つか・う〔つかふ〕【使う/遣う】例文一覧 33件

  1. ・・・が、この近所の噂じゃ、何でも魔法さえ使うそうです。まあ、命が大事だったら、あの婆さんの所なぞへは行かない方が好いようですよ」 支那人の車夫が行ってしまってから、日本人は腕を組んで、何か考えているようでしたが、やがて決心でもついたのか、さ・・・<芥川竜之介「アグニの神」青空文庫>
  2. ・・・かのわかい武士の言う名玉というのは今は私のひとみになっている、二つのオパールの事であるが、王が私の立像を造られようとなされた時、私のひとみに使うほどりっぱな玉がどこにもなかったので、たいそう心をいためておいでなさると悪いへつらいずきな家来が・・・<有島武郎「燕と王子」青空文庫>
  3. ・・・先を越してローマ字を使う人さえある。A それだけ混乱していたら沢山じゃないか。B うむ。そうすっとまだまだか。A まだまだ。日本は今三分の一まで来たところだよ。何もかも三分の一だ。所謂古い言葉と今の口語と比べてみても解る。正確に・・・<石川啄木「一利己主義者と友人との対話」青空文庫>
  4. ・・・神に使うる翁の、この譬喩の言を聞かれよ。筆者は、大石投魚を顕わすのに苦心した。が、こんな適切な形容は、凡慮には及ばなかった。 お天守の杉から、再び女の声で……「そんな重いもの持運ぶまでもありませんわ。ぽう、ぽっぽ――あの三人は町へ遊・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
  5. ・・・気がつかずにいたが、毎度風呂の中で出くわす男で、石鹸を女湯の方から貰って使うのがあって、僕はいつも厭な、にやけた奴だと思っていた。それが一度向うからあまり女らしくもない手が出て、「旦那、しゃぼん」という声が聴えると、てッきり吉弥の声であ・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  6. ・・・「何に使うか」というと、黙っている。「何でもよいから」という。やると豆腐を買ってきまして、三日月様に豆腐を供える。後で聞いてみると「旦那さまのために三日月様に祈っておかぬと運が悪い」と申します。私は感謝していつでも六厘差し出します。それから・・・<内村鑑三「後世への最大遺物」青空文庫>
  7. ・・・ 丁度、絵画に於ける色彩派が使うような色で描き現わすのである。よしんば、その色は彼のモネーなぞの使った眼を奪うような赤とか、紫とか、青とかあらゆる光線に反射するようなぎらぎらした眼の廻るような色彩のみでなくとも、極く単調な灰色とか、或は・・・<小川未明「動く絵と新しき夢幻」青空文庫>
  8. ・・・私なぞの考えで見ると、何も家をお持ちなさるからって、暮に遣う煤掃きの煤取りから、正月飾る鏡餅のお三方まで一度に買い調えなきゃならないというものじゃなし、お竈を据えて、長火鉢を置いて、一軒のお住居をなさるにむつかしいことも何もないと思いますが・・・<小栗風葉「深川女房」青空文庫>
  9. ・・・私はさっそくやってみましたが、何しろはじめは夢中になるくせにすぐへたばってしまう性質ですから、力を平均に使うということを知りません。だから最初の二三時間はひどく能率を上げても、あとがからきしだめで、ほかの人夫が一日七十銭にも八十銭にもなるの・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  10. ・・・そして滅茶苦茶にコキ使う。厭なことばかしさせる。終いにはさすがの悪魔も堪え難くなって、婆さんの処を逃げ出す。そして大きな石の下なぞに息を殺して隠れて居る。すると婆さんが捜しに来る。そして大きな石をあげて見る、――いやはや悪魔共が居るわ/\、・・・<葛西善蔵「子をつれて」青空文庫>
  11. ・・・そしてきゃっきゃっと笑いながら何か喋り合っていたが、彼女の使う言葉はある自由さを持った西洋人の日本語で、それを彼女が喋るとき青年達を給仕していたときとはまるでちがった変な魅力が生じた。「僕は一度こんな小説を読んだことがある」 聴き手・・・<梶井基次郎「ある崖上の感情」青空文庫>
  12. ・・・ 叔父の家はその土地の豪家で、山林田畑をたくさん持って、家に使う男女も常に七八人いたのである。僕は僕の少年の時代をいなかで過ごさしてくれた父母の好意を感謝せざるを得ない。もし僕が八歳の時父母とともに東京に出ていたならば、僕の今日はよほど・・・<国木田独歩「少年の悲哀」青空文庫>
  13. ・・・ のみならず、相手がこちらの手を強く握りかえした時には、それは、何を意味しているか、握手と同時に、眼をどう使うと、それはこう云っているのだ。気がすすまぬように、だらりと手を出せば、それは見込がない。等々……。握手と同時に現われる、相手の・・・<黒島伝治「渦巻ける烏の群」青空文庫>
  14. ・・・聞くさえ忌わしいことだが、掘出し物という語は無論こういう事に本づいて出来た語だから、いやしくも普通人的感情を有している者の使うべきでも思うべきでもない語であり事である。それにも関わらず掘出し物根性の者が多く、蚤取り眼、熊鷹目で、内心大掘出し・・・<幸田露伴「骨董」青空文庫>
  15. ・・・そういう動作をしているお前の妹の顔は、お前が笑うような形容詞を使うことになるが、紙のように蒼白だった。しかし、それは本当にしっかりした、もの確かな動作だったよ。特高が入ってきて、妹を見ると、「よウ!」と云った。妹は唇のホンの隅だけを動かして・・・<小林多喜二「母たち」青空文庫>
  16. ・・・わざと乱暴な言葉を使う。『時計を買いやがった――動いていやがらあ』――お前たちのはその調子だもの。」「いけねえ、いけねえ。」と、次郎は頭をかきながら食った。「とうさんがそんなことを言ったって、みんながそうだからしかたがない。」と、三・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  17. ・・・今では、絶対値の級数が収斂する意味に使うのです。級数が収斂し、絶対値の級数が収斂しないときには項の順序をかえて、任意の limit に tend させることができるということから、絶対値の級数が収斂しなければならぬということになるから、それ・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  18. ・・・けれど無言の自然を見るよりも活きた人間を眺めるのは困難なもので、あまりしげしげ見て、悟られてはという気があるので、わきを見ているような顔をして、そして電光のように早く鋭くながし眼を遣う。誰だか言った、電車で女を見るのは正面ではあまりまばゆく・・・<田山花袋「少女病」青空文庫>
  19. ・・・ 紙の色は鈍い鼠色で、ちょうど子供等の手工に使う粘土のような色をしている。片側は滑かであるが、裏側はずいぶんざらざらして荒筵のような縞目が目立って見える。しかし日光に透かして見るとこれとはまた独立な、もっと細かく規則正しい簾のような縞目・・・<寺田寅彦「浅草紙」青空文庫>
  20. ・・・庄ちゃんが困っていると、そんなら私のお金が少しあるさかえ、あれ使うことや、といったようなもんや」 お絹の口ぶりによると、弟娵がいつでも問題になるらしかった。そしてそれを言うのはお絹だった。弟は妻のために、お絹姉さんを、少し文句の多すぎる・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  21. ・・・他の芝居へ出ているものや、地方興行から帰って来た人たちが、内のものを呼び出して、出入口の戸や壁に倚りかかって話をしている事もあるし、時侯が暑くなると舞台で使う腰掛を持出して、夜昼となく大勢交る交るに腰をかけて、笑い興じていることもあったが、・・・<永井荷風「草紅葉」青空文庫>
  22. ・・・けれどもまず諸君よりもそんな方面に余計頭を使う余裕のある境遇におりますから、こういう機会を利用して自分の思ったところだけをあなた方に聞いていただこうというのが主眼なのです。どうせあなた方も私も日本人で、現代に生れたもので、過去の人間でも未来・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  23. ・・・に使い、それを利用することができる。たとえばだ、ほんとうは俺たちと兄弟なんだが、それに、ほんの「ポッチリ」目腐金をくれてやって、お前の方の「目明し」に使うことができる。捕吏にもな、スパイにもな。 お前は、俺達の仲間の間へ、そいつ等を※虫・・・<葉山嘉樹「牢獄の半日」青空文庫>
  24. ・・・ 下女下男を多く召使うとも、婦人たる者は万事自から勤め、舅姑の為めに衣を縫い食を調え、夫に仕えて衣を畳み席を掃き、子を育て汚を洗い、常に家の内に居て猥りに外に出ず可らずと言う。婦人多忙なりと言う可し。果して一人の力に叶う事か叶わ・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  25. ・・・要するに人間生きてる以上は思想を使うけれども、それは便宜の為に使うばかり。と云う考えだから、私の主義は思想の為の思想でもなけりゃ芸術の為の芸術でもなく、また科学の為の科学でもない。人生の為の思想、人生の為の芸術、将た人生の為の科学なのだ。・・・<二葉亭四迷「私は懐疑派だ」青空文庫>
  26. ・・・田舎へ行脚に出掛けた時なども、普通の旅籠の外に酒一本も飲まぬから金はいらぬはずであるが、時々路傍の茶店に休んで、梨や柿をくうのが僻であるから、存外に金を遣うような事になるのであった。病気になって全く床を離れぬようになってからは外に楽みがない・・・<正岡子規「くだもの」青空文庫>
  27. ・・・ そうしてみると、昨日あの大きな石を用もないのに動かそうとしたのもその浮標の重りに使う心組からだったのです。おまけにあの瀬の処では、早くにも溺れた人もあり、下流の救助区域でさえ、今年になってから二人も救ったというのです。いくら昨日までよ・・・<宮沢賢治「イギリス海岸」青空文庫>
  28. ・・・ これは、わたしたち日本の国民が、すべての公共物を自分たちの計画と資力・労力で建て、それを自分たちで愉快に使う場所とする習慣がなかったからです。つまり、社会万端の施設も、民主の方法で利用されるものでなかったからでしょう。 せまい・・・<宮本百合子「新しい躾」青空文庫>
  29. ・・・そんな時間を拵えるとすれば、それは烟草休の暇をそれに使う外はない。 烟草休には誰も不愉快な事をしたくはない。応募脚本なんぞには、面白いと思って読むようなものは、十読んで一つもあるかないかである。 それを読もうと受け合ったのは、頼まれ・・・<森鴎外「あそび」青空文庫>
  30. ・・・ その時ツァウォツキイは台所で使う刃物を出した。そしてフランチェンスウェヒを横切って、ウルガルン王国の官有鉄道の発起点になっている堤の所へ出掛けた。 ここはいつもリンツマンの檀那の通る所である。リンツマンの檀那と云うのは鞣皮製造所の・・・<著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外「破落戸の昇天」青空文庫>