ちゅう‐ぜつ【中絶】例文一覧 26件

  1. ・・・最も遠くの方は中絶えして、一ツ二ツずつ続いたんだが、限りが知れん、幾百居るか。 で、何の事はない、虫眼鏡で赤蟻の行列を山へ投懸けて視めるようだ。それが一ツも鳴かず、静まり返って、さっさっさっと動く、熊笹がざわつくばかりだ。 夢だろう・・・<泉鏡花「朱日記」青空文庫>
  2. ・・・自分の如きは一生を回顧して中絶した人倫関係の少なくないのを嘆かずにはいられない。それはやはり自分の運命が拙いのであって、人間が初めから別離の悲哀を思うて恐れをもって相対することをすすめる気にはもちろんなれない。やはり自然に率直に朗らかに「求・・・<倉田百三「人生における離合について」青空文庫>
  3. ・・・ていて、若い小さい処女のままの清楚の母は、その美しく勇敢な全裸の御子に初い初いしく寄り添い、御子への心からの信頼に、うつむいて、ひっそりしずまり、幽かにもの思いつつ在る様が、私の貧しい食事を、とうとう中絶させてしまった。よく見ると、そのよう・・・<太宰治「俗天使」青空文庫>
  4. ・・・何か物事に感激し、奮い立とうとすると、どこからとも無く、幽かに、トカトントンとあの金槌の音が聞えて来て、とたんに私はきょろりとなり、眼前の風景がまるでもう一変してしまって、映写がふっと中絶してあとにはただ純白のスクリンだけが残り、それをまじ・・・<太宰治「トカトントン」青空文庫>
  5. ・・・ もし万一の自然の災害か、あるいは人間の故障、例えば同盟罷業やなにかのために、電流の供給が中絶するような場合が起ったらどうだろうという気もした。そういう事は非常に稀な事とも思われなかった。一晩くらいなら蝋燭で間に合せるにしても、もし数日・・・<寺田寅彦「石油ランプ」青空文庫>
  6. ・・・この中絶をなくするために二台の器械を連結してレコードの切れ目で一方から他方へ切りかえる仕掛けがわが国の学者によって発明されたそうであるが、一般の人にはこの中断がそれほど苦にならないと見えて、まだ市場にそういう器械が現われた事を聞かない。・・・<寺田寅彦「蓄音機」青空文庫>
  7. ・・・ 続きものの小説が肝心のところで中絶したために不平であった人もあろうし、毎朝の仕事のようにしてよんでいた演芸風聞録が読めないのでなんだか顔でも洗いそこなったような気持ちのする閑人もあったろう。 こういう善良な罪のない不満に対しては同・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  8. ・・・この眼科医とその前日現に出会って用談をしているうちに邪魔がはいって談を中絶された事があったのである。それからまたその「植物の」というだけがある他のプロフェッサーからその美しい夫人それから他の婦人患者といったふうにいろいろの錯綜した因果の網目・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  9. ・・・ ジゴマ帽から、目と口と丈け出した五人の怪物見たいな坑夫たちは、ベルが急調になって来て、一度中絶するのを、耳を澄まし、肩を張って待った。 ベルが段々調子を上げ、全で余韻がなくなるほど絶頂に達すると、一時途絶えた。 五人の坑夫たち・・・<葉山嘉樹「坑夫の子」青空文庫>
  10. ・・・『改造』に半年ほど連載して中絶した。検挙という外部からの理由でなしに中断した唯一の作品である。 いま考えれば、作者によって、あれだけ多量・広汎にソヴェト生活報告は執筆されているときであるから「ナルプ」は、啓蒙的な必要のためには、最もじか・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」青空文庫>
  11. ・・・ この小説の試みは中絶された。そして一九三三年の秋もおそくなってから「小祝の一家」という短篇小説がかかれた。夏の間にこころみられていた作品とは題材もテーマもちがっていた。当時文化活動に献身していた一人の同志の健気の生活から感銘された作品・・・<宮本百合子「解説(『風知草』)」青空文庫>
  12. ・・・さもなければ、緊張と中絶との全然受動的なくり返しで、かえって気が疲れるのである。 ガアガアと反響のつよい建物中をあれ狂っていたラジオが消えると、ホッとした休安を感じつつ、ある日曜の午後、私はかつて音に関して自分の注意をひいたことのある一・・・<宮本百合子「芸術が必要とする科学」青空文庫>
  13. ・・・ 湯ざめがして来てさむいのに、海のことを書いていて猶寒い。あなたはもう六時間ばかりするとお起きになるでしょう。よくお眠り下さい。たのしい夢ならば見るように。 中絶してきょうはもう三月の十七日です。一つの手紙でこんなに永くかかるのは珍・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  14. ・・・徳永さんの御都合で中絶した面もあるでしょうが、ともかくそれは中断されたままになりましたし、だいたい、評論にしろ、どうしても、どっしりと百枚二百枚というものをのせきることができません。薄い一冊の雑誌に、そうとう変化も与え、文学の各方面の話題に・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  15. ・・・ 病気は病気であるという事実にたって処理しながら、わたしが仕事を中絶しないのは、階級的な「作家の資格において」民主革命の課題は文学の仕事そのものによってどうこたえられてゆくものか、革命を人間の事業としてどのように肉づけ得るかという一つの・・・<宮本百合子「孫悟空の雲」青空文庫>
  16. ・・・を『婦人之友』に連載中、検挙によって中絶。一九三三年二月二十日。小林多喜二が築地署で拷問虐殺された。通夜の晩に小林宅を訪問して杉並署に連れてゆかれたが、その晩はもう小林の家から何人かの婦人が検束されて来ていて、入れる場所・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  17. ・・・としてかきはじめられ、情勢圧迫によって中絶したこの長篇は、現在第三部まで進んだ。二・二六事件をさしはさんで、ファシズムと戦争に洗われる上流生活の様相と、その中におのずから発展を探る若い世代の歴史的道ゆきを辿ろうとされている。 野上彌生子・・・<宮本百合子「婦人作家」青空文庫>
  18. ・・・を書いている中に、作家としていろいろの批評に対するがんばりのことがある。林が「作家はガンコでなければならぬ」といったのを、当時「阿蘇山」を中絶し「ファッショ」を中絶した徳永が、基本的線に沿おうという努力のある限り作家は批判に圧倒されずガンば・・・<宮本百合子「文学に関する感想」青空文庫>
  19. ・・・が発表されたのであったが、やがてその創作と提唱が中絶して、今日に至ったのである。 二年を経て現れた今日の「新胎」は、ある意味でハッピー・エンドの小説である。「冷酷聰明な科学者の態度」から「技術的知識人の生活と医学的ヒューマニズムのために・・・<宮本百合子「文芸時評」青空文庫>
  20. ・・・呼び醒まされた一定の感興はそのために中絶され、何となし物足りなさが残される。感傷的に一つ一つの子供の顔の面白さに足をとられてゆくことは不必要だろうけれど、その瞬間の対象とそれをみるものの感情とがもとめるだけのゆとりは計量されなければならない・・・<宮本百合子「「保姆」の印象」青空文庫>
  21. ・・・本の計画は中絶したまま省吾叔父は亡くなった。日本へかえって亡くなるまでどの位の月日があったのだろうか。ほんの僅であったように思う。私が小学一年の頃で、駒本小学という学校の門のところへこの叔父が迎えに来ていてくれたことがある。大きい大きい大人・・・<宮本百合子「本棚」青空文庫>
  22. ・・・者は、S女史という婦人作家の助手をやり、聾唖学校の教師になり、紡績工場の世話係、封筒かき、孤児院の保姆、小新聞の婦人記者と、変転する職業の一つ一つを、どれも本気に創作をするには適さない生活環境であると中絶して来て、今日では三ヵ月女中働きをし・・・<宮本百合子「見落されている急所」青空文庫>
  23. ・・・が、また、ほかの諸作品と同様に、中絶してしまっている。早く完全な訳が出てほしいと思う。そうして、世界の苦しみと歓喜とに触れ自身の苦痛と希望とを等しき人間の進みゆく足どりと眺めたく願うのは、決して私たちばかりではないだろうと思う。〔一九四六年・・・<宮本百合子「よもの眺め」青空文庫>
  24. ・・・大嘗会というのは、貞享四年に東山天皇の盛儀があってから、桂屋太郎兵衛の事を書いた高札の立った元文三年十一月二十三日の直前、同じ月の十九日に五十一年目に、桜町天皇が挙行したもうまで、中絶していたのである。・・・<森鴎外「最後の一句」青空文庫>
  25. ・・・三年前の大患以後、病気つづきで、この年にも『行人』の執筆を一時中絶したほどであったが、一向病人らしくなく、むしろ精悍な体つきに見えた。どこにもすきのない感じであった。漱石の旧友が訪ねて行って、同じようにして迎えられたとき、「いやに威張ってい・・・<和辻哲郎「漱石の人物」青空文庫>
  26. ・・・がこの初期のガンダーラの美術は、三世紀の中ごろクシャーナ王朝の滅亡とともにいったん中絶し、一世紀余を経て、四世紀の末葉にキダーラの率いるクシャーナ族がガンダーラ地方に勢力を得るに及んで、今度は塑像を主とする美術として再興し、初期よりずっと優・・・<和辻哲郎「麦積山塑像の示唆するもの」青空文庫>