ちょ‐めい【著名】例文一覧 30件

  1. ・・・その著名なるものをあぐれば、クライスト、マインレンデル、ワイニンゲル…… 問 君の交友は自殺者のみなりや? 答 必ずしもしかりとせず。自殺を弁護せるモンテェニュのごときは予が畏友の一人なり。ただ予は自殺せざりし厭世主義者、――ショオ・・・<芥川竜之介「河童」青空文庫>
  2. ・・・ 歴史上、最も著名な実例の一つは、恐らくカテリナ女帝に現われたものでございましょう。それからまた、ゲエテに現れた現象も、やはりそれに劣らず著名なものでございます。が、これらは、余り人口に膾炙しすぎて居りますから、ここにはわざと申上げませ・・・<芥川竜之介「二つの手紙」青空文庫>
  3. ・・・牛島の弘福寺といえば鉄牛禅師の開基であって、白金の瑞聖寺と聯んで江戸に二つしかない黄蘗風の仏殿として江戸時代から著名であった。この向島名物の一つに数えられた大伽藍が松雲和尚の刻んだ捻華微笑の本尊や鉄牛血書の経巻やその他の寺宝と共に尽く灰とな・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  4. ・・・この絢尭斎というは文雅風流を以て聞えた著名の殿様であったが、頗る頑固な旧弊人で、洋医の薬が大嫌いで毎日持薬に漢方薬を用いていた。この煎薬を調進するのが緑雨のお父さんの役目で、そのための薬味箪笥が自宅に備えてあった。その薬味箪笥を置いた六畳敷・・・<内田魯庵「斎藤緑雨」青空文庫>
  5. ・・・これがまた定って当時の留書とかお触とか、でなければ大衆物即ち何とか実録や著名の戯作の抜写しであった。無論ドコの貸本屋にも有る珍らしくないものであったが、ただ本の価を倹約するばかりでなく、一つはそれが趣味であったのだ。私の外曾祖父の家にもこの・・・<内田魯庵「八犬伝談余」青空文庫>
  6. ・・・当時私はスペンサーの文体論を初め二、三の著名な文章説を読んでいたが、こういう意味の文章論をいわゆる小説家の口から聴こうとは夢にも思っていなかった。問題の提出者たる古典科出身のYは不可解な顔をして何ともいわなかった。 ドストエフスキーを読・・・<内田魯庵「二葉亭余談」青空文庫>
  7. ・・・ 機一発、伊公の著名なる保安条例が青天霹靂の如く発布された。危険と目指れた数十名の志士論客は三日の間に帝都を去るべく厳命された。明治の酷吏伝の第一頁を飾るべき時の警視総監三島通庸は遺憾なく鉄腕を発揮して蟻の這う隙間もないまでに厳戒し、帝・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  8. ・・・ お前はしきりに首をひねっていたが、間もなく、川那子メジシンの広告から全快写真の姿が消え、代って歴史上の英雄豪傑をはじめ、現代の政治家、実業家、文士、著名の俳優、芸者等、凡ゆる階級の代表的人物や、代表的時事問題の誹毀讒謗的文章があらわれ・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  9. ・・・の出現を見るにいたったわけである。著名の学者の筆になる「蠅を憎むの辞」が現代的科学的修辞に飾られて、しばしばジャーナリズムをにぎわした。 しかし蠅を取りつくすことはほとんど不可能に近いばかりでなく、これを絶滅すると同時に、蛆もこの世界か・・・<寺田寅彦「蛆の効用」青空文庫>
  10. ・・・たくさんの邦産映画の中には相当なものもあるかもしれないが、自分の見た範囲では遺憾ながらどうひいき目に見ても欧米の著名な映画に比肩しうるようなものはきわめてまれなようである。 ロシア崇拝の映画人が神様のようにかつぎ上げているかのエイゼンシ・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  11. ・・・を見たあとでこれを見たことは一つのおもしろい経験であった。著名な科学者の一代の大論文を読んで感心したあとで、その人のその論文を書くまでの道筋を逆にたどってそれまでのその人の著述を順々に古いほうへと読んで行くと、最初に感心させられたものが、き・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  12. ・・・こういう点では、下町の素人の芝居好きの劇評のほうがかえって前述のごとき著名なインテリゲンチアの映画批評家の主観的概念的評論よりもはるかに啓発的なことがありうるようである。 こんな不満をいだいていたのであったが、近ごろは立派な有益な批評を・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  13. ・・・やがて、そこへ著名な日本の作曲家某氏夫妻がやって来てこの一団に仲間入りをした。まさに映写されんとする映画を作った監督はその某国の人であり、録音された音楽は全部この日本人の作曲である。見ているとこの外国人の一団はこの日本の作曲者を取り巻いてき・・・<寺田寅彦「試験管」青空文庫>
  14. ・・・の出現を見るに至ったわけである。著名の学者の筆になる「はえを憎むの辞」が現代的科学的修辞に飾られてしばしばジャーナリズムをにぎわした。 しかしはえを取り尽くすことはほとんど不可能に近いばかりでなく、これを絶滅すると同時にうじもこの世界か・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  15. ・・・石炭でも石油でも鉄でも出るには相応に出ても世界で著名なこれらのものの産地の産額に匹敵するものはないであろう。日本が鎖国として自給自足に甘んじているうちはとにかく世界の強国として乗り出そうとする場合に、この事実が深刻な影響を国是の上に及ぼして・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  16. ・・・ これについて思い出すのは、東京の著名な神社の祭礼に、街上で神輿をかついで回っている光景である。おおぜいの押し合う力の合力の自然変異のために神輿が不規則な運動をなしている状態は、顕微鏡下でたとえばアルコホルに浮かぶアルミニウムの微細な薄・・・<寺田寅彦「物質群として見た動物群」青空文庫>
  17. ・・・これに反して著名な作家の作品を見れば如何にこれらの場合における描写が科学的に普遍で必然だと思われるように表われているかが分るだろう。そればかりでなく如何に多くの新しい知識を吾人に教えているかが分るだろう。但しそれは何も作家の学問的知識から生・・・<寺田寅彦「文学の中の科学的要素」青空文庫>
  18. ・・・中学時代にわれわれが多く耳にしたような著名な作家の名前はここではあまり目に立たない。ちょうど西洋の画廊で古い絵ばかり見て、日本へ帰って始めてキュービストやフュチュリストを見せられたような心持ちがする事がある。実際今の日本の文学者の前でホーマ・・・<寺田寅彦「丸善と三越」青空文庫>
  19. ・・・ 文学者でチェルシーに縁故のあるものを挙げると昔しはトマス・モア、下ってスモレット、なお下ってカーライルと同時代にはリ・ハントなどがもっとも著名である。ハントの家はカーライルの直近傍で、現にカーライルがこの家に引き移った晩尋ねて来たとい・・・<夏目漱石「カーライル博物館」青空文庫>
  20. ・・・博士が忽然と著名になったのは、今までまるで人の眼に触れないで経過した科学界という暗黒な人世の象面に、一点急に輝やく場所が出来たと同じ事である。其所が明るくなったのは仕合せである。しかし其所だけが明るくなったのは不都合である。 一般の社会・・・<夏目漱石「学者と名誉」青空文庫>
  21. ・・・アナーキスト出身で著名な婦人作家で、その才能の素質と妻としておかれている偽瞞的な環境のためにアナーキズムから社会観を本質的に高められることができず、労働者弾圧にも動員される右翼の暴力団の生活に近接する機会をもつようになって、その描きてとして・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十五巻)」青空文庫>
  22. ・・・ 第十四話、毛生動物の話は、やはりアメリカの生んだ著名な野生動物観察者であったシートンの「動物記」の面白さを懐しく想起させずにはおかない。シートンの熊の生活の報告、狐の話その他何と鮮明に語られていることだろう。ところが、シートンの相当な・・・<宮本百合子「科学の常識のため」青空文庫>
  23. ・・・その巖の特殊な現象と、その小島に限って南洋植物が生育しているのとが、青島を著名にしているのだが、私共は大してびっくりしなかった。宮崎県では、大事な名所の一つとしているのだろうが、島中に青島神社を祭ったぎり、その特徴ある島の成因について、科学・・・<宮本百合子「九州の東海岸」青空文庫>
  24. ・・・ 婦人洋画家として今日著名なひとは既に何人かある。その制作を系統だてて蒐集しているという人が果してあるだろうか。女の画家は、画壇で統領となれないから売れないと云われるが、画壇で統領になれないのは、現在の社会へ女が入ってゆくためには、門が・・・<宮本百合子「くちなし」青空文庫>
  25. ・・・のような女房をもった佃に同情すべきであるというような言葉が、著名なひとの文芸評論として登場したりした文学の時代でもあったのだった。 戦後、「伸子」が十六七歳の少女の心にも通じる女性の訴として日常生活のなかによまれはじめたとき、わたしの心・・・<宮本百合子「心に疼く欲求がある」青空文庫>
  26. ・・・国際局が、ソヴェト共和国に対する戦争勃発の際文学者は如何なる態度をとるべきかについて、世界の著名な作家の間から集めた意見は、曾てイズエスチャ紙上に掲載されたところである。 外国支部の指導において国際局は、プロレタリア作家乃至その団体の右・・・<宮本百合子「ニッポン三週間」青空文庫>
  27. ・・・ 勿論この間には、多少生活感情上の暗闘がなかった訳ではありませんが、彼女は、稀な美貌と事務的敏腕を兼備し、その上、著名な良人を持ち、ロンドンでも数少ない程、調ったよき家庭の主婦であると云う素晴らしい調和で有名な一人の女性となりました。・・・<宮本百合子「「母の膝の上に」(紹介並短評)」青空文庫>
  28. ・・・彼女はバルザックをカストリィ公爵夫人のサロンに紹介し、そこに集るド・ミュッセやサント・ブウヴなど当時の著名な文学者に近づけるための努力をした。十数年後ハンスカ夫人に宛てた手紙の中でバルザックが当時の優しい回想に溺れながら述べているように、困・・・<宮本百合子「バルザックに対する評価」青空文庫>
  29. ・・・ロシア全土は、歴史に著名なポベドノスツェフの辣腕によって窒息させられ、チェホフが友人への手紙に「ロシアは専制によって滅亡に近づいている」と書いた時代であった。多くの有能な生命が監獄とシベリヤとで滅ぼされている。しかし坐って論じている人々は、・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」青空文庫>
  30. ・・・例えば十九世紀の後半、全欧州を通じてもっとも著名な女流数学者であったソーニァ・コヴァレフスカヤは、マリアより十歳の年上であった。そしてロシアの進歩的な若い娘が旧式な親たちの望まない知識と社会的自由を手に入れる特別な方法として選んだ名義だけの・・・<宮本百合子「マリア・バシュキルツェフの日記」青空文庫>