つう‐ち【通知】例文一覧 30件

  1. ・・・すると向うへ落ち着いてから、まだ一月と経たない中に、思いもよらず三浦から結婚の通知が届いたじゃありませんか。その時の私の驚きは、大抵御想像がつきましょう。が、驚いたと同時に私は、いよいよ彼にもその愛の相手が出来たのだなと思うと、さすがに微笑・・・<芥川竜之介「開化の良人」青空文庫>
  2.  たね子は夫の先輩に当るある実業家の令嬢の結婚披露式の通知を貰った時、ちょうど勤め先へ出かかった夫にこう熱心に話しかけた。「あたしも出なければ悪いでしょうか?」「それは悪いさ。」 夫はタイを結びながら、鏡の中のた・・・<芥川竜之介「たね子の憂鬱」青空文庫>
  3. ・・・隆殿の先人に対し面目なく、今さら変替相成らず候あわれ犠牲となりて拙者の名のために彼の人に身を任せ申さるべく、斯の遺言を認め候時の拙者が心中の苦痛を以て、御身に謝罪いたし候      月 日清川通知     お通殿 二度三度繰・・・<泉鏡花「琵琶伝」青空文庫>
  4. ・・・この前日、夫人像出来、道中安全、出荷という、はがきの通知をうけていた。 のち二日目の午後、小包が届いたのである。お医師を煩わすほどでもなかった。が、繃帯した手に、待ちこがれた包を解いた、真綿を幾重にも分けながら。 両手にうけて捧げ参・・・<泉鏡花「夫人利生記」青空文庫>
  5. ・・・ そこへ通知してあったのだろう、青木がやって来た。炉のそばへ来て、僕と家のものらにちょっと挨拶をしたが、これも落ちつきのない様子であった。「まだお宅へはお話ししてないけれど、きょう私がいよいよ吉弥を身受け致します。おッ母さんがやって・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  6. ・・・社員に一言の挨拶もなく解散するというは嚶鳴社以来の伝統の遺風からいっても許しがたい事だし、自分の物だからといって多年辛苦を侶にした社員をスッポかして、タダの奉公人でも追出すような了簡で葉書一枚で解職を通知したぎりで冷ましているというは天下の・・・<内田魯庵「三十年前の島田沼南」青空文庫>
  7. ・・・しかし、急に思いたってきたので、通知もしなかったから、この小さな寂しい停車場に降りても、そこに、上野先生の姿が見いだし得ようはずがなかったのです。 手に、ケースを下げて、不案内の狭苦しい町の中へはいりました。道も、屋根も、一面雪におおわ・・・<小川未明「青い星の国へ」青空文庫>
  8. ・・・履歴書を十通ばかり書いたが、面会の通知の来たのは一つだけで、それは江戸堀にある三流新聞社だった。受付で一時間ばかり待たされているとき、ふと円山公園で接吻した女の顔を想いだした。庶務課長のじろりとした眼を情けなく顔に感じながら、それでも神妙に・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  9. ・・・は、たぶん新聞の誤植であろうと、道子は一応考えたが、しかしひょっとして同じ大阪から受験した女の人の中に自分とよく似た名の田村道子という人がいるのかも知れない、そうだとすれば大変と思って、ひたすら正式の通知を待ちわびた。 合格の通知が郵便・・・<織田作之助「旅への誘い」青空文庫>
  10. ・・・ 二月の吉日、式を挙げて、直ぐ軽部清正、同政子と二人の名を並べた結婚通知状を三百通、知人という知人へ一人残らず送った。勿論私の入智慧、というほどのたいしたことではないけれど、しかしそんな些細なことすら放って置けばあの人は気がつかず、紙質・・・<織田作之助「天衣無縫」青空文庫>
  11. ・・・いや御通知いたしかねていたのです。半僧坊のおみくじでは、前途成好事――云々とあったが、あの際大吉は凶にかえるとあの茶店の別ピンさんが口にしたと思いますが、鎌倉から東京へ帰り、間もなく帰郷して例の関係事業に努力を傾注したのでしたが、慣れぬ商法・・・<葛西善蔵「父の出郷」青空文庫>
  12. ・・・「追而葬式の儀はいっさい簡略いたし――と葉書で通知もしてあるんだから、いっそ何もかも略式ということにしてふだんのままでやっちまおうじゃないか。せっかく大事なお経にでもかかろうというような場合に、集った人に滑稽な感じを与えても困るからね」・・・<葛西善蔵「父の葬式」青空文庫>
  13. ・・・ たった一軒の漁師の家がある、しかし一軒が普通の漁師の五軒ぶりもある家でわれら一組が山賊風でどさどさ入っていくとかねて通知してあったことと見え、六十ばかりのこの家の主人らしい老人が挨拶に出た。 夜が明けるまでこの家で休息することにし・・・<国木田独歩「鹿狩り」青空文庫>
  14. ・・・ 三日たって、県立中学に合格したという通知が来たが、入学させなかった。 息子は、今、醤油屋の小僧にやられている。<黒島伝治「電報」青空文庫>
  15. ・・・だから、毎月、どっかの頼母子が、掛戻金持算の通知をよこして来る。それで、親爺の懐はきゅう/\した。 それだのに親爺は、まだ土地を買うことをやめなかった。熊さんが、どこへ持って行っても相手にしない、山根の、松林のかげで日当りの悪い痩地を、・・・<黒島伝治「浮動する地価」青空文庫>
  16. ・・・「あれのところには通知の行くのが遅かったからね」 と言って見せて、宗太は一つある部屋の窓の方へ立って行った。何もかもひっそりと沈まりかえって、音一つその窓のところへ伝わって来なかった。「もうそろそろ夜が明けそうなものですなあ」・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
  17. ・・・最近にもまた本郷の若い甥の一人がにわかに腎臓炎で亡くなったという通知を受けた。ちょうど、私の家では次郎が徴兵適齢に当たって、本籍地の東京で検査を受けるために郷里のほうから出て来ていた時であった。次郎も兄の農家を助けながら描いたという幾枚かの・・・<島崎藤村「分配」青空文庫>
  18. ・・・あの山の中の、つまらぬ温泉宿に、あなたがおいでになったと女中から通知された時には、私は思わず、ひえっ! という奇妙な叫び声を挙げました。あなたもずいぶん滅茶なひとだと思いました。お葉書に書いてはございましたが、まさかと思って、少しもあてには・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  19. ・・・戦線から、ていねいな受取通知が来る。私はそれを読み、顔から火の発する思いである。恥ずかしさ。文字のとおりに「恐縮」である。私には、何もできぬのだ。私には、何一つ毅然たる言葉が無いのだ。祖国愛の、おくめんも無き宣言が、なぜだか、私には、できぬ・・・<太宰治「鴎」青空文庫>
  20. ・・・引越して来て、すぐにあなたは、年賀状を、移転通知を兼ねて三百枚も刷らせました。三百枚。いつのまに、そんなにお知合いが出来たのでしょう。私には、あなたが、たいへんな危い綱渡りをはじめているような気がして、恐しくてなりませんでした。いまに、きっ・・・<太宰治「きりぎりす」青空文庫>
  21. ・・・ ドイツのある書店に或る書物を注文したらまもなく手紙をよこして、その本はアメリカの某博物館で出版した非売品であるが、御希望ゆえさし上げるように同博物館へ掛け合ってやったからまもなく届くであろうと通知して来た。そうしてまもなくそれが手もと・・・<寺田寅彦「読書の今昔」青空文庫>
  22. ・・・そのせいでもあるまいが、彼がこの頃年賀状の効能の一つとして挙げているのは、それが死んだ時の通知先名簿の代用になるという事である。実際彼の場合にはこれが非常に役立つに相違ない。彼の知人名簿には十年も前に死んだ人の宿所がそのままに残っていて、何・・・<寺田寅彦「年賀状」青空文庫>
  23. ・・・それぞれ自分で適当な通知機関を設けて知るだけの事は知らなければ承知しないに相違ない。これに反して大多数の政党員ないし政治に興味をもつ一般人、それからまじめな商業や産業に従事している人たちにとってたとえば仏国の大統領が代わったとかニューヨーク・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  24. ・・・社から高島貞喜がくるという通知を受けとったこと、その演説会と座談会をやるため、印刷工組合と友愛会支部とで出来ている熊本労働組合連合会の役員たちが宣伝をうけもつこと、高島の接待は第五高等学校の連中がやること等であった。しかし同じ新人会熊本支部・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  25.  私は思いがけなく前から当地の教育会の御招待を受けました。凡そ一カ月前に御通知がありましたが、私は、その時になって見なければ、出られるか出られぬか分らぬために、直にお答をすることが出来ませんでした。しかし、御懇切の御招待です・・・<夏目漱石「教育と文芸」青空文庫>
  26. ・・・しかし向うで手紙を出したのは無論こちらから死去の通知の行った三週間も前なんだぜ。嘘をつくったって嘘にする材料のない時ださ。それにそんな嘘をつく必要がないだろうじゃないか。死ぬか生きるかと云う戦争中にこんな小説染みた呑気な法螺を書いて国元へ送・・・<夏目漱石「琴のそら音」青空文庫>
  27. ・・・正式にいうと、あらかじめ重吉に通知をしたうえ、なおH着の時間を電報で言ってやるべきであるが、なるべくお互いの面倒を省いて簡略に事を済ますのが当世だと思って、わざと前触れなしに重吉を襲ったのであるが、いよいよ来てみると、自分のやり口はただの不・・・<夏目漱石「手紙」青空文庫>
  28. ・・・規則をきき、一ヵ月、貸家の通知書を送って貰うために、五円ほどの金を払ったと覚えている。 その変に捩くれた万年筆を持った男が、帳簿を繰り繰り、九段にこんな家があるが、どうですね、少々権利があって面倒だが、などと云っている時であった。 ・・・<宮本百合子「思い出すこと」青空文庫>
  29. ・・・らしい、というのは、はっきりそういう通知さえよこさないから。 こういう一事でもわかるように、大正初頭の女学校の気風は、本当に保守的であったし、個性の特色をよろこばなかった。私の卒業した官立の女学校は、所謂品のよい、出来のよい画一にはめこ・・・<宮本百合子「女の学校」青空文庫>
  30. ・・・ 戦傷者で溢れた野戦病院から、放射線治療班の救援を求める通知がキュリー夫人宛にとどく。マリアは大急ぎで自分の車の設備を調べる。兵士の運転手がガソリンをつめている間に、マリアはいつもながらの小さい白カラーのついた黒い服の上に外套をはおり、・・・<宮本百合子「キュリー夫人」青空文庫>