ちょん例文一覧 26件

  1. ・・・ これを見た燕はどんなけっこうなものをもらったよりもうれしく思って、心も軽く羽根も軽く王子のもとに立ちもどってお肩の上にちょんとすわり、「ごらんなさい王子様。あの二人の喜びはどうです。おどらないばかりじゃありませんか。ごらんなさい泣・・・<有島武郎「燕と王子」青空文庫>
  2. ・・・猫柳の枝なぞに、ちょんと留まって澄ましている。人の跫音がするとね、ひっそりと、飛んで隠れるんです……この土手の名物だよ。……劫の経た奴は鳴くとさ」「なんだか化けそうだね」「いずれ怪性のものです。ちょいと気味の悪いものだよ」 で、・・・<泉鏡花「海の使者」青空文庫>
  3. ・・・馬に乗った勢で、小庭を縁側へ飛上って、ちょんちょんちょんちょんと、雀あるきに扉を抜けて台所へ入って、お竈の前を廻るかと思うと、上の引窓へパッと飛ぶ。「些と自分でもお働き、虫を取るんだよ。」 何も、肯分けるのでもあるまいが、言の下・・・<泉鏡花「二、三羽――十二、三羽」青空文庫>
  4. ・・・何、黒山の中の赤帽で、そこに腕組をしつつ、うしろ向きに凭掛っていたが、宗吉が顔を出したのを、茶色のちょんぼり髯を生した小白い横顔で、じろりと撓めると、「上りは停電……下りは故障です。」 と、人の顔さえ見れば、返事はこう言うものと極め・・・<泉鏡花「売色鴨南蛮」青空文庫>
  5. ・・・……かるめら焼のお婆さんは、小さな店に鍋一つ、七つ五つ、孫の数ほど、ちょんぼりと並べて寂しい。 茶めし餡掛、一品料理、一番高い中空の赤行燈は、牛鍋の看板で、一山三銭二銭に鬻ぐ。蜜柑、林檎の水菓子屋が負けじと立てた高張も、人の目に着く手術・・・<泉鏡花「露肆」青空文庫>
  6. ・・・と蓮葉に言って、赤い斑点の出来た私の手の甲をぎゅっと抓ると、チャラチャラと二階の段梯子を上って行ったが、やがて、「――ちょんの間の衣替え……」と歌うように言って降りて来たのを見ると、真赤な色のサテン地の寝巻ともピジャマともドイスともつか・・・<織田作之助「世相」青空文庫>
  7.  みんなは私が鼻の上に汗をためて、息を弾ませて、小鳥みたいにちょんちょんとして、つまりいそいそとして、見合いに出掛けたといって嗤ったけれど、そんなことはない。いそいそなんぞ私はしやしなかった。といって、そんな時私たちの年頃の・・・<織田作之助「天衣無縫」青空文庫>
  8. ・・・道理で、此頃、熊と伊三郎がちょん/\やっとると思いよった。くそッ!」 敷地にはずれた連中は、ぐゎい/\騒ぎ出した。敷地に這入るか、這入らないかは、彼等の家がつぶれるか、つぶれないかに関係していた。真剣に、目を血ばしらすのは当然だった。・・・<黒島伝治「浮動する地価」青空文庫>
  9. ・・・ 豪胆で殺伐なことが好きで、よく銃剣を振るって、露西亜人を斬りつけ、相手がない時には、野にさまよっている牛や豚を突き殺して、面白がっていた、鼻の下に、ちょんびり髭を置いている屋島という男があった。「こういうこた、内地へ帰っちゃとても・・・<黒島伝治「雪のシベリア」青空文庫>
  10. ・・・そして、最初箸の先にちょんびり肴を挾んで左手の掌にそれを置いて口にもってゆくとき、龍介をちょっとぬすみ見て、身体を少しくねらし、顔をわきにむけて、食べた。彼はすぐまた酒をついでやった。女はまたさかなを食った。章魚の方にも箸をつけた。腹が減っ・・・<小林多喜二「雪の夜」青空文庫>
  11. ・・・あげくの果には、私の大事な新芽を、気が狂ったみたいに、ちょんちょん摘み切ってしまって、うむ、これでどうやら、なんて真顔で言って澄ましているのよ。私は、苦笑したわ。あたまが悪いのだから、仕方がないのね。あの時、新芽をあんなに切られなかったら、・・・<太宰治「失敗園」青空文庫>
  12. ・・・眼をぱちぱちさせて起き上り、ちょんと廊下の欄干にとまって、嘴で羽をかいつくろい、翼をひろげて危げに飛び立ち、いましも斜陽を一ぱい帆に浴びて湖畔を通る舟の上に、むらがり噪いで肉片の饗応にあずかっている数百の神烏にまじって、右往左往し、舟子の投・・・<太宰治「竹青」青空文庫>
  13. ・・・自分は白いネルをちょん切っただけのものを襟巻にしていた。それが知らぬ間にひどくよごれてねずみ色になっているのを先生が気にしていた。いつか行ったとき無断で没収され、そうして強制的にせんたくを執行された上で返してくれたことがあった。そのネルの襟・・・<寺田寅彦「俳諧瑣談」青空文庫>
  14. ・・・右手の車庫のトタン屋根に雀が二羽、一羽がちょんちょんと横飛びをして他の一羽に近よる。ミーラヤ、ラドナーヤとでも囀っているのか。相手は逃げて向うの電柱の頂へ止まる。追いかけてその下の電線へ止まる。頂上のはじっとして動かない。下のは絶えず右に左・・・<寺田寅彦「病院風景」青空文庫>
  15. ・・・と仁王立になった信玄と、ちょんびり、出立の用意を命じて思い入れした信玄とが短くつながって幕になってしまったのである。 早苗の死、其に連関して全く消極の働きを起した老傅役の自殺、子義信の反乱が、信玄の心にどう影響したか。自分は其が知りたか・・・<宮本百合子「印象」青空文庫>
  16. ・・・ズーッと少しまげて、ちょん。これで片方。こっちは、やっぱり始めに力を入れて、外へふくらがして――ちょん。」口でいいながら、三寸四角位の中に一ついの字を書いた。 指の覚えもなく、息を殺して白い、春の光に特に白い紙の面を見つめていた私は、上・・・<宮本百合子「雲母片」青空文庫>
  17. ・・・見えない運動場の隅から響いて来るときの声、すぐ目の前で、「おーひとおぬけ、おーふたおぬけ、ぬけた、ちょんきり、おじゃみさーあくら」と調子をつけて唱う声々の錯綜。―― その声と光に包まれながら、自分が廊下をゆっくり、ゆっくり歩いて・・・<宮本百合子「思い出すかずかず」青空文庫>
  18. ・・・恥かしい気もうじうじする気も私の心の隅にはちょんびりも生れて来なかった。 御供をし又それを静かに引いて柩は再び皆の手に抱かれて馬車にのせられ淋しい砂利路を妹の弟と身内の誰彼の眠って居る家の墓地につれられた。 赤子のままでこの世を去っ・・・<宮本百合子「悲しめる心」青空文庫>
  19. ・・・頻りにそうやっているうちに、どうも敢て近づく気がしないのだろう、ちょんちょんと、また元の枝まで戻ってしまった。それでも気になるらしく、低い声で、喉を鳴らしているのである。 今度は、同じ鳥の雄が来た。やはり同じ径路を繰り返す。 可哀・・・<宮本百合子「小鳥」青空文庫>
  20. ・・・五六人の男の踊り手が、黒い装で、ちょんびり人体力学の真似をやる。 が、諸君、おどろくな。この最後の一幕を通じて、凡そ二百人ばかりの、白いシャツを着た大群集が順ぐり高さの違う台の上にキレイに立ち並ばせられたまま、滝が落ちようが、石油が燃え・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>
  21. ・・・ 私の強さは、もうちょんびりぼっちほか残って居ない様な、情ない有様になって来る。 燈を消そうかとも思わないではなかったけれ共、うす暗い部屋の中に、ポツネンと滅り込みそうになって居なければならない事を思うと、又それもいやである。暫くの・・・<宮本百合子「盗難」青空文庫>
  22. ・・・ 奥さんがずぼらななりをして居るのに、いつもその子は、きちっとした風をして居た。 ちょくちょく下の妹もつれて来た。 ちょんびりな髪をお下げに結んで、重みでぬけて行きそうなリボンなどをかけて、大きな袂の小ざっぱりとしたのを着せられ・・・<宮本百合子「二十三番地」青空文庫>
  23. ・・・ 私など、今死ぬなんかと云ったら、どんなにまあ泣く事だろう。 ちょんびりも死にたくなんかない。 私はしたい事が、山ほどある。 私の行末は、明るくて嬉しい事ずくめである。 こんな事は、勿論、まるで雲をつかむ様な空想ではある・・・<宮本百合子「熱」青空文庫>
  24. ・・・ 私は、ちょんびりも、そう云う気持は持って居なかったけれ共、彼等が生れるとから、両親が町の地主にいじめられ、いろいろの体の好い「罠」に掛けられた事を小さいながら知り、それ等の憎むべき敵は皆自分達より良い着物を着、好い食物をたべて、自分達・・・<宮本百合子「農村」青空文庫>
  25. ・・・とも切れの幅ひろく短い紐をちょんと横に結んだところもなかなか愛らしくて、びらしゃらもしないのである。 日本の着物の感覚で、色彩的ということがもっとこまやかな味いで感じられるようにならなければうそと思う。 近頃のけばけばしさ、というと・・・<宮本百合子「働くために」青空文庫>
  26. ・・・それが遠い、遠い向うにちょんぼり見えていて、却てそれが見える為めに、途中の暗黒が暗黒として感ぜられるようである。心理学者が「闇その物が見える」と云う場合に似た感じである。「こわいわねえ」と、お花は自分の足の指が、先きに立って歩いているお・・・<森鴎外「心中」青空文庫>