つぎ‐に【次に】例文一覧 31件

  1. ・・・ 卓子の上にはその次に、指環の箱が二つ出て来た。白天鵞絨の蓋を明けると、一つには真珠の、他の一つには土耳古玉の指環がはいっている。「久米さんに野村さん。」 今度は珊瑚珠の根懸けが出た。「古風だわね。久保田さんに頂いたのよ。」・・・<芥川竜之介「影」青空文庫>
  2. ・・・ 次に堺氏が「ルソーとレーニン」および「労働者と知識階級」と題した二節の論旨を読むと、正直のところ、僕は自分の申し分が奇矯に過ぎていたのを感ずる。 しかしながら僕はもう一度自分自身の心持ちを考えてみたい。僕が即今あらん限りの物を抛っ・・・<有島武郎「片信」青空文庫>
  3. ・・・ 次に出たのが本人である。 一同の視線がこの一人の上に集まった。 もしそこへ出たのが、当り前の人間でなくて、昔話にあるような、異形の怪物であっても、この刹那にはそれを怪み訝るものはなかったであろう。まだ若い男である。背はずっと高・・・<著:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ 訳:森鴎外「罪人」青空文庫>
  4. ・・・で、この次に探偵小説の「活人形」というのがあり、「聾の一心」というのがある。「聾の一心」は博文館の「春夏秋冬」という四季に一冊の冬に出た。そうしてその次に「鐘声夜半録」となり、「義血侠血」となり、「予備兵」となり、「夜行巡査」となる順序であ・・・<泉鏡花「おばけずきのいわれ少々と処女作」青空文庫>
  5. ・・・ この文句の次に、出会うはずの場所が明細に書いてある。名前はコンスタンチェとして、その下に書いた苗字を読める位に消してある。 この手紙を書いた女は、手紙を出してしまうと、直ぐに町へ行って、銃を売る店を尋ねた。そして笑談のように、軽い・・・<著:オイレンベルクヘルベルト 訳:森鴎外「女の決闘」青空文庫>
  6. ・・・これならば、きかぬはずがあるまいと、次には、濃いのをかけて見ました。敏感なあり達は、すばしこく逃げたのであるが、薬のかゝったのだけは、よろめきながら歩いて、やがて、そのまま倒れてしまいました。 けれど、翌日になって、来て見ると、前日に変・・・<小川未明「近頃感じたこと」青空文庫>
  7. ・・・やがて日が暮れると、父は寄席へ出かけたが、しばらくすると近所の弁当屋から二人前の弁当を運んできたので、私は新次と二人でそれを食べながら新次にきけば、もう浜子は帰ってこないのだという。あほぬかせと私は本当にしなかったが、翌る日おきみ婆さんがい・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  8. ・・・頗る背高で、大の男四人の肩に担がれて行くのであるが、其方へ眼を向けてみると、まず肩が見えて、次に長い疎髯、それから漸く頭が見えるのだ。「看護長殿!」 と小声に云うと、「何か?」 と少し屈懸るようにする。「軍医殿は何と云わ・・・<著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷「四日間」青空文庫>
  9. ・・・ とかなり大きい声で呼びかけてみました。手の燐寸を示すようにして。「落し物でしたら燐寸がありますよ」 次にはそう言うつもりだったのです。しかし落し物ではなさそうだと悟った以上、この言葉はその人影に話しかける私の手段に過ぎませんで・・・<梶井基次郎「Kの昇天」青空文庫>
  10. ・・・これは一里の間、暗い山の手の道をたどって来たからでしょう。次にふわりとした暖かい空気が冷え切った顔にここちよく触れました。これはさかんにストーブがたいてあるからです。次に婦人席が目につきました。毛は肩にたれて、まっ白な花をさした少女やそのほ・・・<国木田独歩「あの時分」青空文庫>
  11. ・・・ 次にある価値を実現せしめることが、それ自らには善でも悪でもないというカントの考えは、価値が平等であるときには正しいが、実質的価値には等級がある。したがって意欲の対象たる価値そのものに即した善悪が存在する。より高い価値を実現する行為はよ・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  12. ・・・たゝきこんだ。次には彼は英国の病院へ収容せられた。そこで、彼は、英国のジョージ五世に言葉をかけられた。「具合はどうかね?」「おかげ様で大変いゝんです。」「アメリカの軍人ですか?」「いゝえ、あっしや、機械工なんで。」…… ・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  13. ・・・ウィンパーの一行は登る時には、クロス、それから次に年を取った方のペーテル、それからその悴が二人、それからフランシス・ダグラス卿というこれは身分のある人です。それからハドウ、それからハドス、それからウィンパーというのが一番終いで、つまり八人が・・・<幸田露伴「幻談」青空文庫>
  14. ・・・裁判長はそう云って、次に山崎に同じ質問を発した。山崎は立ち上がると、しばらくモジ/\していたが、低い声で裁判長の方に向って何か云った。裁判長は白い髯を噛みながら、「本当にやめる心積りか?」と訊きかえした。「そうです、考えるところがあって……・・・<小林多喜二「母たち」青空文庫>
  15. ・・・襖一つ隔てて直ぐその次にある納戸へも行って見た。そこはおせんが鏡に向って髪をとかした小部屋だ。彼女の長い着物や肌につけた襦袢なぞがよく掛っていたところだ。 何か残っている物でも出て来るか、こう思って、大塚さんは戸棚の中までも開けて見た。・・・<島崎藤村「刺繍」青空文庫>
  16. ・・・ 次に舜典に徴するに、舜は下流社會の人、孝によりて遂に帝位を讓られしが、その事蹟たるや、制度、政治、巡狩、祭祀等、苟も人君が治民に關して成すべき一切の事業は殆どすべて舜の事蹟に附加せられ、且人道中最大なる孝道は、舜の特性として傳へらるゝ・・・<白鳥庫吉「『尚書』の高等批評」青空文庫>
  17. ・・・滅亡するものの悪をエムファサイズしてみせればみせるほど、次に生れる健康の光のばねも、それだけ強くはねかえって来る、それを信じていたのだ。私は、それを祈っていたのだ。私ひとりの身の上は、どうなってもかまわない。反立法としての私の役割が、次に生・・・<太宰治「姥捨」青空文庫>
  18. ・・・ それから古典教育に関する著者の長い議論があるが、日本人たる吾々には興味が薄いから略する事にして、次に女子教育問題に移る。 婦人の修学はかなりまで自由にやらせる事に異議はないようだが、しかしあまり主唱し奨励する方でもないらしい。・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  19. ・・・第一に高島が有名でないこと、次に高島がボルだということからであった。「おあがんなさい」 深水の嫁さんがしきものをだしてくれた。うなずきながら、足首までしろくなったじぶんの足下をみていると、長野がいつもの大阪弁まじりで、秋にある、熊本・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  20. ・・・雨外套の職工が降りて車の中は、いよいよ広くなった。次に停車した地蔵阪というのは、むかし百花園や入金へ行く人たちが堤を東側へと降りかける処で、路端に石地蔵が二ツ三ツ立っていたように覚えているが、今見れば、奉納の小さな幟が紅白幾流れともなく立っ・・・<永井荷風「寺じまの記」青空文庫>
  21. ・・・ そのときはまだ好いが、次にきっと自分も人から見れば、やっぱり浮いた顔をして、得意な調子をふりまわしているんだろうと気がつくのです。そうするといかにも自分に対して面目なくなります。その次には、自分の浮気や得意はこの場限りで、もう少しする・・・<夏目漱石「虚子君へ」青空文庫>
  22. ・・・ 次に語る一つの話も、こうした私の謎に対して、或る解答を暗示する鍵になってる。読者にしてもし、私の不思議な物語からして、事物と現象の背後に隠れているところの、或る第四次元の世界――景色の裏側の実在性――を仮想し得るとせば、この物語の一切・・・<萩原朔太郎「猫町」青空文庫>
  23. 此作は、名古屋刑務所長、佐藤乙二氏の、好意によって産れ得たことを附記す。――一九二三、七、六――    一 若し私が、次に書きつけて行くようなことを、誰かから、「それは事実かい、それとも幻想かい、・・・<葉山嘉樹「淫賣婦」青空文庫>
  24. ・・・一 我里の親の方に私し夫の方の親類を次にすべからず。正月節句抔にも先づ夫の方を勤て次に我親の方を勤べし。夫の許さゞるには何方へも行くべからず。私に人に饋ものすべからず。 我さとの親の方に私して夫の方の親類を次にす可ら・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  25. ・・・いくらかの珍しき語を用いたるほかに何の珍しきこともあらぬなり。次に井上文雄の『調鶴集』を見てまた失望す。これも物語などにありて普通の歌に用いざる語を用いたるほかに何の珍しきこともあらぬなり。最後に橘曙覧の『志濃夫廼舎歌集』を見て始めてその尋・・・<正岡子規「曙覧の歌」青空文庫>
  26. ・・・その次に千つぶって云ったねい。千つぶでもよかったねい。」「ほんとうにねい。おいら、お酒をなぜあんなにのんだろうなあ。」「おいらもそいつを考えているんだよ。どうも一ぱい目と二杯目、二杯目と三杯目、みんな順ぐりに糸か何かついていたよ。三・・・<宮沢賢治「カイロ団長」青空文庫>
  27. ・・・この稲田に注がれている農村の女の労働力はいかばかりかしれないのに、日本の家族制度では、女は馬の次に考えられ、かあさんたちの一人もこの稲田の持ち主ではないだろう。働く婦人が、まっさきに勘定されるのはクビキリの場合だけである。これは国鉄にはっき・・・<宮本百合子「青田は果なし」青空文庫>
  28. ・・・また前に挙げた紅葉等の諸家と俳諧での子規との如きは、才の長短こそあれ、その作の中には予の敬服する所のものがある。次にここに補って置きたいのは、翻訳のみに従事していた思軒と、後れて製作を出した魯庵とだ。漢詩和歌の擬古の裡に新機軸を出したものは・・・<森鴎外「鴎外漁史とは誰ぞ」青空文庫>
  29. ・・・不思議さ、忍藻の眼の中には三郎の俤が第一にあらわれて次に父親の姿があらわれて来る。青ざめた姿があらわれて来る。血、血に染みた姿があらわれて来る。垣根に吹き込む山おろし、それも三郎たちの声に聞える。ボーン悩と鳴る遠寺の鐘、それも無常の兆かと思・・・<山田美妙「武蔵野」青空文庫>
  30. ・・・ しかしながら、その次に何物よりも、われわれの最もより多く共通した問題となるべきことがあるべき筈だ。それは、われわれ人間が世界を見る場合、唯心論的に見るべきか、唯物論的に見るべきかと云う二つの見方にちがいない。此処でわれわれの完全に・・・<横光利一「新感覚派とコンミニズム文学」青空文庫>