‐こく【忠告】例文一覧 30件

  1. ・・・が、友だちはそれで黙っていても、親戚の身になって見ると、元来病弱な彼ではあるし、万一血統を絶やしてはと云う心配もなくはないので、せめて権妻でも置いたらどうだと勧めた向きもあったそうですが、元よりそんな忠告などに耳を借すような三浦ではありませ・・・<芥川竜之介「開化の良人」青空文庫>
  2. ・・・「拝啓、貴下の夫人が貞操を守られざるは、再三御忠告……貴下が今日に至るまで、何等断乎たる処置に出でられざるは……されば夫人は旧日の情夫と共に、日夜……日本人にして且珈琲店の給仕女たりし房子夫人が、……支那人たる貴下のために、万斛の同情無・・・<芥川竜之介「影」青空文庫>
  3. ・・・「それで僕は美代ちゃんに忠告しようかと思っているんだがね。……」 僕はとうとう口を辷らし、こんな批評を加えてしまった。「それは矛盾しているじゃないか? 君は美代ちゃんを愛しても善い、美代ちゃんは他人を愛してはならん、――そんな理・・・<芥川竜之介「彼」青空文庫>
  4. ・・・いのに、秋の末の十二社、それはよし、もの好として差措いても、小山にはまだ令室のないこと、並びに今も来る途中、朋友なる給水工場の重役の宅で一盞すすめられて杯の遣取をする内に、娶るべき女房の身分に就いて、忠告と意見とが折合ず、血気の論とたしなめ・・・<泉鏡花「政談十二社」青空文庫>
  5. ・・・これを聴かされた日、僕は、帰って来てから吉弥にもっと顔をみがくように忠告した。かの女の黒いのはむしろ無精だからであると僕には思われた。「磨いて見せるほどあたいが打ち込む男は、この国府津にゃアいないよ」とは、かの女がその時の返事であった。・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  6. ・・・いかに深く理解するかによって、その作品は、児童の真の友達となり忠告者となり、最もよき代弁者ともなるのであって、いまゝでの如く強圧することのかわりに、内部的に感奮興起せしむるに至るのであります。常に、いゝ作品は、強いられたる感激でなくして、実・・・<小川未明「新童話論」青空文庫>
  7. ・・・文学を勉強しようと思っている青年が先輩から、まず志賀直哉を読めと忠告されて読んでみても、どうにも面白くなくて、正直にその旨言うと、あれが判らぬようでは困るな、勉強が足らんのだよと嘲笑され、頭をかきながら引き下って読んでいるうちに、何だか面白・・・<織田作之助「大阪の可能性」青空文庫>
  8. ・・・丸刈りにしていった方がよかろうと忠告してくれる人もあったが、私は少々叱られても丸刈りにはなりたくなかったのである。ところが検査場では誰も私の頭髪を咎める者はなかった。ただ身長を計る時、髪の毛が邪魔になるので検査官が顔をしかめただけであった。・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  9. ・・・これが、普通の男なら、おれもあの女だけはよせと忠告するところだが、相手が川那子だから、言っても無駄だと思って黙っていたんだよ」 とかなり手きびしく皮肉ってやったが、お千鶴は亭主のお前によりも、従妹にかんかんになっていたので、おれの言うこ・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  10. ・・・これは僕が友人として忠告するんだがね、そんな処に長居をするもんじゃないよ。それも君が今度が初めてだというからまだ好いんだがね、それが幾度もそんなことが重なると、終いにはひどい目に会わにゃならんぜ。つまり一種の詐欺だからね。家賃を支払う意志な・・・<葛西善蔵「子をつれて」青空文庫>
  11. ・・・まして品行の噂でも為て、忠告がましいことでも言おうものなら、母は何と言って怒鳴るかも知れない。妻が自分を止めたも無理でない。「学校の先生なんテ、私は大嫌いサ、ぐずぐずして眼ばかりパチつかしているところは蚊を捕え損なった疣蛙みたようだ」と・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  12. ・・・に私の上来のいましめはイデアリストに現実的心得を説くよりも、むしろリアリストに理想的純情を鼓吹することをもって主眼としてきたものだけに、現実生活においてなるべく傷を受けないように損をしないようにという忠告は乏しいのだ。実際イデアリストの道は・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  13. ・・・だからさ、それを僕が君に忠告してやる。何か為て、働いて、それから頼むという気を起したらば奈何かね。」「はい。」と、男は額に手を宛てた。「こんなことを言ったら、妙な人だと君は思うかも知れないが――」と自分は学生生活もしたらしい男の手を・・・<島崎藤村「朝飯」青空文庫>
  14. ・・・先輩らしい忠告なんて、いやらしい偽善だ。ただ、見ているより外は無い。 死ぬ気でものを書きとばしている男。それは、いまのこの時代に、もっともっとたくさんあって当然のように私には感ぜられるのだが、しかし、案外、見当たらない。いよいよ、くだら・・・<太宰治「織田君の死」青空文庫>
  15. ・・・という下手な忠告を試みた。彼は、ふんと笑って、いや有難う、と言った。大隅君が渡支して五年目、すなわち今年の四月中旬、突然、彼から次のような電報が来た。 ○オクツタ」ユイノウタノム」ケツコンシキノシタクセヨ」アスペキンタツ」オオスミチユウ・・・<太宰治「佳日」青空文庫>
  16. ・・・それは、私の訪問客ではなく、つねに私のふしだらの、真実の唯一の忠告者であるのだが、その親友は、また、私よりも、ずっとひどい貧乏で、洋服一着あるにはあるけれど、たいていかれの手許にはない。よそにあずけてあるのだ。私は三十円を持って、かの友人の・・・<太宰治「花燭」青空文庫>
  17. ・・・老子の忠告を聞流しているために恐ろしい怪我や大きな損をした個人や国家は歴史のどの頁にもいっぱいである。 桃太郎や猿蟹合戦のお伽噺でさえ危険思想宣伝の種にする先生方の手にかかれば老子はもちろん孔子でも孟子でも釈尊でもマホメットでもどのよう・・・<寺田寅彦「変った話」青空文庫>
  18. ・・・まだ巴里にあった頃わたくしは日本の一友人から、君は頻にフロオベルを愛読しているが、君の筆はむしろドーデを学ぶに適しているようだ、と忠告されたこともあった。二葉亭の『浮雲』や森先生の『雁』の如く深刻緻密に人物の感情性格を解剖する事は到底わたく・・・<永井荷風「正宗谷崎両氏の批評に答う」青空文庫>
  19. ・・・こうもしたらもっと評判が好くなるだろう、ああもしたらまだ活計向の助けになるだろうと傍の者から見ればいろいろ忠告のしたいところもあるが、本人はけっしてそんな作略はない、ただ自分の好な時に好なものを描いたり作ったりするだけである。もっとも当人が・・・<夏目漱石「道楽と職業」青空文庫>
  20. ・・・「痛いに違いないね。忠告してやろうか」「なんて」「よせってさ」「余計な事だ。それより幾日掛ったら、みんな抜けるか聞いて見ようじゃないか」「うん、よかろう。君が聞くんだよ」「僕はいやだ、君が聞くのさ」「聞いても好い・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  21. ・・・通知があったので、さっそく出かけてみると、その座に高等師範の校長嘉納治五郎さんと、それに私を周旋してくれた例の先輩がいて、相談はきまった、こっちに遠慮は要らないから高等師範の方へ行ったら好かろうという忠告です。私は行がかり上否だとは云えませ・・・<夏目漱石「私の個人主義」青空文庫>
  22. ・・・ 我が輩、この忠告の言を案ずるに、ある人の所見において、つまり政治経済学の有用なるは明らかなれども、これを学びて世を害すると否とは、その人に存す。弱冠の書生は、多くは無勘弁にして、その人に非ずということならん。この言、まことに是なり。・・・<福沢諭吉「経世の学、また講究すべし」青空文庫>
  23. ・・・この時にあたりて、世間あるいは君の軽躁を悦ばずして、君に忠告すること、今日、君が我々に忠告するが如き者はなかりしや。当時、君はその忠告を甘受したるか。我々ひそかに案ずるに、君は決してかかる忠告を聴く者に非ず。その忠告者をば内心に軽侮し、因循・・・<福沢諭吉「徳育如何」青空文庫>
  24. ・・・西洋書の内に、子生れてすでに成人に及ぶの後は、父母たる者は子に忠告すべくして命令すべからずとあり。万古不易の金言、思わざるべからず。 さてまた、子を教うるの道は、学問手習はもちろんなれども、習うより慣るるの教、大なるものなれば、父母の行・・・<福沢諭吉「中津留別の書」青空文庫>
  25. ・・・者の、ビジテリアンは人間の感情を以て強て動物を律しようとするというのに対して、私は実に反対者たちは動物が人間と少しばかり形が違っているのに眼を欺かれてその本心から起って来る哀憐の感情をなくしているとご忠告申し上げたいのであります。誰だって自・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  26. ・・・ 同じ婦人民主新聞に、G・H・Qの労働課長シュークリフ女史が、今年義務教育を終った十三万人の女の子の就職について語っている親切な忠告を見くらべると、深い感情にうたれます。シュークリフ女史はいっています。日本の紡績工業者は、新卒業子女の大・・・<宮本百合子「新しい卒業生の皆さんへ」青空文庫>
  27. ・・・日本が民主的な社会となるためには、日本の男も女も、はっきりめいめいの意志と判断とにたってイエスかノーかを表現し、拒絶したいことは、あいまいに笑ってすぎないではっきり拒絶するようにならなければいけないと忠告された。 きょうの生活を考えると・・・<宮本百合子「偽りのない文化を」青空文庫>
  28. ・・・と兜の緒を緊めてくれる母親が涙を噛み交ぜて忠告する。ても耳の底に残るように懐かしい声、目の奥に止まるほどに眤しい顔をば「さようならば」の一言で聞き捨て、見捨て、さて陣鉦や太鼓に急き立てられて修羅の街へ出かければ、山奥の青苔が褥となッたり、河・・・<山田美妙「武蔵野」青空文庫>
  29. ・・・ことを忠告させようとする。彼はさまざまの近代芸術に心を魅せられたが、しかし結局彼の師は、彼がその早い青年時代に感じたごとく、ゲエテでなくてはならない。彼の内にさらにこの師に培わるべき、重大な芽がひそんでいることを、自分は明らかに感じている。・・・<和辻哲郎「享楽人」青空文庫>
  30. ・・・そうして自分たちよりもはるかに深く自然をつかんでいるものに対して、自然に即けと忠告するのである。 すべてこれらのことは彼らの内生の浅薄貧弱から生まれている。彼らの「自己」が浅薄である以上それを「客観化」した彼らの経験が浅薄であるのは当然・・・<和辻哲郎「「自然」を深めよ」青空文庫>