てい‐げき【帝劇】例文一覧 21件

  1. ・・・しかし亜米利加の映画俳優になったK君の夫人は第二の僕を帝劇の廊下に見かけていた。(僕は突然K君の夫人に「先達それからもう故人になった或隻脚の飜訳家もやはり銀座の或煙草屋に第二の僕を見かけていた。死は或は僕よりも第二の僕に来るのかも知れなかっ・・・<芥川竜之介「歯車」青空文庫>
  2. ・・・後帝劇で舞台協会の山田、森、佐々木君等がはなばなしくやった。今の岡田嘉子がかえでをやった。夏川静枝も処女出演した。 上演は入りは超満員だったが、芝居そのものは、どうも成功とはいえなかった。作者としては不平だらだらだった。しかし舞台協会の・・・<倉田百三「『出家とその弟子』の追憶」青空文庫>
  3. ・・・ ふたりは、もう帝劇のまえまで来ていた。「入舟町へかえります。」入舟町の露路、髪結さんの二階の一室を、さちよは借りていた。「は、そうですか。」青年は、事務的な口調で言った。いよいよ不気嫌になっていた。「お送りしましょう。」 ・・・<太宰治「火の鳥」青空文庫>
  4. ・・・むかしの帝劇専属の女優なんかがいいのだよ。」「ちがうね。女優は、けちな名前を惜しがっているから、いやだ。」「茶化しちゃいけない。まじめな話なんだよ。」「そうさ。僕も遊戯だとは思っていない。愛することは、いのちがけだよ。甘いとは思・・・<太宰治「雌に就いて」青空文庫>
  5. ・・・と比較し、そうしてまた、フランスならびにロシアに対する日本のものとして見ようとする際には遺憾ながら私は帝劇の真夏の午後の善良なる一人のお客としての地位を享楽することの幸福を放棄しなければならなくなるのである。 たとえば文士渡辺篤君の家庭・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  6.  帝劇でドイツ映画「ブロンドの夢」というのを見た。途中から見ただけではあるし、別に大して面白い映画とも思われなかったが、その中の一場面としてこの映画の主役となる老若男女四人が彼等の共同の住家として鉄道客車の古物をどこかから買・・・<寺田寅彦「鴉と唱歌」青空文庫>
  7. ・・・      四 切符の鋏穴 日比谷止まりの電車が帝劇の前で止まった。前の方の線路を見るとそこから日比谷まで十数台も続いて停車している。乗客はゾロゾロ下り始めたが、私はゆっくり腰をかけていた。すると私の眼の前で車掌が乗客の一人・・・<寺田寅彦「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  8. ・・・そんなことを考えながら帝劇の玄関を下りて、雨のない六月晴の堀端の薫風に吹かれたのであった。         八 随筆は誰でも書けるが小説はなかなか誰にでも書けないとある有名な小説家が何かに書いていたが全くその通りだと思う。随・・・<寺田寅彦「雑記帳より(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」青空文庫>
  9. ・・・たとえばまた、銀座松屋の南入り口をはいるといつでも感じられるある不思議なにおいは、どういうものか先年アンナ・パヴロワの舞踊を見に行ったその一夕の帝劇の観客席の一隅に自分の追想を誘うのである。 郷里の家に「ゴムの木」と称する灌木が一株あっ・・・<寺田寅彦「試験管」青空文庫>
  10. ・・・ 数日たった後に帝劇で映画の間奏として出演しているウィンナ舞踊団を見た。アメリカのと比べてどこか「理論」の匂いがある。それだけにやはり充実した理窟なしの活力といったようなものが足りなくて淋しい。見物は義理からの拍手を送るのに骨を折ってい・・・<寺田寅彦「マーカス・ショーとレビュー式教育」青空文庫>
  11. ・・・いつか田舎から出て来た親戚の老婦人を帝劇へ案内して菊五郎と三津五郎の舞踊を見せた時に、その婦人が「あまりおもしろくて、見ているうちに、私はこんなにおもしろくてもいいのかしらんと思って、なんだかそら恐ろしくなりました」と言った。この婦人はずい・・・<寺田寅彦「丸善と三越」青空文庫>
  12. ・・・彼の時代の観客は、その騒々しい粗野な平土間席で、昨日帝劇の見物がそれを見て大いに笑ったその笑いの内容で、笑って見物したであろうか。この世にありえないことがわかりきった安らかさで笑っていた、その笑いを笑ったであろうか。ルネッサンスは、近代科学・・・<宮本百合子「現代の主題」青空文庫>
  13. ・・・―― 今夜本当は帝劇へベルクナーという女優が主演している女の心という映画を見に行こうかと思っていたのでしたが、家の中をコトコト動いていたので駄目。新交響楽団のベートウベンをずっときいているのですが、今度はパスをくれそうです。そうしたらう・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  14. ・・・ これは母コウヅに女中ととまり かえって、その日帝劇で父と会ったとき、父上の話されたこと。     夢 デンマークだ。氷原の上を、タンクのようなものや何かが通る、停車場のようなところに自分、多勢の白衣の少女と居る。自分、・・・<宮本百合子「一九二五年より一九二七年一月まで」青空文庫>
  15. ・・・ クリーゲルが行って、七円も八円も切符代のする帝劇かどっかの舞台で古典的なバレーの型を演じることと、二百万の失業者をふくむ日本のプロレタリアートとの間に、どんなつながりがあるであろうか。       メイエルホリド劇場の三晩・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>
  16. ・・・おだやかな気持にかえってあの帝劇で見た時のグレートヘンの着物、声、口元そんな事を思い出して居た。そうすると又小っぽけな小供達がけんかをはじめた。あの泣き声、叱る声、わめく声、又それをきくとかんしゃくの虫がうごめき出すと一緒に痛みが歯の間に生・・・<宮本百合子「つぼみ」青空文庫>
  17. ・・・初瀬浪子というのは帝劇の痩せた女優であった。紫のしぼりの襟から真白な頸を見せて、舞台で泣き伏していた女優の姿が目に浮んで、私は、それとおけいちゃんとの結びつきを何となし意外な、おどろいた気がした。女優になるの? そう訊くと、おけいちゃんは袂・・・<宮本百合子「なつかしい仲間」青空文庫>
  18. ・・・こんな時には大抵祖母の歌舞伎座だの、帝劇だのの話が出る。「小屋だけ見ても結構なもので。と天井に絵の張ってある事、電気がまぼしくついて居る事、ほんとうに、縮緬や緞子の衣裳をつけて居る事などを、単純な言葉で話すのだけれ共、しまい・・・<宮本百合子「農村」青空文庫>
  19.  帝劇で復活を観た。一九三〇年にモスクワ芸術座で上演された方法で演出された。 つよく印象にのこったこと。 カチューシャに扮した山口淑子は熱演している。各場面ごとに、その場面の範囲内で。このことは、女優としての山口淑子・・・<宮本百合子「復活」青空文庫>
  20. ・・・「女親」帝劇に於て初演。大倉喜八郎一夜帝劇を買切りし際、「女親」の一部を改めて上演せしことを知り、劇作家協会と共に立ってその非を鳴らし、ついに帝劇を謝罪せしむ。シュニツレル選集をこしらえて印税を全部送ったのもこの年のことである。 一九二・・・<宮本百合子「山本有三氏の境地」青空文庫>
  21. ・・・号外によれば、一日の十二時二分前、東京及び湘南地方に大地震があり、多くの家屋が倒壊すると同時に、四十八箇所から火を発し、警視庁、帝劇、三越、白木屋、東京駅、帝国大学その他重要な建物全焼、宮城さえ今猶お燃えつつある。丸の内、海上ビルディング内・・・<宮本百合子「私の覚え書」青空文庫>