ちゅう‐しょう〔‐シヤウ〕【中傷】例文一覧 14件

  1. ・・・続いて、某銀行内部の中傷記事が原因して罰金三十円、この後もそんなことが屡あって、結局お前は元も子もなくしてしまい無論廃刊した。 お前は随分苦り切って、そんな羽目になった原因のおれの記事をぶつぶつ恨みおかしいくらいだったから、思わずにやに・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  2. ・・・そこへCやDやEやFやGやHやそのほかたくさんの人物がつぎつぎに出て来て、手を変え品を変え、さまざまにBを中傷する。――それから、――AはやっぱりBを信じている。疑わない。てんから疑わない。安心している。Aは女、Bは男、つまらない小説だね。・・・<太宰治「ダス・ゲマイネ」青空文庫>
  3. ・・・是僕をして新聞記者の中傷を顧みず泰然としてカッフェーの卓子に倚らしめた理由の第四である。 僕のしばしば出入したカッフェーには給仕の女が三十人あまり、肩揚のある少女が十人あまり。酒場の番をしている男が三四人、帳簿係の女が五六人、料理人が若・・・<永井荷風「申訳」青空文庫>
  4. ・・・ところが今日のわたしたちの一方の耳からは絶えずソヴェトに対する中傷や事実の不明な流説がつぎこまれるためにソヴェト社会の実際をありのままに知りたいという気持は一層切実な要求となっている。 ふたむかし前のモスクワといえば地下鉄さえなかった。・・・<宮本百合子「あとがき(『モスクワ印象記』)」青空文庫>
  5. ・・・ そうすると、先達ってうちから身重になったところが、それを種にして嫁を出してやろうと謀んで、自分の娘とぐるになって、息子あてに、中傷の手紙を無名で出した。「お前の嫁は、作男ととんでもない事をしてその種を宿して居る。 お前のほ・・・<宮本百合子「栄蔵の死」青空文庫>
  6. ・・・教会で結婚の儀式をあげる機会をもてずに、愛しあっていた男女が結合し、親となったということだけのために、若い母親は周囲の人たちのしつこい侮蔑と中傷とにさらされなければならなくなった。父である牧師は、自分の教会と牧師である自身の体面が全教区の前・・・<宮本百合子「傷だらけの足」青空文庫>
  7. ・・・諸大名に対する密偵制度、抑圧制度は実にゆき届いていたから、分別のある諸大名は、世襲の領地を徳川から奪われないために、中傷をさけるための工夫に、自分たちの分別の最も優秀な部分を浪費した。余り賢くあること、余り英邁であること、それさえも脅威をも・・・<宮本百合子「木の芽だち」青空文庫>
  8. ・・・九月初めにはソヴェト同盟にたいする無条件の歓喜に浸っていた彼が、十月には既に中傷している。使徒パウロからユダヤ人サウルへの拙劣な転身をした。驚くほど破廉恥な諸矛盾をその本の中にさらけ出している。党及び政府の一般的な方針に反対する批判の権利だ・・・<宮本百合子「ジイドとそのソヴェト旅行記」青空文庫>
  9. ・・・その新聞が官報であろうと、植民地版であろうと、中傷的なにせ写真をのせていようと、大新聞のゆくところ自由あり、と。すさまじいようだと云えないこともない。 小新聞の、大新聞への独占吸集が成功してから、大新聞の質は低下した。誰の目にも民主的と・・・<宮本百合子「ジャーナリズムの航路」青空文庫>
  10. ・・・ドイツへの留学生を選抜するため農商務省でドイツ語の論文をかかせられ、一等になって、もう旅券が下りるというとき、あれは下島にしては出来すぎだ、兄が論文を書いたのだろうという中傷が加えられた。そして、二等だった誰かべつの人がドイツへ行った。下島・・・<宮本百合子「道灌山」青空文庫>
  11. ・・・ その噂の元はと云えば、誰も知る者はなく、婆さんの耳元だけ、聞えたと感じた事もなかなか少なくないのである。中傷するほどの腕はないけれ共、自分の交際ばかりを次第次第にせばめて居るのである。「先生とこの奥様もこの上なしのぐうたらです・・・<宮本百合子「農村」青空文庫>
  12. ・・・はサロンで二等になったにもかかわらず、若い娘の作品にしては立派すぎる、非常によいことが却ってさまざまな中傷を産んで、当然として周囲からも期待されていた金牌は、第三位の永年サロンに出品している芸術的には下らない画家に与えられたのであった。マリ・・・<宮本百合子「マリア・バシュキルツェフの日記」青空文庫>
  13. ・・・原子兵器を全人類にとっての癌たらしめまいと奮闘する仕事を中傷するものがあるとすれば、それは、自分も死ぬことを知らないで、ほくそえみながら厖大な棺の注文を皮算用している棺桶屋ばかりである。〔一九五〇年十月〕・・・<宮本百合子「私の信条」青空文庫>
  14. ・・・絶えず隙間を狙う兇器の群れや、嫉視中傷の起す焔は何を謀むか知れたものでもない。もし戦争が敗けたとすれば、その日のうちに銃殺されることも必定である。もし勝ったとしても、用がすめば、そんな危険な人物を人は生かして置くものだろうか。いや、危い。と・・・<横光利一「微笑」青空文庫>