つつ‐ぬけ【筒抜け】例文一覧 4件

  1. ・・・ と便所の裡で屋根へ投げた、筒抜けな大欠伸。「笑っちゃあ……不可い不可い。」「ははははは、笑ったって泣いたって、何、こんな小僧ッ子の眉毛なんか。」「厭、厭、厭。」 と支膝のまま、するすると寄る衣摺が、遠くから羽衣の音の近・・・<泉鏡花「売色鴨南蛮」青空文庫>
  2. ・・・ 蜜柑箱を墨で塗って、底へ丸い穴を開けたのへ、筒抜けの鑵詰の殻を嵌めて、それを踏台の上に乗せて、上から風呂敷をかけると、それが章坊の写真機である。「またみんなを玩具にするのかい」と小母さんが笑う。この細工は床屋の寅吉に泣きついて・・・<鈴木三重吉「千鳥」青空文庫>
  3. ・・・ 筒抜けに上機嫌な一太の声を、母親はぎょっとしたようなひそひそ声で、「そうかい、そりゃお手柄だ」といそいで揉み消した。「さあもう一っ稼ぎだ」 また風呂敷包を両手に下げた引かけ帯の見窄しい母親と並んで、一太は一層商売を心得・・・<宮本百合子「一太と母」青空文庫>
  4. ・・・ ただ、底抜けでない、筒抜けでは決してないという心強さが、じわじわと彼の心の核にまで滲みこみ、悠久な愛情が滾々と湧き出して、一杯になっていた苦しみを静かに押し流しながら、慎み深い魂全体に満ち溢れるのである。「何事もはあ真当なこった…・・・<宮本百合子「禰宜様宮田」青空文庫>