つう‐しん【通信】例文一覧 30件

  1. ・・・せっせと先生の所へ通信部を開く交渉に行く。開成社へ電話をかけてせっせとはがきを取寄せる。誰でも皆せっせとやる。何をやるのでもせっせとやる。その代わり埓のあくことおびただしい。窓から外を見ると運動場は、処々に水のひいた跡の、じくじくした赤土を・・・<芥川竜之介「水の三日」青空文庫>
  2. ・・・大阪朝日の待遇には余り平らかでなかったが、東京の編輯局には毎日あるいは隔日に出掛けて、海外電報や戦地の通信を瞬時も早く読むのを楽みとしていた。「砲声聞ゆ」という電報が朝の新聞に見え、いよいよ海戦が初まったとか、あるいはこれから初まるとか・・・<内田魯庵「二葉亭余談」青空文庫>
  3. ・・・その従軍通信のはじめの方に、「余に一個の弟あり。今国民新聞社に勤む。去んぬる十三日、相携へて京橋なる新聞社に出勤せり。弟余を顧みて曰く、秀吉の時代、義経の時代、或は又た明治の初年に逢遇せざりしを恨みしは、一、二年前のことなりしも、今にし・・・<黒島伝治「明治の戦争文学」青空文庫>
  4. ・・・ それどころか、雑役が話してきかせたのだが、俺だちの仲間のあるものは、通信室や運動場の一定の場所をしめし合せ、雑役を使って他の独房の同志と「レポ」を交換したり「獄内中央委員会」というものさえ作っている、そして例えば、外部の「モップル」と・・・<小林多喜二「独房」青空文庫>
  5. ・・・国への通信を送るぐらいが精いっぱいの仕事であった。それに国との手紙の往復にも多くの日数がかかり世界大戦争の始まってからはことに事情も通じがたいもどかしさに加えて、三年の月日の間には国のほうで起こった不慮な出来事とか種々の故障とかがいっそう旅・・・<島崎藤村「分配」青空文庫>
  6. ・・・       四 しかし、震災の突発について政府以下、すべての官民がさしあたり一ばんこまったのは、無線電信をはじめ、すべての通信機関がすっかり破かいされてしまったために、地方とのれんらくが全然とれなくなったことです。市民たち・・・<鈴木三重吉「大震火災記」青空文庫>
  7. ・・・文章倶楽部の愛読者通信欄に投書している文学少女を笑えません。いや、もっと悪い。私は先日の手紙に於いて、自分の事を四十ちかい、四十ちかいと何度も言って、もはや初老のやや落ち附いた生活人のように形容していた筈でありましたが、はっきり申し上げると・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  8. ・・・実はあの手紙、大変忙しい時間に、社の同僚と手分けして約二十通ちかくを書かねばならなかったので、君の分だけ、個人的な通信を書いている時機がなかった。稿料のことを書かないのは却って不徳義故誰にでも書くことにしている。一緒に依頼した共通の友人、菊・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  9. ・・・     山上通信太宰治 けさ、新聞にて、マラソン優勝と、芥川賞と、二つの記事、読んで、涙が出ました。孫という人の白い歯出して力んでいる顔を見て、この人の努力が、そのまま、肉体的にわかりました。それから、芥川賞の記事を読・・・<太宰治「創生記」青空文庫>
  10. ・・・その写真の綺麗な学生さんは芹川さんと、何とかいう投書雑誌の愛読者通信欄とでも申しましょうか、そんなところがあるでしょう? その通信欄で言葉を交し、謂わば、まあ共鳴し合ったというのでしょうか、俗人の私にはわかりませんけれど、そんなことから、次・・・<太宰治「誰も知らぬ」青空文庫>
  11. ・・・一、外部との通信、全部没収。一、見舞い絶対に謝絶、若しくは時間定めて看守立ち合い。一、その他、たくさんある。思い出し次第、書きつづける。忘れねばこそ、思い出さずそろ、か。(この日、退院の約束、断腸「出してくれ!」「やかま・・・<太宰治「HUMAN LOST」青空文庫>
  12. ・・・五一型のその機関車は、同じ工場で同じころ製作された三等客車三輛と、食堂車、二等客車、二等寝台車、各々一輛ずつと、ほかに郵便やら荷物やらの貨物三輛と、都合九つの箱に、ざっと二百名からの旅客と十万を超える通信とそれにまつわる幾多の胸痛む物語とを・・・<太宰治「列車」青空文庫>
  13. ・・・      二 二千年前に電波通信法があった話 欧洲大戦の正に酣なる頃、アメリカのイリノイス大学の先生方が寄り集まって古代ギリシアの兵法書の翻訳を始めた。その訳は、人間の頭で考え得られる大概の事は昔のギリシア人が考えてしまっ・・・<寺田寅彦「変った話」青空文庫>
  14. ・・・国家の非常時に対する方面だけでも、煙幕の使用、空中写真、赤外線通信など、みんな煙の根本的研究に拠らなければならない。都市の煤煙問題、鉱山の煙害問題みんなそうである。灰吹から大蛇を出すくらいはなんでもないことであるが、大蛇は出てもあまり役に立・・・<寺田寅彦「喫煙四十年」青空文庫>
  15. ・・・たぶん外国からの通信の翻訳であろうと思うが、あの記事なども科学者の目には実に珍妙なものであった。よくよく読んでみるとなるほど重い水素Dからできた水のことと了解されるが、ちょっと読んだくらいでは実に不思議な別物のような感じを起こさせるという書・・・<寺田寅彦「ジャーナリズム雑感」青空文庫>
  16. ・・・たださし当っての方法としては南洋、支那、満洲における観測並びに通信機関の充実を計って、それによって得られる材料を基礎として応急的の研究を進める外はないであろう。 自分の少しばかり調べてみた結果では、昨年の颱風の場合には、同時に満洲の方か・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  17. ・・・興行者と常習的観客の間には必ず適当な巧妙な通信機関がいろいろとくふうされるに違いない。 その他の多くの広告はたいてい日刊新聞によらなくてもすむものである。たとえば書籍雑誌の広告にしたところで、おそらく日本ほど多数でぎょうぎょうしいのはど・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  18. ・・・道太は呟いたが、何か東京の方へ通信があって、それで呼び返すための電報じゃないかと、ちょっとそういう疑いも起こった。ここへ来てから、彼は東京へ一度しか音信をしていなかった。しかしその疑いは何の理由のないことは自分も承知していた。「いったい・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  19. ・・・伊予にいる一旧友は余が学位を授与されたという通信を読んで賀状を書こうと思っていた所に、辞退の報知を聞いて今度は辞退の方を目出たく思ったそうである。貰っても辞してもどっちにしても賀すべき事だというのがこの友の感想であるとかいって来た。そうかと・・・<夏目漱石「博士問題とマードック先生と余」青空文庫>
  20. ・・・連は焼気になって政府に面当をしているという通信だ。面白い。そうこうする内に十時二十分だ。今日は例のごとく先生の家へ行かねばならない。まず便所へ行って三階の部屋へかけ上って仕度をして下りて見るとまだ十一時には二十分ばかり間がある。また新聞を見・・・<夏目漱石「倫敦消息」青空文庫>
  21. ・・・憐れなる子規は余が通信を待ち暮らしつつ、待ち暮らした甲斐もなく呼吸を引き取ったのである。 子規はにくい男である。嘗て墨汁一滴か何かの中に、独乙では姉崎や、藤代が独乙語で演説をして大喝采を博しているのに漱石は倫敦の片田舎の下宿に燻って、婆・・・<夏目漱石「『吾輩は猫である』中篇自序」青空文庫>
  22. ・・・「キッコ、キッコ、うな通信簿持って来たが。おら忘れで来たぢゃあ。」「わあい、さの、木ペン借せ、木ペン借せったら。」「わあがない。ひとの雑記帳とってって。」 そのとき先生がはいって来ましたのでみんなもさわぎながらとにかく立ちあ・・・<宮沢賢治「風の又三郎」青空文庫>
  23. ・・・拘禁生活をさせられていた人々ばかりでなく、どっさりの人は戦地におくられて、通信の自由でなかった家郷の愛するものの生死からひきはなされて、自分たちの生命の明日を知らされなかった。 きょう読みかえしてみると、日本の戦争進行の程度につれて・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第五巻)」青空文庫>
  24. ・・・それは日本の内にひそんでいる戦争挑発者によってそそのかされてジャーナリズムの上に現れるばかりでなく、在パリその他の外国都市に生活する人、旅行している人々の通信が、ルポルタージュの形をとりながら大きく歪曲をふくんでいる場合が少くない。 ま・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」青空文庫>
  25. ・・・小説の形をとっているけれども、題材は、ソヴェトの新聞にでていた農村通信の記事だったと記憶する。だから現実に或るコルホーズに起ったエピソードであった。こんにちよみかえすと、小説としてはごく単純だけれども、それぞれの農村でコルホーズがどんな過程・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第八巻)」青空文庫>
  26. ・・・「お互いにしばらくは、通信もできないかも知れません。パリは平静です。出征する人たちの悲しみは見られますが、一般に好ましい印象を与えています。」 彼女は落着いた文章のうちに情熱をこめて、小国ながら勇敢なベルギーは容易にドイツ軍の通過を・・・<宮本百合子「キュリー夫人」青空文庫>
  27. ・・・案内の若い、労働通信員をしている技師と工場内の花の咲いたひろい通路を歩いていたら、こっちでは電熱炉で鉄を溶かしている鍛冶部の向い側のどこかで、嬉しそうなピアノの音がしはじめた。「セルマシストロイ」は巨大工場で未完成だ。各部がまだクラブを・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」青空文庫>
  28. ・・・ 職場の壁新聞・工場新聞は、三十万人の労働通信員、農村通信員に意見発表の機会を与えているばかりではない。やっと二年前に文字を書くことを覚えた六十の婆さんに向っても、開放されている。工場内には、はじめ、極く日常の出来事に関する感想を壁新聞・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  29. ・・・ 忠利の許しを得て殉死した十八人のほかに、阿部弥一右衛門通信というものがあった。初めは明石氏で、幼名を猪之助といった。はやくから忠利の側近く仕えて、千百石余の身分になっている。島原征伐のとき、子供五人のうち三人まで軍功によって新知二・・・<森鴎外「阿部一族」青空文庫>
  30. ・・・多分どの通信社かの手で廻したのだろう。しかし平凡極まる記事なので、読んで失望しないものはなかった。「小石川区小日向台町何丁目何番地に新築落成して横浜市より引き移りし株式業深淵某氏宅にては、二月十七日の晩に新宅祝として、友人を招き、宴会を・・・<森鴎外「鼠坂」青空文庫>