ちょう‐じゅう〔テウジウ〕【鳥獣】例文一覧 15件

  1. ・・・ 迷信の深い小山夫人は、その後永く鳥獣の肉と茶断をして、判事の無事を祈っている。蓋し当時、夫婦を呪詛するという捨台辞を残して、我言かくのごとく違わじと、杖をもって土を打つこと三たびにして、薄月の十日の宵の、十二社の池の周囲を弓なりに、飛・・・<泉鏡花「政談十二社」青空文庫>
  2. ・・・蝙蝠の歌でしょう。鳥獣合戦のときの唱歌でしょう。「そうかね。ひどい歌だね。」「そうでしょうか。」と何も知らずに笑っている。 その歌が、いま思い出された。私は、弱行の男である。私は、御機嫌買いである。私は、鳥でもない。けものでもない。そう・・・<太宰治「俗天使」青空文庫>
  3. ・・・「ははあ、蝙蝠は、あれは、むかし鳥獣合戦の日に、あちこち裏切って、ずいぶん得して、のち、仕組みがばれて、昼日中は、義理がわるくて外出できず、日没とともに、こそこそ出歩き、それでもやはりはにかんで、ずいぶん荒んだ飛びかたしている。そう・・・<太宰治「二十世紀旗手」青空文庫>
  4. ・・・ 鳥羽僧正の鳥獣戯画なども当時のスポーツやいろいろの享楽生活のカリカチュアと思って見ればこの僧正はやはり一種のカメラをさげて歩いた一人であったかもしれない。この僧正にアメリカ野球選手との試合を記録させなかったのは残念である。 新東京・・・<寺田寅彦「カメラをさげて」青空文庫>
  5. ・・・しかし人間にはシグナルがあり法律があり道徳があるために鳥獣の敏活さがなくても安心して生きて行かれる。そのためにわれわれはだんだんに鈍になり気長くなってしまったのであろう。 しかし鳥獣をうらやんだ原始人の三つ子の心はいつまでも生き延びて現・・・<寺田寅彦「からすうりの花と蛾」青空文庫>
  6. ・・・しかし人間にはシグナルがあり法律があり道徳があるために鳥獣の敏活さがなくても安心して生きて行かれる。そのために吾々はだんだんに鈍になり気永くなってしまったのであろう。 しかし鳥獣を羨んだ原始人の三つ子の心はいつまでも生き延びて現代の文明・・・<寺田寅彦「烏瓜の花と蛾」青空文庫>
  7. ・・・人間は金のある所へ寄るが鳥獣の分布はやはり「すぐに取って食える食物」の分布できまるものらしい。 星野に小さな水力発電所がある。六十五キロだそうである。これくらいのかわいいのだといわゆる機械的バーバリズムの面影はなくて、周囲の自然となれ合・・・<寺田寅彦「軽井沢」青空文庫>
  8. ・・・人間はどうかすると未熟な科学の付け焼き刃の価値を過信して、時々鳥獣に笑われそうな間違いをして得意になったり、生兵法の大けがをしてもまだ悟らない。科学はまだまだ、というよりはむしろ永久に自然から教えを受けなければならないはずである。科学の目的・・・<寺田寅彦「沓掛より」青空文庫>
  9. ・・・平たく言えば、われわれ人間はこうした災難に養いはぐくまれて育って来たものであって、ちょうど野菜や鳥獣魚肉を食って育って来たと同じように災難を食って生き残って来た種族であって、野菜や肉類が無くなれば死滅しなければならないように、災難が無くなっ・・・<寺田寅彦「災難雑考」青空文庫>
  10. ・・・そうして、野生の鳥獣が地震や風雨に堪えるようにこれら未開の民もまた年々歳々の天変を案外楽にしのいで種族を維持して来たに相違ない。そうして食物も衣服も住居もめいめいが自身の労力によって獲得するのであるから、天災による損害は結局各個人めいめいの・・・<寺田寅彦「天災と国防」青空文庫>
  11. ・・・ 太古の先住民族や渡来民族は多く魚貝や鳥獣の肉を常食としていたかもしれない。いつの時代にか南洋またはシナからいろいろな農法が伝わり、一方ではまた肉食を忌む仏教の伝播とともに菜食が発達し、いつとなく米穀が主食物となったのではないかというの・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  12. ・・・公園の花だよりでも動物園の鳥獣の消息でもなんらかの深い観察があれば何物かを読者に与える。それよりも起こるべくしてわずかに起こらないでいるあらゆる過失や危険の芽を摘発し注意を与える事がいっそう有益である。たとえば電車や公共建築物設備の不完全あ・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  13. ・・・論より証拠、先ず試みに『詩経』を繙いても、『唐詩選』、『三体詩』を開いても、わが俳句にある如き雨漏りの天井、破れ障子、人馬鳥獣の糞、便所、台所などに、純芸術的な興味を托した作品は容易に見出されない。希臘羅馬以降泰西の文学は如何ほど熾であった・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  14. ・・・鶏とぶたは真実鳥獣なるが故に、五母二母孰れか妻にして孰れか妾なるや其区別もなく、又その間に嫉妬心も見えず権利論も起らざるが如くなれども、万物の霊たる人間は則ち然らず、人倫の大本として夫婦婚姻を契約したる其婦人が、配偶者の狂乱破約を見て不平な・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  15. ・・・といらえつつ、二足三足つきてゆけば、「かしこなる陶物の間見たまいしや、東洋産の花瓶に知らぬ草木鳥獣など染めつけたるを、われに釈きあかさん人おん身のほかになし、いざ」といいて伴いゆきぬ。 ここは四方の壁に造りつけたる白石の棚に、代々の君が・・・<森鴎外「文づかい」青空文庫>