ちょい‐ちょい例文一覧 30件

  1. ・・・と紅絹切の小耳を細かく、ちょいちょいちょいと伸していう。「ああ号外だ。もう何ともありやしねえや。」「だって、お前さん、そんなことをしちゃまたお腹が悪くなるよ。」「何をよ、そんな事ッて。なあ、姉様、」「甘いものを食べてさ、がり・・・<泉鏡花「海異記」青空文庫>
  2. ・・・―― 万世橋向うの――町の裏店に、もと洋服のさい取を萎して、あざとい碁会所をやっていた――金六、ちゃら金という、野幇間のような兀のちょいちょい顔を出すのが、ご新姐、ご新姐という、それがつい、口癖になったんですが。――膝股をかくすものを、・・・<泉鏡花「木の子説法」青空文庫>
  3. ・・・ 見知越の仁ならば、知らせて欲い、何処へ行って頼みたい、と祖母が言うと、ちょいちょい見懸ける男だが、この土地のものではねえの。越後へ行く飛脚だによって、脚が疾い。今頃はもう二股を半分越したろう、と小窓に頬杖を支いて嘲笑った。 縁の早・・・<泉鏡花「国貞えがく」青空文庫>
  4. ・・・お嬢様がお一方、お米さんが附きましてはちょいちょいこの池の緋鯉や目高に麩を遣りにいらっしゃいますが、ここらの者はみんな姫様々々と申しますよ。 奥様のお顔も存じております、私がついお米と馴染になりましたので、お邸の前を通りますれば折節お台・・・<泉鏡花「政談十二社」青空文庫>
  5. ・・・ と、言ううちにも、紫玉はちょいちょい眉を顰めた。抜いて持った釵、鬢摺れに髪に返そうとすると、や、するごとに、手の撓うにさえ、得も言われない、異な、変な、悪臭い、堪らない、臭気がしたのであるから。 城は公園を出る方で、そこにも影がな・・・<泉鏡花「伯爵の釵」青空文庫>
  6. ・・・その後は何かの用があったりして、ちょいちょい訪ねて行くこともあったが、何時でも用談だけで帰ったことがない。お忙がしいでしょうから二十分位と断って会うときでも、やはり二、三時間も長座をするのが常例だった。 夏目さんは好く人を歓迎する人だっ・・・<内田魯庵「温情の裕かな夏目さん」青空文庫>
  7. ・・・ふと視線が合うと、蝶子は耳の附根まで真赧になったが、柳吉は素知らぬ顔で、ちょいちょい横眼を使うだけであった。それが律儀者めいた。柳吉はいささか吃りで、物をいうとき上を向いてちょっと口をもぐもぐさせる、その恰好がかねがね蝶子には思慮あり気に見・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
  8. ・・・新生活の妄想でふやけきっている頭の底にも、自分の生活についての苦い反省が、ちょいちょい角を擡げてくるのを感じないわけに行かなかった。「生活の異端……」といったような孤独の思いから、だんだんと悩まされて行った。そしてそれがまた幼い子供らの柔か・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  9. ・・・ よそから毎晩のようにこの置座に集まり来る者二、三人はあり、その一人は八幡宮神主の忰一人は吉次とて油の小売り小まめにかせぎ親もなく女房もない気楽者その他にもちょいちょい顔を出す者あれどまずこの二人を常連と見て可なるべし。二十七年の夏も半・・・<国木田独歩「置土産」青空文庫>
  10. ・・・      ○ さきの話ずきの女は、この春月の詩碑へたずねて遠くからちょいちょい人が来ることや、五年前の除幕式には東京からえらい人が見えたことやをこまごまと話つづけた。 なんで身投げなどしたんじゃろかなと、女は自問し、この世がい・・・<黒島伝治「短命長命」青空文庫>
  11. ・・・ああいうお友達は、今でもちょいちょい見えるかい」「横内に、三枝に、日下部に――あの連中ですか。店が焼けてからこのかた、寄りつきもしません」「あんなにいろいろとお世話をしてあげて置いて、こういう時の力にはならないものかねえ」「唯、・・・<島崎藤村「食堂」青空文庫>
  12. ・・・小母さんの臂がちょいちょい写る。簪で髪の中を掻いているのである。 裏では初やが米を搗く。 自分は小母さんたちと床を列べて座敷へ寝る。 枕が大きくて柔かいから嬉しいと言うと、この夏にはうっかりしていたが、あんな枕では頭に悪いか・・・<鈴木三重吉「千鳥」青空文庫>
  13. ・・・ 肉屋は、おどけた目つきをして、ちょいちょいそのやせ犬を見やりながら、ほうちょうをこすっていました。犬は肉屋の注意を引くように、ときどきくんくん鼻をならしてはこっちを見ます。そのうちに肉屋はほうちょうをとぎおえて、刃先をためすために、そ・・・<鈴木三重吉「やどなし犬」青空文庫>
  14. ・・・店に連れて来て飲ませて、私の家の馴染にしてくれるという、まあ蛇の道はへび、という工合いの附合いをしておりまして、そのひとのアパートはすぐ近くでしたので、新宿のバアが閉鎖になって女給をよしましてからも、ちょいちょい知合いの男のひとを連れてまい・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」青空文庫>
  15. ・・・嘉七も、客にもまれながら、ちょいちょい背伸びしては、かず枝のその姿を心細げに追い求めているのだ。舞台よりも、かず枝の姿のほうを多く見ていた。黒い風呂敷包を胸にしっかり抱きかかえて、そのお荷物の中には薬品も包まれて在るのだが、頭をあちこち動か・・・<太宰治「姥捨」青空文庫>
  16. ・・・だいたい日本のどの辺に多くいるのか、それはあのシーボルトさんの他にも、和蘭人のハンデルホーメン、独逸人のライン、地理学者のボンなんて人も、ちょいちょい調べていましたそうで、また日本でも古くは佐々木忠次郎とかいう人、石川博士など実地に深山を歩・・・<太宰治「黄村先生言行録」青空文庫>
  17. ・・・私が二度も罹災して、とうとう津軽の兄の家へ逃げ込んで居候という身分になったのであるが、簡易保険だの債券売却だのの用事でちょいちょい郵便局に出向き、また、ほどなく私は、仙台の新聞に「パンドラの匣」という題の失恋小説を連載する事になって、その原・・・<太宰治「親という二字」青空文庫>
  18. ・・・相手をすかしたり、なだめたり、もちろんちょいちょい威したりしながら話をすすめ、ああよい頃おいだなと見てとったなら、何かしら意味ふかげな一言とともにふっとおのが姿を掻き消す。いや、全く掻き消してしまうわけではない。素早く障子のかげに身をひそめ・・・<太宰治「玩具」青空文庫>
  19. ・・・デルビイの店へも、人に怪まれない位に、ちょいちょい顔を出して、ポルジイの留守を物足らなく思うと云う話をも聞く。ついでに賭にも勝って、金を儲ける。何につけても運の好い女である。 舞台が済んで帰る時には、ポルジイが人の目に掛からないように、・・・<著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外「世界漫遊」青空文庫>
  20. ・・・それから黒猫やリンデンや抜裏なんぞの寄席にちょいちょい這入って覗いて見た。その外どこかへ行ったが、あとは忘れた。あの時は新しく買った分の襟を一つしていた。リッシュに這入ったとき、大きな帽子を被った別品さんが、おれの事を「あなたロシアの侯爵で・・・<著:ディモフオシップ 訳:森鴎外「襟」青空文庫>
  21. ・・・絶対に自分の優越を信じているような子猫は、時々わき見などしながらちょいちょい手を出してからかってみるのである。 困った事にはいつのまにか蜥蜴を捕って食う癖がついた。始めのうちは、捕えたのは必ず畳の上に持って来て、食う前に玩弄するのである・・・<寺田寅彦「ねずみと猫」青空文庫>
  22. ・・・しばらく見ませんけれど、山やに商売に出ているお友だちがあって、ちょいちょいおいでた。その縁談がうまくゆかないんですの。そんなら逢うてお話してあげなすったらいいでしょうに。お婿さんはどんな方です」「医大の生徒なんだ。どっちがどうだかわから・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  23. ・・・自分の精神の世界の複雑さと、細君の世俗的な心のありようとの相異、甚しい距離をそれなりに認めた上で、ちょいちょい向上のことも云っている。どこまでも教えてやるという態度で。漱石のむきな夫婦げんか、男と女との交渉の見かたとの対比。○ 夜、寿江・・・<宮本百合子「寒の梅」青空文庫>
  24. ・・・その間にちょいちょい鋭い批評眼らしいものが閃く。あれでもう少し重みと見識が加ったら、相当に話せる女になるだろうと思わせる女であった。その人と、僅かしか入って居ない金入れのちょろまかしとは、愛にとって実に意外な連想であった。意外であり乍ら、而・・・<宮本百合子「斯ういう気持」青空文庫>
  25. ・・・実際の仕事に関係あることは殆ど書かれていない。ちょいちょい区切って、ところどころ読んで行く分には読める。退屈ではない。然し、農村の集団化とは結びついてはいない。「貧農組合」は農村における集団農場化のために少なからぬ害を与えるが、ため・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  26. ・・・ 話しながら自分はちょいちょい、母親の手提袋を膝にのせて控えている妹の顔に視線をやった。母親との話はすぐとぎれた。すると妹が、「――やせたわね」と眼に力を入れて云って、可愛い生毛の生えた口許にぎごちないような微笑を泛べた。「・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  27. ・・・ この話をしてから、花房は病人をちょいちょい見るようになったのであった。そして翁の満足を贏ち得ることも折々あった。 翁の医学は Hufeland の内科を主としたもので、その頃もう古くなって用立たないことが多かった。そこで翁は新しい・・・<森鴎外「カズイスチカ」青空文庫>
  28. ・・・「どうもあなたのお書きになるものは少し勝手が違っています。ちょいちょい芝居を御覧になったら好いでしょう」これは親切に言ってくれたのであるが、こっちが却ってその勝手を破壊しようと思っているのだとは、全く気が附いていなかったらしい。僕の試みは試・・・<森鴎外「百物語」青空文庫>
  29. ・・・奥の間へいろいろな書附けをした箱を一ぱい出し散らかして、その中からお豊さんが、内裏様やら五人囃しやら、一つびとつ取り出して、綿や吉野紙を除けて置き並べていると、妹のお佐代さんがちょいちょい手を出す。「いいからわたしに任せておおき」と、お豊さ・・・<森鴎外「安井夫人」青空文庫>
  30. ・・・年越の晩には、極まって来ますが、その外の晩にも、冬になるとちょいちょい来て一しょにトッジイを飲んで話して行きます。」「冬になったら、この辺は早く暗くなるだろうね。」「三時半位です。」「早く寝るかね。」「いいえ。随分長く起きて・・・<著:ランドハンス 訳:森鴎外「冬の王」青空文庫>