いのち【命】 の意味

  1. 生物が生きていくためのもとの力となるもの。生命。「命にかかわる病気」「命をとりとめる」「命ある限り」
  1. 生きている間。生涯。一生。「短い命を終える」
  1. 寿命。「命が延びる」
  1. 最も大切なもの。唯一のよりどころ。そのものの真髄。「命と頼む」「商売は信用が命だ」
  1. 運命。天命。
    • 「年ごとにあひ見ることは―にて老いの数そふ秋の夜の月」〈風雅・雑上〉
  1. 近世、遊里などで、相愛の男女が互いの二の腕に「命」の一字、または「誰々命」と入れ墨をすること。また、その文字。
  • 名詞

いのち【命】の慣用句

  1. 命あっての物種
    • 何事も命あってできることで、死んでは何にもならない。
  1. 命生く
    • 生き長らえる。
      「年老い衰へたる母、―・きても何にかはせんなれば」〈平家・一〉
    • 命を取り留める。危ないところを助かる。
      「たとひ兼康―・きて、再び平家の御方へ参りたりとも」〈平家・八〉
  1. 命から二番目
    • 命の次に大切なもの。非常に大事なもの。
  1. 命長ければ恥多し
    • 《「荘子」天地から》長生きすれば、何かにつけ恥をさらすことも多い。
  1. 命なりけり
    • 命があったからこそのことである。生きていたからできたことである。
      「年たけて又越ゆべしと思ひきや―さ夜の中山」〈新古今・羇旅〉
  1. 命に替える
    • 自分の命と引き替えにする。何としても守り抜こう、手に入れようとする気持ちをいう。「―・えても譲れない」「―・える宝はなし」
  1. 命は義によりて軽し
    • 《「後漢書」朱穆伝から》かけがえのない大切な命も、義のためならば捨てても惜しくない。
  1. 命は鴻毛より軽し
  1. 命は風前の灯の如し
    • 《「法苑珠林」の「命は風中の灯の如し」から》危険が身に迫っていることのたとえ。また、人生のはかないことのたとえ。
  1. 命待つ間
    • 命が終わるのを待つ間。
      「ありはてぬ―の程ばかりうき事しげく思はずもがな」〈古今・雑下〉
  1. 命を落とす
    • 事故や病気で人が死ぬ。老衰や自殺による死にはいわない。「冬山で―・す」
  1. 命を懸ける
    • 命を捨てる覚悟で物事に立ち向かう。「新しい研究に―・ける」「―・けた恋」
  1. 命を削る
    • 寿命を縮めるほど苦労する。命を縮める。「―・るような長年の努力が実る」
  1. 命を捧げる
    • 大切なもののために命を差し出す。また、死ぬ覚悟で尽くす。「社会福祉に―・げる」
  1. 命を捨てる
    • ある目的のために死ぬ。命を投げ出す。「―・てる覚悟で取り組む」
    • 生きるべきなのに死ぬ。「無謀な運転で―・てる」
  1. 命を縮める
    • 寿命を短くする。死を早める。「事業の失敗が―・めた」
  1. 命を繋ぐ
    • ほそぼそと生きつづける。命を保つ。生きのびる。「わずかな食料で―・ぐ」
  1. 命を投げ出す
  1. 命を拾う
    • 危うく死ぬところを助かる。命拾いする。「戦乱の中でからくも―・った」
  1. 命を棒に振る
    • むだに命を捨てる。無益な死に方をする。犬死にする。
  1. 命を的に懸ける
    • 命がけで物事をする。
      「事ある時は―・けて働かねば」〈黄・長寿小紋〉
  1. いのちかぎり【命限り】
    • 命のあるだけ。生きている間中。
    • (副詞的に用いて)全力を出し尽くして。「命限り働く」
  1. いのちがけ【命懸け】
    • [名・形動]死ぬ覚悟で物事をすること。また、そのさま。決死。懸命。「命懸けの作業」「命懸けで取材する」
  1. いのちからがら【命辛辛】
    • [副]命を守るのが精いっぱいのさま。やっとのことで。「命辛辛逃げてくる」
  1. いのちがわり【命代はり】
    • 命と引き替えにすること。また、それほど大切なもの。いのちがえ。
      「殿の御遊興妨げ召さるれば、斯の通り―のお仕置きぢゃ」〈伎・韓人漢文〉
  1. いのちげ【命毛】
    • 《文字を書くのに最も大切な毛であるところから》筆の穂先のいちばん長い毛。
  1. いのちごい【命乞い】
    • [名](スル)
    • 殺されるはずの命が助かるように、頼むこと。「敵に命乞いする」
    • 長生きするように神仏に祈ること。
      「ただ殿の御―をのみ申し思へり」〈栄花・楚王の夢〉
  1. いのちしょうぶ【命勝負】
    • 命がけの勝負。
      「まことに大剛(だいかう)の、痴(をこ)の者なり。―しては損なり」〈曽我・四〉
  1. いのちしらず【命知らず】
    • [名・形動]
    • 生命の危険をも考えずに振る舞うこと。また、その人や、そのさま。「命知らずが集まる」「命知らずな冒険」
    • 丈夫で長持ちすること。また、そのもの。
      「この手紬(てつむぎ)の碁盤縞(ごばんじま)は、―とて親父の着られしが」〈浮・永代蔵・一〉
  1. いのちずく【命尽く】
    • 一命にかかわること。
      「いくさといふは…、―のものなれば」〈浄・五枚羽子板〉
    • 命懸けであること。
      「科人(とがにん)と名乗って出る拙者、―に偽りを申さうか」〈伎・五大力
  1. いのちだま【命玉】
    • 狩人が危急のときのために最後まで残し持つ弾丸。
  1. いのちづな【命綱】
    • 高い場所や海の中などの危険な場所で仕事をするとき、用心のためにからだに巻きつけておく綱。また、救命ブイや救助艇にわたす綱など。
    • 命の綱」に同じ。「この資金が最後の命綱だ」
  1. いのちとり【命取り】
    • 生命、または地位・財産などを失う決定的な原因になる事柄。「命取りの病気」「失言が命取りとなる」
    • 相手の命を奪うほどの美女または美男をいう語。
      「堺町の名物―め、何の生まれ替はりてあの美しさ」〈浮・椀久二世〉
  1. いのちぬすびと【命盗人】
    • むだに長生きしている人。
      「兼好が見たらば、―と申すべき婆々(ばば)あり」〈浮・一代男・二〉
  1. いのちのおや【命の親】
    • 命を助けてくれた人。命の恩人。
  1. いのちのかぎり【命の限り】
    • 命のある間じゅう。生命の続く限り。命限り。「命の限り愛する」
    • 命の尽きる時。死期。
      「とあるもかかるも、同じ―あるものになむある」〈・夕顔〉
  1. いのちのきわ【命の際】
    • 命の終わろうとする時。死にぎわ。
  1. いのちのせんたく【命の洗濯】
    • 日ごろの束縛や苦労から解放されて、のんびり気ままに楽しむこと。「旅に出て命の洗濯をする」
  1. いのちのつな【命の綱】
    • 《命をつなぎとめている綱の意から》生きていくうえでこの上もなく大切なもの。いのちづな。「わずかな食糧が命の綱だ」「命の綱と頼る人」
  1. いのちのでんわ【いのちの電話】
    • 深刻な悩みをもちながら、だれにも相談できないでいる人に、電話による対話で援助を行う相談機関。多くのボランティアと専門家によって運営されている。
  1. いのちのみず【命の水】
    • 人の寿命を、流れる水にたとえていう語。
    • ヨーロッパで、ブランデー・ウイスキーなどアルコール度の強い蒸留酒のこと。スピリッツ。
  1. いのちびろい【命拾い】
    • [名](スル)危うく命が助かること。また、窮地を脱すること。「適切な手当てで命拾いした」「係員の機転のおかげで命拾いした」
  1. いのちみょうが【命冥加】
    • [名・形動]神仏のおかげで、命拾いをすること。「生き残れたとは命冥加な人だ」
  1. いのちやま【命山】
    • 津波や洪水などで地域が浸水した際に避難するための築山。
    • [補説]静岡県袋井市には江戸時代に造られた「大野命山」「中新田命山」が残り、県の指定文化財となっている。また平成25年(2013)には約1300人が避難できる「湊(みなと)命山」が新たに造営された。