つら‐だましい〔‐だましひ〕【面魂】例文一覧 5件

  1. ・・・ いかにも、そんげえなものには怯えまい、面魂、印半纏も交って、布子のどんつく、半股引、空脛が入乱れ、屈竟な日傭取が、早く、糸塚の前を摺抜けて、松の下に、ごしゃごしゃとかたまった中から、寺爺やの白い眉の、びくびくと動くが見えて、「蜻蛉・・・<泉鏡花「縷紅新草」青空文庫>
  2. ・・・精悍な面魂に欠けた前歯――これがふと曲物のようなのだ。いずれにしても一風変っている。 変っているといえば、彼は兵古帯を前で結んで、結び目の尻尾を腹の下に垂れている。結び目をぐるりとうしろへ廻すのを忘れたのか、それとも不精で廻さないのか、・・・<織田作之助「四月馬鹿」青空文庫>
  3. ・・・あの面魂だ。剥いでも剥いでも、たやすく芯を見せない玉葱のような強靱さを持っていた人だ。ころっと死んだのだ。嘘のように死んだのだ。武田さんはよくデマを飛ばして喜んでいた。南方に行った頃、武田麟太郎が鰐に食われて死んだという噂がひろがった。私は・・・<織田作之助「武田麟太郎追悼」青空文庫>
  4. ・・・ 色の浅黒い、眼に剣のある、一見して一癖あるべき面魂というのが母の人相。背は自分と異ってすらりと高い方。言葉に力がある。 この母の前へ出ると自分の妻などはみじめな者。妻の一言いう中に母は三言五言いう。妻はもじもじしながらいう。母は号・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  5. ・・・此等は随分博文館の天下をも争いかねぬ面魂であるから、樗牛も油断することは出来まい。その外帝国文学という方面には、堂々たる東京帝国大学の威を借って、血気壮な若武者達が、その数幾千万ということを知らず、入り代り立ち代り、壇に登って伎を演じて居る・・・<森鴎外「鴎外漁史とは誰ぞ」青空文庫>