て‐がかり【手掛(か)り/手懸(か)り】例文一覧 15件

  1. ・・・引用するのは後世の勝手だが、しかし、スタンダールを語るのに非常に便利な言葉、手掛りになるような言葉として引用されるようなものを、下手に残して置かない方が、スタンダールらしかったのではないかと、私は考えるのだ。 ことにそれが墓銘ときては、・・・<織田作之助「中毒」青空文庫>
  2. ・・・そのためには五感のうちの一つを欠いた人間の知識の内容がどのようなものかという事を調べるのも、最も適当な手掛りの一つだと思われた。それを調べた上で、もし出来るならば、世界中の人間がことごとく盲あるいは聾であったとしたらこれらの人間の建設した科・・・<寺田寅彦「鸚鵡のイズム」青空文庫>
  3. ・・・コーヒー茶わんの縁がまさにくちびると相触れようとする瞬間にぱっと頭の中に一道の光が流れ込むような気がすると同時に、やすやすと解決の手掛かりを思いつくことがしばしばあるようである。 こういう現象はもしやコーヒー中毒の症状ではないかと思って・・・<寺田寅彦「コーヒー哲学序説」青空文庫>
  4. ・・・ 例えば殺人罪を犯した浪人の一団の隠れ家の見当をつけるのに、目隠しされてそこへ連れて行かれた医者がその家で聞いたという琵琶の音や、ある特定の日に早朝の街道に聞こえた人通りの声などを手掛りとして、先ず作業仮説を立て、次にそのヴェリフィケー・・・<寺田寅彦「西鶴と科学」青空文庫>
  5. ・・・これによって少なくも有益な暗示を得、また将来研究すべき事項に想い到るべき手懸りを得るのではあるまいか。 地震だけを調べるのでは、地震の本体は分りそうもない。四 地震の予報 地震の予報は可能であるかという問題がしばしば提出・・・<寺田寅彦「地震雑感」青空文庫>
  6. ・・・案外、そういう方面から有益な手掛かりを得られないとも限らないからである。 樹木の年輪や、魚類の耳石の年輪や、また貝がらの輪状構造などは一見明白な理由によって説明されるようではあるが、少し詳細に立ち入って考えるとなると、やはりわからないこ・・・<寺田寅彦「自然界の縞模様」青空文庫>
  7. ・・・ この偏光の研究を更につきつめて行って、この頃では塵のない純粋なガスによって散らされる光を精細に検査し、その結果からガス分子自身の形に関するある手掛りを得ようとしている学者もあるようである。 附記。空中の塵埃に関して述ぶべき物理・・・<寺田寅彦「塵埃と光」青空文庫>
  8. ・・・ともかくも世界じゅうの化け物たちの系図調べをする事によって古代民族間の交渉を探知する一つの手掛かりとなりうる事はむしろ既知の事実である。そうして言論や文字や美術品を手掛かりとするこれと同様な研究よりもいっそう有力でありうる見込みがあ・・・<寺田寅彦「化け物の進化」青空文庫>
  9. ・・・何か嗅覚類似の感官にでもよるのか、それとも、偶然工場に舞い込んだ一匹が思いもかけぬ甘納豆の鉱山をなめ知っておおぜいの仲間に知らせたのか、自分には判断の手掛かりがない。 それはとにかく、現代日本の新聞の社会面記事として、こういうのは珍しい・・・<寺田寅彦「破片」青空文庫>
  10. ・・・ふるえる手で当もなく手掛りのない扉の面を撫で廻しながら動物のような唸り声をつづけていた。何分くらいこの状態が続いたか分らないが自分には恐ろしく長いものに思われた。そのうちに軽い足音が廊下に聞えて浅利君が這入って来たので急いで呼びかけた。入口・・・<寺田寅彦「病中記」青空文庫>
  11. ・・・またこれら分子がまた原子から成立している事も疑いない事で、分子中における原子結合の状況についても各方面から推定を下す手掛りが出来ている。前世紀の末頃までは原子までで事が足りていたが、真空中放電の研究や放射能性物質の研究から更に原子の内部構造・・・<寺田寅彦「物質とエネルギー」青空文庫>
  12. ・・・結局の目的はやはりこれらを量的分析にかけるにあるが、現象のいかなる相貌をつかまえてこれにそのような分析を加えるべきかの手掛かりを得るに苦しむのが常である。それが困難であればこそ従来の自然探究者から選み残され継子扱いにされて昔のままにわれわれ・・・<寺田寅彦「量的と質的と統計的と」青空文庫>
  13. ・・・それを衝いて行けば、何か自分の情熱を形式で拘束して、掻き立ててゆくのに非常に便利なものだと思ったし、それから、そういうものを足掛り、手掛りにし、中心にして、まだ形をなさない日本の小説に形を与えてゆく――大体そういう気持なのです」 福田恆・・・<宮本百合子「人間性・政治・文学(1)」青空文庫>
  14. ・・・ 一行が二日以上泊るのは、稀に一日の草臥休をすることもあるが、大抵何か手掛りがありそうに思われるので、特別捜索をするのである。松坂では殿町に目代岩橋某と云うものがいて、九郎右衛門等の言うことを親切に聞き取って、綿密な調べをしてくれた・・・<森鴎外「護持院原の敵討」青空文庫>
  15. ・・・わたくしの手からなんの手掛かりをもお受けにならなかったのですからね。そんなわけで、まあ、きょうお目に掛かったのは本当に久し振りでございましたわね。わたくしの申す事はお分かりになりましたでしょう。あの時二頭曳の馬車を雇っていらっしゃったらと申・・・<著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外「辻馬車」青空文庫>