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ちん‐れつ【陳列】例文一覧 30件

  1.  いつぞや上野の博物館で、明治初期の文明に関する展覧会が開かれていた時の事である。ある曇った日の午後、私はその展覧会の各室を一々叮嚀に見て歩いて、ようやく当時の版画が陳列されている、最後の一室へはいった時、そこの硝子戸棚の前・・・<芥川竜之介「開化の良人」青空文庫>
  2. ・・・が、今田代君が見せてくれたのは、その麻利耶観音の中でも、博物館の陳列室や世間普通の蒐収家のキャビネットにあるようなものではない。第一これは顔を除いて、他はことごとく黒檀を刻んだ、一尺ばかりの立像である。のみならず頸のまわりへ懸けた十字架形の・・・<芥川竜之介「黒衣聖母」青空文庫>
  3. ・・・過去の廊下には薄暗い中にさまざまの正義が陳列してある。青竜刀に似ているのは儒教の教える正義であろう。騎士の槍に似ているのは基督教の教える正義であろう。此処に太い棍棒がある。これは社会主義者の正義であろう。彼処に房のついた長剣がある。あれは国・・・<芥川竜之介「侏儒の言葉」青空文庫>
  4. ・・・服部長八の漆喰細工の肖像館という見世物に陳列された椿岳の浮雕塑像はこの写真から取ったのであった。 椿岳は着物ばかりでなく、そこらで売ってる仕入物が何でも嫌いで皆手細工であった。紙入や銭入も決して袋物屋の出来合を使わないで、手近にあり合せ・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  5. ・・・ だが、鴎外時代になってから目に見えない改革が実現された。陳列換えは前総長時代からの予ての計画で、鴎外の発案ではなかったともいうし、刮目すべきほどの入換えでもなかったが、左に右く鴎外が就任すると即時に断行された。研究報告書は経費の都合上・・・<内田魯庵「鴎外博士の追憶」青空文庫>
  6. ・・・ 世の中には行詰った生活とか生の悶えとか言うヴォヤビュラリーをのみ陳列して生活の苦痛を叫んでるものは多いが、その大多数は自己一身に対しては満足して蝸殻の小天地に安息しておる。懐疑といい疑惑というもその議論は総てドグマの城壁を固めて而して・・・<内田魯庵「二葉亭四迷」青空文庫>
  7. ・・・店の入口にガラス張りの陳列窓があり、そこに古びた阿多福人形が坐っている。恐らく徳川時代からそこに座っているのであろう。不気味に燻んでちょこんと窮屈そうに坐っている。そして、休む暇もなく愛嬌を振りまいている。その横に「めをとぜんざい」と書いた・・・<織田作之助「大阪発見」青空文庫>
  8. ・・・パン屋の陳列ガラスの中には五つ六つのパンがさびしく転っていた。「電気マッサージ」と書いた看板の上に赤い軒燈があった。ひらいた窓格子から貧しい内部が覗けるような薄汚い家が並び、小屋根には小さな植木鉢の台がつくってあったりして、なにか安心のでき・・・<織田作之助「道」青空文庫>
  9. ・・・襷がけでこそこそ陳列棚の拭き掃除をしている柳吉の姿は見ようによっては、随分男らしくもなかったが、女たちはいずれも感心し、維康さんも慾が出るとなかなかの働き者だと思った。 開店の朝、向う鉢巻でもしたい気持で蝶子は店の間に坐っていた。午頃、・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
  10. ・・・今日までの代の変遷を見せる一種の展覧会、とでも言ったような具合に、あるいは人間の無益な努力、徒に流した涙、滅びて行く名――そういうものが雑然陳列してあるかのように見えた。諸方の店頭には立て素見している人々もある。こういう向の雑書を猟ることは・・・<島崎藤村「並木」青空文庫>
  11. ・・・朝応用美術品陳列館へ行った。それから水族館へ行って両棲動物を見た。ラインゴルドで午食をして、ヨスチイで珈琲を飲んで、なんにするという思案もなく、赤い薔薇のブケエを買って、その外にも鹿の角を二組、コブレンツの名所絵のある画葉書を百枚買った。そ・・・<著:ディモフオシップ 訳:森鴎外「襟」青空文庫>
  12. ・・・骨董品というほどでなくても、三越等の陳列棚で見る新出来の品などから比較して考えてみても、六円というのはおそらく多くの蒐集者にとっては安いかもしれない。しかし私はなんだか自分などの手に触るべからざる贅沢なものに触れたような気がしたので、急いで・・・<寺田寅彦「ある日の経験」青空文庫>
  13. ・・・そうして最後に残った絵だけをもう一遍陳列してみたらどんなことになるか。これは試しに一度やってみる価値があるかもしれない。      二 ヨーヨーとコリントゲーム ヨーヨーがすたれて、コリントゲームがいまだに残存している。・・・<寺田寅彦「異質触媒作用」青空文庫>
  14. ・・・産業博物館とでもいうものがあれば、そういう所に参考品として陳列されるべきものかもしれない。 祖母の使っていた糸車はその当時でもすっかり深く媒色に染まったいかにも古めかしいものであった。おそらく祖母の嫁入り道具の一つであったかもしれない。・・・<寺田寅彦「糸車」青空文庫>
  15. ・・・それらの多くは科学の世界の表層に浮かぶ美しいシャボン玉を連ねた美しい詩であり、素人の好奇心を刺激するような文明の利器を陳列したおもしろい見世物ではあるが、科学の本質に対する世人の理解を深め、科学と人生との交渉の真に新しい可能性を暗示するよう・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  16. ・・・そのほかになかなか美しい人形や小箱なども陳列してあったが、いちばん自分の注意をひいたのは児童教育のために編纂された各種の安直な絵本であった。残念ながらわが国の書店やデパート書籍部に並んでいるあの職人仕立ての児童用絵本などとは到底比較にも何も・・・<寺田寅彦「火事教育」青空文庫>
  17. ・・・今ではたいていの田園の産物もデパートの陳列棚で見られるのであるが、それでもまだ楊梅や寒竹の筍は見られない。菱や色々の樹の実は土佐に限らぬものであろうが、しかしこれらの都会の食味の中に数えられないためか、どこでも手に入れることが出来ない。そう・・・<寺田寅彦「郷土的味覚」青空文庫>
  18. ・・・千円の晴れ着を横目ににらんで二十銭のくけひもを買えば、それでその高価な帯を買ったような不思議な幻覚を生ずる事も可能である。陳列されてある商品全部が自分のもので、宅へ置ききれないからここへ倉敷料なしのただで預けてあると思えば、金持ち気分になり・・・<寺田寅彦「銀座アルプス」青空文庫>
  19. ・・・、ヒヤシンス、ベコニヤなどもダリヤと同じく珍奇なる異草として尊まれていたが、いつか普及せられてコスモスの流行るころには、西河岸の地蔵尊、虎ノ門の金毘羅などの縁日にも、アセチリンの悪臭鼻を突く燈火の下に陳列されるようになっていた。 わたく・・・<永井荷風「葛飾土産」青空文庫>
  20. ・・・一国の首都がその権勢と富貴とに自から蒐集する凡ての物は、皆ここに陳列せられてある。われわれは新しい流行の帽子を買うためにも、遠い国から来た葡萄酒を買うためにも、無論この銀座へ来ねばならぬが、それと同時に、有楽座などで聞く事を好まない「昔」の・・・<永井荷風「銀座」青空文庫>
  21. ・・・この模様ならもう少し不平を陳列しても差し支はない。「まずうちへ帰ると婆さんが横綴じの帳面を持って僕の前へ出てくる。今日は御味噌を三銭、大根を二本、鶉豆を一銭五厘買いましたと精密なる報告をするんだね。厄介きわまるのさ」「厄介きわまるな・・・<夏目漱石「琴のそら音」青空文庫>
  22. ・・・ 南側から入って螺旋状の階段を上るとここに有名な武器陳列場がある。時々手を入れるものと見えて皆ぴかぴか光っている。日本におったとき歴史や小説で御目にかかるだけでいっこう要領を得なかったものが一々明瞭になるのははなはだ嬉しい。しかし嬉しい・・・<夏目漱石「倫敦塔」青空文庫>
  23. ・・・柱ある処には硝子の箱を据え付け、その中に骨董を陳列す。壁にそいて右の方にゴチック式の暗色の櫃あり。この櫃には木彫の装飾をなしあり。櫃の上に古風なる楽器数個あり。伊太利亜名家の画ける絵のほとんど真黒になりたるを掛けあり。壁の貼紙は明色、ほとん・・・<著:ホーフマンスタールフーゴー・フォン 訳:森鴎外「痴人と死と」青空文庫>
  24. ・・・ きのう用事があって高島屋の店の前を歩いていたら、横の方の飾窓に古い女帯や反物の再生法の見本が陳列されていた。染物講習会が開催されているのであった。時節柄だなアという感想を沁々と面に浮べていろんなひとたちが見て通った。すると、その横の入・・・<宮本百合子「新しい美をつくる心」青空文庫>
  25. ・・・その時袁世凱がしきりにそこに陳列されていた一つの宝石をほめ、そのほめかたは、その宝石を進呈しようと云わせるまでつづくようだったということも。軍閥の巨頭袁を、立憲共和の新しい中華民国の大総統に推さざるを得なかったことが、最大の過誤であったとい・・・<宮本百合子「兄と弟」青空文庫>
  26. ・・・ フランス現代美術展覧会に陳列されたロダンの彫刻数点、クローデル嬢の作品も、深い感激を与えたものです。 読んだものの中では、「神曲」、ゲーテの作品数種。 印象の種類から云えば、まるで其等のものとは異いますが、先達て中、二科にあっ・・・<宮本百合子「外来の音楽家に感謝したい」青空文庫>
  27. ・・・などが陳列された。ケーテ・コルヴィッツの画業が、ナチスのものでありえなかったということは、とりもなおさず、彼女の生涯と芸術が戦争に反対し、人民の窮乏に反対する世界のすべての人々の宝であることを証明したのであった。 新海氏の伝記の冒頭に晩・・・<宮本百合子「ケーテ・コルヴィッツの画業」青空文庫>
  28. ・・・実際に百貨店の娘さんたちの動きを見ていると、陳列台や勘定台の間を終始動いている動きは、劇しくせわしいけれども、動きそのものとして実に小刻みで小さい。若い脚がのびたいだけ伸ばされ、しなやかな背中が向きたいだけ大きく向きかわって闊達に動作してい・・・<宮本百合子「今日の生活と文化の問題」青空文庫>
  29. ・・・ ――元、この室にいろんなものが陳列してあったんですが、それはレーニン博物館へ集めてしまった。 ムイロフが、太い指で粗末な赤ラシャ張の椅子におちてる埃をひろいながらいった。 ――しかし、家具はもとのまんまです。 こっちの室も・・・<宮本百合子「スモーリヌイに翻る赤旗」青空文庫>
  30. ・・・ 何人も気がつくごとく、ここに陳列せられた洋画は主として写生画である。どの流派を追い、どの筆法を利用するにしても、要するに洋画家の目ざすところは、目前に横たわる現実の一片を捕えて、それを如実に描き出すことである。彼らにとって美は目前に在・・・<和辻哲郎「院展遠望」青空文庫>