ちょっ‐けい〔チヨク‐〕【直径】例文一覧 29件

  1. ・・・何気なくそのコップをとり上げた新蔵が、ぐいと一息に飲もうとすると、直径二寸ばかりの円を描いた、つらりと光る黒麦酒の面に、天井の電燈や後の葭戸が映っている――そこへ一瞬間、見慣れない人間の顔が映ったのです。いや、もっと精密に云えばただ見慣れな・・・<芥川竜之介「妖婆」青空文庫>
  2. ・・・今夜、揚花火の結びとして、二尺玉が上るということになって居て、町の若者達もその直径二尺の揚花火の玉については、よほど前から興奮して話し合っていたのです。その二尺玉の花火がもう上る時刻なので、それをどうしてもお母さんに見せると言ってきかないの・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  3. ・・・力のやり場に困って身もだえの果、とうとうやけくそな悪戯心を起し背中いっぱいに刺青をした。直径五寸ほどの真紅の薔薇の花を、鯖に似た細長い五匹の魚が尖ったくちばしで四方からつついている模様であった。背中から胸にかけて青い小波がいちめんにうごいて・・・<太宰治「ロマネスク」青空文庫>
  4. ・・・のを直径約一センチメートル長さ約二十センチメートルの円筒形に丸めたものを左の手の指先でつまんで持っている。その先端の綿の繊維を少しばかり引き出してそれを糸車の紡錘の針の先端に巻きつけておいて、右手で車の取っ手を適当な速度で回すと、つむの針が・・・<寺田寅彦「糸車」青空文庫>
  5. ・・・からだの直径がどう見ても三四倍になっている。他の動物の組織でこんなに伸長されてそれで破裂しないものがあろうとはちょっと思われないようである。もっとも胎生動物の母胎の伸縮も同様な例としてあげられるかもしれないが、しかしこの蛇のように僅少な時間・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  6. ・・・この驚くべき征服欲は直径わずかに二三ミリメートルぐらいの細い茎を通じてどこまでもと空中に流れ出すのである。 毎日おびただしい花が咲いては落ちる。この花は昼間はみんなつぼんでいる。それが小さな、かわいらしい、夏夜の妖精の握りこぶしとでもい・・・<寺田寅彦「からすうりの花と蛾」青空文庫>
  7. ・・・この驚くべき征服慾は直径わずかに二、三ミリメートルくらいの細い茎を通じてどこまでもと空中に流れ出すのである。 毎日夥しい花が咲いては落ちる。この花は昼間はみんな莟んでいる。それが小さな、可愛らしい、夏夜の妖精の握り拳とでも云った恰好をし・・・<寺田寅彦「烏瓜の花と蛾」青空文庫>
  8. ・・・同じようなのでまた直径が一倍半くらい大きいのがそろって集団をなしている。 この二種の糞を拾って行って老測夫に鑑定してもらったらどちらもうさぎの糞で、小さいのは子うさぎ、大きいのは親うさぎのだという。さすがに父だか母だかは糞ではわからない・・・<寺田寅彦「小浅間」青空文庫>
  9. ・・・私の指先でもみ拡げられた穴にもその形の痕跡だけはちゃんと残っているが、穴の直径が二、三割くらいは大きくなって、穴の周辺が毛ば立ち汚れている。 もう一人の車掌もやって来て、同じ切符にもう一つ穴をあけた。「私のはこれですからね」と云って私の・・・<寺田寅彦「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  10. ・・・水平に持って歩いていた網を前下がりに取り直し、少し中腰になったまま小刻みの駆け足で走り出した。直径百メートルもあるかと思う円周の上を走って行くその円の中心と思う辺りを注意して見るとなるほどそこに一羽の鳥が蹲っている。そうしてじっと蹲ったまま・・・<寺田寅彦「鴫突き」青空文庫>
  11. ・・・しかし実際は二億二千八百万キロメートルの距離にある直径百四十万キロメートルの火の玉である。 ヘルムホルツは薄暮に眼前を横ぎった羽虫を見て遠くの空をかける大鵬と思い誤ったという経験をしるしており、また幼時遠方の寺院の塔の回廊に働いている職・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  12. ・・・しかし、これは火口から七キロメートルを隔てた安全地帯から見たからのことであって、万一火口の近くにでもいたら直径一メートルもあるようなまっかに焼けた石が落下して来て数分時間内に生命をうしなったことは確実であろう。 十時過ぎの汽車で帰京しよ・・・<寺田寅彦「小爆発二件」青空文庫>
  13. ・・・流れの最も強い下流の方には方々直径七、八間ほどの漏斗形の大渦巻が出来ます。漁船などこれに巻込まれたら容易に出られなくなるそうです。汽船などでも流れの急でない時を見計らってでなければ通りません。図は前にも云った通り上げ潮の時の有様ですが、下げ・・・<寺田寅彦「瀬戸内海の潮と潮流」青空文庫>
  14. ・・・二、三十尺の高さに噴き上げている水と蒸気を止めるために大勢の人夫が骨を折って長三間、直径二インチほどの鉄管に砂利をつめたのをやっと押し込んだが噴泉の力ですぐに下から噴き戻してしまうので、今度は鉄管の中に鉄棒を詰めて押し入れたらやっと噴出が止・・・<寺田寅彦「箱根熱海バス紀行」青空文庫>
  15. ・・・吐いてみたら黒い血が泥だらけの床の上に直径十センチくらいの円形を染めた。引続いて吐いたのはやや赤い中に何だか白いものの交じったので、前のの側に不規則な形をして二倍くらいの面積を染めた。浅利君が水を持って来たから医者を呼んでくれと頼んだ。吐い・・・<寺田寅彦「病中記」青空文庫>
  16. ・・・長いガラスの円筒の直径をカリパーのようなもので種々の点で測らせ、その結果を適当な尺度に図示して径の不同を目立たせて見るのもよい。これはつまらぬ事件のようであるが、実際自分の経験では存外生徒の実験的趣味を喚起する効果があるようである。あるいは・・・<寺田寅彦「物理学実験の教授について」青空文庫>
  17. ・・・よく見ていると、そのようなのに限って袋の横腹に直径一ミリかそこらの小さい孔がある事を発見した。変だと思って鋏でその一つを切り破って行くうちに、袋の中から思いがけなく小さい蜘蛛が一匹飛び出して来てあわただしくどこかへ逃げ去った。ちらりと見ただ・・・<寺田寅彦「簔虫と蜘蛛」青空文庫>
  18. ・・・縄でしばった南京袋の前だれをあてて、直径五寸もある大きな孟宗竹の根を両足の親指でふんまえて、桶屋がつかうせんという、左右に把手のついた刃物でけずっていた。ガリ、ガリ、ガリッ……。金ぞくのようにかたい竹のふしは、ときどきせんをはねかえしてから・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  19. ・・・木村氏が五百円の賞金と直径三寸大の賞牌に相当するのに、他の学者はただの一銭の賞金にも直径一分の賞牌にも値せぬように俗衆に思わせるのは、木村氏の功績を表するがために、他の学者に屈辱を与えたと同じ事に帰着する。――明治四四、七、一四『東京朝・・・<夏目漱石「学者と名誉」青空文庫>
  20. ・・・餌壺の直径は一寸五分ほどだと思う。 自分はそっと書斎へ帰って淋しくペンを紙の上に走らしていた。縁側では文鳥がちちと鳴く。折々は千代千代とも鳴く。外では木枯が吹いていた。 夕方には文鳥が水を飲むところを見た。細い足を壺の縁へ懸けて、小・・・<夏目漱石「文鳥」青空文庫>
  21. ・・・やがて下女は直径一尺五寸もありそうな錦手の大丼鉢に山の如く柿を盛て来た。さすが柿好きの余も驚いた。それから下女は余のために庖丁を取て柿をむいでくれる様子である。余は柿も食いたいのであるがしかし暫しの間は柿をむいでいる女のややうつむいている顔・・・<正岡子規「くだもの」青空文庫>
  22. ・・・この鳥籠というのは動物園などにあるような土地へ据えるもので、直径が五尺ばかり高さが一丈ばかり、それは金網にかこまれて亜鉛の屋根のついた、円錐形のものである。それを病室のガラス障子の外に据えて数羽の小鳥を入れて見た。その鳥はキンパラという鳥の・・・<正岡子規「病牀苦語」青空文庫>
  23. ・・・○ベースボールに要するもの はおよそ千坪ばかりの平坦なる地面(芝生ならばなお善皮にて包みたる小球(直径二寸ばかりにして中は護謨、糸の類にて充実投者が投げたる球を打つべき木の棒(長さ四尺ばかりにして先の方やや太く手にて持つ処一尺四方ば・・・<正岡子規「ベースボール」青空文庫>
  24. ・・・千倍ぐらいになりますと、下のレンズの直径が非常に小さくなり、従って視野に光があまりはいらなくなりますので、下のレンズを油に浸してなるべく多くの光を入れて物が見えるようにします。二千倍という顕微鏡は、数も少くまたこれを調節することができる・・・<宮沢賢治「手紙 三」青空文庫>
  25. ・・・その灰いろの頁岩の平らな奇麗な層面に直径が一米ばかりある五本指の足あとが深く喰い込んでならんでいる。所々上の岩のためにかくれているが足裏の皺まではっきりわかるのだ。「さあ、見附けたぞ。この足跡の尽きた所に・・・<宮沢賢治「楢ノ木大学士の野宿」青空文庫>
  26. ・・・役所では窓に黄いろな日覆もできましたし隣りの所長の室には電気会社から寄贈になった直径七デシもある大きな扇風機も据えつけられました。あまり暑い日の午後などは所長が自分で立って間の扉をあけて、「さあ諸君、少し風にあたりたまえ。」なんて云った・・・<宮沢賢治「ポラーノの広場」青空文庫>
  27. ・・・ いつも、さくさくとした細やかな実が、八分目以上も盛られたのばかりを見馴れた自分の眼に、六寸程の直径を持った瀬戸物の白い底が、異様に冷たく空虚に見えた。微かなショックに似たものをさえ、私は胸の辺に覚えた。 今朝目を牽いた床の間の粟の・・・<宮本百合子「餌」青空文庫>
  28. ・・・その玉は所謂紅玉色で、硝子で薔薇カットが施こされていて、直径五分ばかりのものだ。紅玉色の硝子は、濃い黒い束ね髪の上にあった。髪の下に、生え際のすんなりした低い額と、心持受け口の唇とがある。納戸の着物を着た肩があって、そこには肩あげがある。・・・<宮本百合子「毛の指環」青空文庫>
  29. ・・・で舞台に一定の直径をもつ円い切り目を入れた。中心部は動かない。そのまわりの相当ひろい輪が、いろんな場面をのせて、グルリとまわる。或るところでその輪は、急速力で一回転二回転して、メイエルホリドらしい、群集の心理激動の描写をやる。 仕事着を・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>