ちょう‐しん〔チヤウ‐〕【聴診】例文一覧 4件

  1. ・・・のみならず太い嘴の上に鼻目金をかけた河童が一匹、僕のそばへひざまずきながら、僕の胸へ聴診器を当てていました。その河童は僕が目をあいたのを見ると、僕に「静かに」という手真似をし、それからだれか後ろにいる河童へ Quax, quax と声をかけ・・・<芥川竜之介「河童」青空文庫>
  2. ・・・しかし診察は無造作であった。聴診器を三、四か所胸にあてがってみた後、瞳を見、眼瞼を見、それから形ばかりに人工呼吸を試み注射をした。肛門を見て、死後三十分くらいを経過しているという。この一語は診察の終わりであった。多くの姉妹らはいまさらのごと・・・<伊藤左千夫「奈々子」青空文庫>
  3. ・・・ いよいよ胸をくつろげて打診から聴診と進んで来るに従って、からだじゅうを駆けめぐっていた力無いたよりないくすぐったいような感じがいっそう強く鮮明になって来る。そうして深呼吸をしようとして胸いっぱいに空気を吸い込んだ時に最高頂に達して、そ・・・<寺田寅彦「笑い」青空文庫>
  4. ・・・そしてちょいと押えて見たかと思うと「聴診器を」と云った。 花房は佐藤の卓の上から取って渡す聴診器を受け取って、臍の近処に当てて左の手で女の脈を取りながら、聴診していたが「もう宜しい」と云って寝台を離れた。 女は直ぐに着物の前を掻き合・・・<森鴎外「カズイスチカ」青空文庫>