ちゅう‐にゅう〔‐ニフ〕【注入】例文一覧 11件

  1. ・・・一つは憲法発布が約束されて政治が休息期に入ったからだが、一つは当時の欧化熱が文芸を尊重する欧米の空気を注入して、政治家もまた靖献遺言的志士形気を脱してジスレリーやグラッドストーン、リットンやユーゴーらの操觚者と政治家とを一身に兼ぬる文明的典・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  2. ・・・脚の傷がなおっても、体内に恐水病といういまわしい病気の毒が、あるいは注入されてあるかもしれぬという懸念から、その防毒の注射をしてもらわなければならぬのである。飼い主に談判するなど、その友人の弱気をもってしては、とてもできぬことである。じっと・・・<太宰治「畜犬談」青空文庫>
  3. ・・・ ついこのあいだもある学者がアメリカの学会へ行って「黄海の水を日本海へ注入して電力を起こす」という設計を提出して世界の学者を驚かせたという記事が出た。数日後に電車でひょっくりその学者に会って「君はアメリカに行っているはずじゃないですか」・・・<寺田寅彦「錯覚数題」青空文庫>
  4. ・・・尤も、この本の中に現われているそれらの思想は畢竟あらゆる日本的思想の伝統を要約したようなものであるから、おそらくこの本を読まされなくてもやはり他の本や他の色々の途から自然に注入されたかもそれは分からないと思われる。しかしその時代に教わった『・・・<寺田寅彦「徒然草の鑑賞」青空文庫>
  5. ・・・などが科学への最初の興味を注入してくれた。「地理初歩」という薄っぺらな本を夜学で教わった。その夜学というのが当時盛んであった政社の一つであったので、時々そういう社の示威運動のようなものが行なわれ、おおぜいで提灯をつけて夜の町を駆けまわり、ま・・・<寺田寅彦「読書の今昔」青空文庫>
  6. ・・・また半ば満たした金だらいの中央にコップの水を注入する時に水面に菊花状の隆起を生じる事がある。これもまた渦動の一問題であるらしい。また半球形の湯飲み茶わんに突然水を放射すると水は器壁に沿うて走り上り、縁から外に傘状に広がる、そうしていつまでた・・・<寺田寅彦「日常身辺の物理的諸問題」青空文庫>
  7. ・・・の刺激もあるであろうし、マルキシズムの注入によって周囲の媒質の「酸度」に変更を生じたためもあろうし、また一般文化の進歩のために思想の内容が豊富複雑になったために一種の「滲透圧」が増大して伝統詩形の外膜を押し広げようとする力が働いたためもある・・・<寺田寅彦「俳句の型式とその進化」青空文庫>
  8. ・・・就中親族編の如きは、古来日本に行われたる家族道徳の主義を根底より破壊して更らに新主義を注入し、然かも之を居家処世の実際に適用す可しと言う非常の大変化にして、所謂世道人心の革命とも見る可きものなるに、其民法の草案は発布前より早く流布して広く世・・・<福沢諭吉「新女大学」青空文庫>
  9. ・・・重大さはそのことにあったにもかかわらず、日本では天下りに共和党デューイ個人の当選確実があんなにも注入され宣伝された。このことも日本のわたしたちにとっては忘れられない。 一九四六年の二月ごろであったろうか。婦人民主クラブが第一回の創立・・・<宮本百合子「現代史の蝶つがい」青空文庫>
  10. ・・・この主任は、事ごとに、彼から見れば所謂心理的な雑談をしかけ、警察的暗示を注入しようとするのが常套手段なのである。 自分は正面の窓から消防署の展望塔を眺めた。白ペンキで塗られた軽い骨組みの高塔は深い青葉の梢と屋根屋根の上に聳えて印象的な眺・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  11. ・・・ けれども、私共に、只注入された知識としてのみ、よりあるべき内容の人生の可能を知っていればよいのでしょうか。 土台をかためる、一つの小石も運ばないでかまわないのでしょうか。 私共は、真個によりよい事実の上に生きることを熱望致しま・・・<宮本百合子「ひしがれた女性と語る」青空文庫>