ちょっぴり例文一覧 15件

  1. ・・・ 私は、涙を流し放題に流して、地だんだをふまないばかりにせき立てて、震える手をのばして妹の頭がちょっぴり水の上に浮んでいる方を指しました。 若い男は私の指す方を見定めていましたが、やがて手早く担っていたものを砂の上に卸し、帯をくるく・・・<有島武郎「溺れかけた兄妹」青空文庫>
  2. ・・・「俺ら銭こ一文も持たねえからちょっぴり借りたいだが」 赤坊の事を思うと、急に小銭がほしくなって、彼れがこういい出すと、帳場は呆れたように彼れの顔を見詰めた、――こいつは馬鹿な面をしているくせに油断のならない横紙破りだと思いながら。そ・・・<有島武郎「カインの末裔」青空文庫>
  3. ・・・その目で見たせいか、彼女の痩形の、そして右肩下りの、線の崩れたようなからだつきは何かいろっぽく思えたが、しかし、やや分厚い柔かそうな下唇や、その唇の真中にちょっぴり下手に紅をつける化粧の仕方や、胸のふくらみのだらんと下ったところなど、結婚し・・・<織田作之助「大阪発見」青空文庫>
  4. ・・・ ところが、その機を外さぬ盞事がはじまってみると、新郎の伊助は三三九度の盞をまるで汚い物を持つ手つきで、親指と人差指の間にちょっぴり挾んで持ち、なお親戚の者が差出した盞も盃洗の水で丁寧に洗った後でなければ受け取ろうとせず、あとの手は晒手・・・<織田作之助「螢」青空文庫>
  5. ・・・と言われた。「あんたが水商売でわては鉱山商売や、水と山とで、なんぞこんな都々逸ないやろか」それで話はきっぱり決った。 帰って柳吉に話すと、「お前もええ友達持ってるなア」とちょっぴり皮肉めいた言い方だったが、肚の中では万更でもないらしかっ・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
  6. ・・・その蔭にちょっぴり人家の屋根が覗いている。そして入江には舟が舫っている気持。 それはただそれだけの眺めであった。どこを取り立てて特別心を惹くようなところはなかった。それでいて変に心が惹かれた。 なにかある。ほんとうになにかがそこにあ・・・<梶井基次郎「城のある町にて」青空文庫>
  7. ・・・「わざと、ちょっぴり怪我をしたんじゃないか?」「…………。」 腕を頸に吊らくった相手は腹立たしげに顔をしかめた。「なか/\内地へ帰りとうて仕様がなかったんだからな。」 それにも相手は取り合わなかった。そして釦をはずした軍衣を・・・<黒島伝治「氷河」青空文庫>
  8. ・・・ 僕も、ちょっぴり泣いた事がある。「毎日、たいへんですね。」「ええ、疲れますわ。」 こう来なくちゃ嘘だ。「でも、いまは民主革命の絶好のチャンスですからね。」「ええ、そう。チャンスです。」「いまをはずしたら、もう、・・・<太宰治「渡り鳥」青空文庫>
  9. ・・・粉にしたコーヒーをさらし木綿の小袋にほんのひとつまみちょっぴり入れたのを熱い牛乳の中に浸して、漢方の風邪薬のように振り出し絞り出すのである。とにかくこの生まれて始めて味わったコーヒーの香味はすっかり田舎育ちの少年の私を心酔させてしまった。す・・・<寺田寅彦「コーヒー哲学序説」青空文庫>
  10. ・・・という映画で、南洋土人の結婚式に、犠牲の鶏を殺してその血をちょっぴり鉢にたらし、そうして、その血を新夫婦が額に塗りまた胸に塗る場面があった。今度インド婦人の額の紅斑を見たときになんとなくそれを思い出して、何か両者の間に因縁があるのではないか・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  11. ・・・高等小学校の理科の時間にTK先生という先生が坩堝の底に入れた塩酸カリの粉に赤燐をちょっぴり振りかけたのを鞭の先でちょっとつつくとぱっと発火するという実験をやって見せてくれたことを思い出す。そのとき先生自身がひどく吃驚した顔を今でもはっきり想・・・<寺田寅彦「追憶の冬夜」青空文庫>
  12. ・・・折詰の飯に添えた副食物が、色々ごたごたと色取りを取り合せ、動物質植物質、脂肪蛋白澱粉、甘酸辛鹹、という風にプログラム的に編成されているが、どれもこれもちょっぴりで、しかもどれを食ってもまずくて、からだのたしになりそうなものは一つもない。・・・<寺田寅彦「マーカス・ショーとレビュー式教育」青空文庫>
  13. ・・・その何だか違う感じが小さい子の感情を限りなく魅する。ちょっぴりこわいようでもある。珍しいものはいつだって少しはこわいところもある。――それを子供はよく知っている。その感じを更に強め享楽するために、私は机だの小屏風だのを持ち出して、薄暗い隅に・・・<宮本百合子「雨と子供」青空文庫>
  14. ・・・「いいえね、 ほんとうを云えばほんのちょっぴり御機嫌が悪かったの。 でもね今はすっかりなおった、 貴方が来て呉れたから。」「貴方はお天気屋だもの、 そいで又我ままなんだもの、 あの女だって思いがけない処に気を・・・<宮本百合子「千世子(三)」青空文庫>
  15. ・・・斯うささやく心のどこかにほんのちょっぴり今までにない不安さがある。 私はあの人を女優とは云わせたくなく、又自分からも云いたくない。 女優――斯う云う言葉の中に何とはなしに私にはいやにひびく音がまじって居る。 女役者と云う方が私は・・・<宮本百合子「つぼみ」青空文庫>