つくり‐だ・す【作り出す】例文一覧 15件

  1. ・・・が、わたしを造り出したものは必ず又誰かを作り出すであろう。一本の木の枯れることは極めて区々たる問題に過ぎない。無数の種子を宿している、大きい地面が存在する限りは。    或夜の感想 眠りは死よりも愉快である。少くとも容易には・・・<芥川竜之介「侏儒の言葉」青空文庫>
  2. ・・・尤もこういう痼癖がしばしば大きな詩や哲学を作り出すのであるが、二葉亭もまたこの通有癖に累いされ、直線に屈曲を見出し平面に凹凸を捜し出して苦んだり悶いたりした。坦々砥の如き何間幅の大通路を行く時も二葉亭は木の根岩角の凸凹した羊腸折や、刃を仰向・・・<内田魯庵「二葉亭追録」青空文庫>
  3. ・・・ 文学のことは年齢によってのみはかることは出来ないが、しかし、文学がその作家の置かれた環境と切り離して考えられない関係がある限り、環境は時間によって変化するので年齢はその作家の人間にも、またその作家の作り出す文学にも変化を与えるのは否まれな・・・<黒島伝治「短命長命」青空文庫>
  4. ・・・ピクニックよりもダンスよりも、婦人何々会で駆け回るよりもこのほうがはるかに身にしみてほんとうにおもしろいであろうということは、「物を作り出すことの喜び」を解する人には現代でもいくらか想像ができそうである。 ついでながら西洋の糸車は「飛び・・・<寺田寅彦「糸車」青空文庫>
  5. ・・・ これに反して拙劣なるモンタージュは、動的な画像の単調無味なる堆積によってかえって観客のあくびを促すような静的なものを作り出すことも可能である。下手な剣劇の立ち回りがそれであろう。 エイゼンシュテインは、日本の文化のあらゆる諸要素が・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  6. ・・・ 欧州のどこかの寄席で或るイタリア人の手先で作り出す影法師を見たことがある。頭の上で両手を交差して、一点の弧光から発する光でスクリーンに影を映すだけのことであるが、それは実に驚くべき入神の技であった。小猿が二匹向かい合って蚤をとり合った・・・<寺田寅彦「映画時代」青空文庫>
  7. ・・・その世界では「作り出す」「生み出す」ということだけが意義があり、それが唯一の生きて行く道であるように見えた。そうして、日々何かしら少しでも「作る」か「生む」かしない日は空費されたもののように思われたのである。もちろん若いころには免れ難い卑近・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  8. ・・・従って生活感情の真髄が狭い心の中の狭い体験が多い関係から、女性の作り出す創作には本当にユニックなものが乏しい。類型的でなくなる努力、淡泊さ、見栄え等を本当のものにする精進、性の上から来る色々の欠陥と不自由、それから脱出する苦悶――女性は芸術・・・<宮本百合子「今日の女流作家と時代との交渉を論ず」青空文庫>
  9. ・・・けれども、毎日が、そして現実が不如意だからといって、決して自分の生活に作り出すことも出来ず、取り入れることも出来ないものに気をとられて、その気をまぎらしてゆくことが、はたして青春の貧困を満すことでしょうか。そうは思われません。わたしたちはも・・・<宮本百合子「自覚について」青空文庫>
  10. ・・・ 彫刻なども、内地人が入ってからは、金の為に粗末なものを沢山に作り出すようになりましたので、真の技倆は悪くなってしまいました。それでも、家が豊で彫刻によって生きて行く必要のない人には、矢張りよい技倆を持った者があります。斯様なわけで・・・<宮本百合子「親しく見聞したアイヌの生活」青空文庫>
  11. ・・・これはただ経済的の理由だけで、金にもっと余裕がつけば直ぐにでも作り出すだろう。常設館の大きいところでは、ソユーズ・キノの技術部のものが、カメラを持って来て、休みの時間に一般の機械に関する質問に答え、機械を解剖して見せていた。 ソヴェトの・・・<宮本百合子「ソヴェトの「労働者クラブ」」青空文庫>
  12. ・・・そういう人間が集った一つの運動的な部隊としての価値が、ただ雑多な人間の寄せ集めの総和としてだけの価値を持つのでなく、別個のより高い価値を作り出すところにその運動の本質が備えている歴史的な新たな価値があった。従って、そういう運動に参加していた・・・<宮本百合子「ヒューマニズムへの道」青空文庫>
  13. ・・・しかしそれを切りぬけて出た作者は、その卒直な態度のゆえに、また物を言い切る明快さのゆえに、物の形のくっきりとした、明澄な世界を作り出すことができるであろう。そういう作の中には、非常によい人物と、非常にいやな人物とが、並んで現われるかも知れな・・・<和辻哲郎「藤村の個性」青空文庫>
  14. ・・・推古仏の特徴は肢体がほっそりした印象を与えること、顔も細面であること、それらを取り扱う場合に意味ある形を作り出すことが主要なねらいであって、感覚的な興味は二の次であることなどであるが、そういう特徴を持つものが雲岡の石仏の中に全然ないとは言い・・・<和辻哲郎「麦積山塑像の示唆するもの」青空文庫>
  15. ・・・しかも人形の使い手、語り手、弾き手は、直接に統一を作り出すのである。それは古くから言われているように「息を合わせる」のであって、悟性の判断に待つのではない。この点について三味線の鶴沢重造氏はきわめて興味の深いことを話してくれた。最初三味線を・・・<和辻哲郎「文楽座の人形芝居」青空文庫>