ち‐りょく【知力/×智力】例文一覧 20件

  1. ・・・私が私の視覚の、同時にまた私の理性の主権を、ほとんど刹那に粉砕しようとする恐ろしい瞬間にぶつかったのは、私の視線が、偶然――と申すよりは、人間の知力を超越した、ある隠微な原因によって、その妻の傍に、こちらを後にして立っている、一人の男の姿に・・・<芥川竜之介「二つの手紙」青空文庫>
  2. ・・・今より二十何年前にはイクラ文人が努力しても、文人としての収入は智力上遥に劣ってる労働階級にすら及ばないゆえ、他の生活の道を求めて文学を片商売とするか、或は初めから社会上の位置を度外して浮世を茶にして自ら慰めるより外仕方が無かったのである。・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  3. ・・・一日二日相手に遊んでいるうち、子供の智力の想ったほどにもなく発達しておらないというようなことも、彼の気持を暗くした。「俺も正式に学校でも出ていて、まじめに勤めをするとか、翻訳の稽古でもしていたら、今ごろはこうしたことにもならずにすんだも・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  4. ・・・感情も意志も知力もその能を尽くすべき時である。冬はいじけ春はだらけ夏はやせる人でも、この季節ばかりは健康と精力とを自覚するだろう。それで季節が季節だけに自分のウォーズウォルス詩集に対する心持ちがやや変わって来た、少しはしんみりと詩の旨を味わ・・・<国木田独歩「小春」青空文庫>
  5. ・・・いてかかるにもうふッつりと浮気はせぬと砂糖八分の申し開き厭気というも実は未練窓の戸開けて今鳴るは一時かと仰ぎ視ればお月さまいつでも空とぼけてまんまるなり 脆いと申せば女ほど脆いはござらぬ女を説くは知力金力権力腕力この四つを除けて他に求む・・・<斎藤緑雨「かくれんぼ」青空文庫>
  6. ・・・ とにかく体力と知力との戦いとして見るときに、自分のような素人にもこの勝負の特別な興味が感ぜられるのであった。 カルネラは体重一一九キロ身長二・〇五メートル、ベーアは九五キロと一・八八メートルだそうで、からだでは到底相手になれないの・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  7. ・・・よし head までも比喩的な意味に解せられるとしても uneasy lies the head と続けて読んで、しかもこの head を抽象的な能力とか知力とか解釈する者はあるまい。誰でも具体的の髪の生えた頭と解釈するであろう。head ・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  8. ・・・実はその繁多にしてこれに従事するの智力に乏しきこそ患うべけれ。これを勤めて怠らざれば、その事務よくあがりて功を奏したるの例も少なからず。一事に功を奏すれば、したがってまた一事に着手し、次第に進みてやむことなくば、政府の政は日に簡易に赴き、人・・・<福沢諭吉「学者安心論」青空文庫>
  9. ・・・非役の輩は固より智力もなく、かつ生計の内職に役せられて、衣食以上のことに心を関するを得ずして日一日を送りしことなるが、二、三十年以来、下士の内職なるもの漸く繁盛を致し、最前はただ杉檜の指物膳箱などを製し、元結の紙糸を捻る等に過ぎざりしもの、・・・<福沢諭吉「旧藩情」青空文庫>
  10. ・・・自分の体力、智力、自分とひととの経験の総和についての知識とその実力とが、むき出しな自然の動きと直面し対決してゆく、その味わいでの山恋いではないだろうか。槇有恒氏の山についての本はどんなその間の機微を語っているか知らないけれど、岩波文庫のウィ・・・<宮本百合子「科学の常識のため」青空文庫>
  11. ・・・という文章は悪意を底にひそめた感情の鋭さや、その感情を彼によって使い古されている切札である知力や統計の力やによって強固にしようと努力している姿において彼のこれまで書いたどの文章よりも悲惨である。 現代のように錯綜し緊張し、処々ではも・・・<宮本百合子「こわれた鏡」青空文庫>
  12. ・・・其上に、長い伝習と、不具な教育とは、女性自らの体力と智力とをも束縛して居ります。従って、現代の日本の女性の裡には無数の夭折する――心理的の意味に於て――力が埋められて居ります。何物をも産出する事の不可能なよき魂がございます。よく成ろうとする・・・<宮本百合子「C先生への手紙」青空文庫>
  13. ・・・ やがて自動車での陸地の跋渉がはじまって、初めて女性は自分の体力と智力とによって地球を平面的にわがものとするに到った。 女性が飛行機を操縦する時代になっていることは今世紀の人類的な飛躍の姿であると思う。より一層の体力とより一層の科学・・・<宮本百合子「空に咲く花」青空文庫>
  14. ・・・     Dのリアリズム       自然主義とのちがい○顕微鏡の力と予言者の視力とをかね備えた 彼の幻想家的な知力にとむリアリズム、p.202○一切を彼は不思議に内部から認識する ゾラとの著しき対比   フラン・・・<宮本百合子「ツワイク「三人の巨匠」」青空文庫>
  15. ・・・ その根元から覆して、世の外へ投げやりたい生活の苦しみは、いつの世にあっても、人間が生活をして居る間は絶えない事であるのを思えば、生活の苦しみに打ち勝ち得る智力とそれにともなう肉体を持たないこの子供等と同じ様な気持の人が幾百人、幾万人、・・・<宮本百合子「農村」青空文庫>
  16. ・・・人間のために何事かをなし得た人々は、今も昔もきわめて人間らしさの激しくきつい人々、その情熱も智力も意志もひとしおつよい人々ではなかったのだろうか。 フロレンス・ナイチンゲールは一八二〇年イギリスの由緒ある上流の娘として誕生した。一八・・・<宮本百合子「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」青空文庫>
  17. ・・・若い娘の美容法の一くさりに、眼の美しい表情は程よい読書と頭脳の集中された活動によってもたらされる、ということが云われた時代があった。今ではこれも長閑な昔がたりのようにきこえる。若い娘の知力は、ただあれもこれも知っているという皮相のところから・・・<宮本百合子「若い娘の倫理」青空文庫>
  18. ・・・そのために外形上、女子大学、専門学校等が出来、何人かの婦人弁護士と、より多数の女医、沢山の女教師が出ている今日でも、その人々の専門家としての力量、社会人としての智力能力は遺憾ながら、大体同じ専門教育を受けた男子と等しくないという悲しい結果を・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>
  19. ・・・しかし学問なぞをしない、智力の発展していない多数に不用なのである。学問をしたものには、それが有用になって来る。原来学問をしたものには、宗教家の謂う「信仰」は無い。そう云う人、即ち教育があって、信仰のない人に、単に神を尊敬しろ、福音を尊敬しろ・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  20. ・・・われわれは知力の傾向に従って、特異な点を常に看過しようとするけれども、実際はすべてが全然特異なのである。 またわれわれは漠然と「顔」ということをいうが実際にわれわれが経験するのは個々別々な、特殊な人相であって一般的な「顔」ではない。人相・・・<和辻哲郎「自己の肯定と否定と」青空文庫>