ちょう‐たつ〔テウ‐〕【調達】例文一覧 9件

  1. ・・・ お蝋燭を、というと、爺が庫裡へ調達に急いだ――ここで濫に火あつかいをさせない注意はもっともな事である――「たしかに宝物。」 憚り多いが、霊容の、今度は、作を見ようとして、御廚子に寄せた目に、ふと卯の花の白い奥に、ものを忍ばすよ・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  2. ・・・で、僕は妻に手紙を書き、家の物を質に入れて某の金子を調達せよと言ってやった。質入れをすると言っても、僕自身のはすでに大抵行っているのだから、目的は妻の衣服やその附属品であるので、足りないところは僕の父の家へ行って出してもらえと附け加えた。・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  3. ・・・ そこで、考えた丹造は資金調達の手段として、支店長募集の広告を全国の新聞に出した。「妻子養うに十分の収益あり」という甘い文句の見出しで、店舗の家賃、電灯・水道代は本舗より支弁し、薬は委託でいくらでも送る。しかも、すべて卓効疑いのない・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  4. ・・・それで今日会費の調達――と出かけたところなのだ。「書けたかね?」と、私は原口の側に坐って、訊いた。「一つ短いものができたんだがね……それでじつは今朝から方々持歩いているんだが、どこでもすぐ金にはしてくれない」と、原口は暗い顔して言っ・・・<葛西善蔵「遁走」青空文庫>
  5. ・・・ 二十四日の晩であった、母から手紙が来て、明二十五日の午後まかり出るから金五円至急に調達せよと申込んで来た時、自分は思わず吐息をついて長火鉢の前に坐ったまま拱手をして首を垂れた。「どうなさいました?」と病身な妻は驚いて問うた。「・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  6. ・・・そこでこの四五日その十五円の調達にずいぶん駆け回りましたよ。やっと三十間堀の野口という旧友の倅が、返済の道さえ立てば貸してやろうという事になり、きょう四時から五時までの間に先方で会うことになっているのです。まアザッとこんな苦しいわけで……け・・・<国木田独歩「二老人」青空文庫>
  7. ・・・その重大事態の核心をなすものは何かといえば、食糧の非常手段による調達であろう。住民の非常手段による調達というとき、この間まで日本人の頭に浮ぶのは、往年の米騒動ばかりであった。しかし、今日では、人民の食糧管理という観念が加って来ており、そこに・・・<宮本百合子「人民戦線への一歩」青空文庫>
  8. ・・・病院へのあらゆる必需品を調達するのは全部フロレンスの仕事であった。兵たちに靴下、シャツが着せられたのは彼女の個人的な出費とタイムズ社の寄附金があってからできたことであった。これらの緊迫した仕事はどんなものであったかは、当時彼女を看護の天使、・・・<宮本百合子「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」青空文庫>
  9. ・・・自由公債とはアメリカの政府が今度の大戦争の費用を調達するために発行した公債です。国を思う人々は誰でも争うて政府のために、売り歩きました。こんなときにはお母さんが勧誘して歩くのにまけまいと、少女達も、小さな穴の明いた箱を抱えて、通行する人達に・・・<宮本百合子「わたくしの大好きなアメリカの少女」青空文庫>