てき‐はつ【摘発】例文一覧 26件

  1. ・・・それのみか、某事件の摘発、攻撃の筆がたたって、新聞条令違反となり、発売禁止はもとより、百円の罰金をくらった。続いて、某銀行内部の中傷記事が原因して罰金三十円、この後もそんなことが屡あって、結局お前は元も子もなくしてしまい無論廃刊した。 ・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  2. ・・・が、あれだけ農民、農村を知りながら、かくまで農民が非人間的な生活に突き落され、さまざまな悲劇喜劇が展開する、そのよってくる真の根拠がどこにあるかを突きつめて究明し、摘発することが出来ないのは、反都市文学のらち内から少しも出なかった農民文学会・・・<黒島伝治「農民文学の問題」青空文庫>
  3. ・・・婆さん教授に依って詩の舌を根こそぎむしり取られました私も、まだ女性を訴える舌だけは、この新憲法の男女同権、言論の自由に依って許されている筈でございますから、私のこれからの余生は挙げて、この女性の暴力の摘発にささげるつもりでございます。・・・<太宰治「男女同権」青空文庫>
  4. ・・・それよりも起こるべくしてわずかに起こらないでいるあらゆる過失や危険の芽を摘発し注意を与える事がいっそう有益である。たとえば電車や公共建築物設備の不完全あるいは破損のために将来当然に起こるべきけがや病害を、とかく不手回りがちな当局者に先だって・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  5. ・・・我輩は右の話を聞て余処の事とは思わず、新日本の一大汚点を摘発せられて慚愧恰も市朝に鞭たるゝが如し。条約改正、内地雑居も僅に数箇月の内に在り、尚お此まゝにして国の体面を維持せんとするか、其厚顔唯驚く可きのみ。抑も東洋西洋等しく人間世界なるに、・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  6. ・・・ その趣は、老成人が少年に向い、直接にその遊冶放蕩を責め、かえって少年のために己が昔年の品行を摘発枚挙せられ、白頭汗を流して赤面するものに異ならず。直接の譴責は各自個々の間にてもなおかつ効を見ること少なし。いわんや天下億万の後進生に向っ・・・<福沢諭吉「徳育如何」青空文庫>
  7. ・・・に内行を潔清に維持して俯仰慚ずる所なからんとするは、気力乏しき人にとりて随分一難事とも称すべきものなるが故に、西洋の男女独り木石にあらずまた独り強者にあらず、俗にいう穴探しの筆法を以てその社会の陰処を摘発するにおいては、千百の醜行醜聞、枚挙・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  8. ・・・常識では、災難と思えるところに、摘発の専門家の手にかかると、法律上犯罪となる条件が見出され得るということは、一般人の信頼を、安らかさに置くよりも、気味わるく思わせる。 もとより悪質な諸犯罪、殺人、お家騒動のからくりに対しては、十分専門家・・・<宮本百合子「石を投ぐるもの」青空文庫>
  9. ・・・只今開催中の臨時議会は、戦争犯罪人の摘発に脅かされて、新聞はおのずから諷刺的に彼等の恐慌を語っている。社会生活の破壊がもたらす様々な辛苦を、家庭で婦人は自身の皸のきれた手によって知っている。婦人の参政権どころか、「食べることの方が忙しい」と・・・<宮本百合子「現実に立って」青空文庫>
  10. ・・・技師が生産組織の内部で、反革命的策動をやる例は、一九二八年、国家保安部によって摘発されたドン炭坑区に於けるドイツ資本家と結托した大規模な反革命の陰謀を見てもわかる。ソヴェトの党・労働組合がプロレタリアートの中から優良な技術家を養成しようとし・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  11. ・・・などは、もっともっと目に見るように支配階級のこういう陰謀を摘発し、赤松らの憎むべき役割の撃破についてアジプロしなければならぬ。そう思うのであった。 梅雨期の前でよく雨が降った。中川は十日に一度ぐらいの割で、或る時はゴム長をはいてやっ・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  12. ・・・用紙の不足とそれにからむ不正取引摘発を機会に、内閣直属の用紙割当委員会を組織した。一九四六年に用紙割当事務の内閣移管が行われたとき、政府は日本出版協会の公的存在を認めること、言論出版の自由を認めることを条件とした。ところが行政機構の変革をチ・・・<宮本百合子「今日の日本の文化問題」青空文庫>
  13. ・・・「昭和八年十一月二十八日敵の摘発の毒牙にかかって遂に検挙され」当時既に肺結核を患っていた野呂は「警察における処遇に抗しかねて僅か二ヶ月に足らずして品川署で最後の呼吸をひきとった。数え年三十五歳であった。」 当時私の友達が偶然野呂さんのい・・・<宮本百合子「信義について」青空文庫>
  14. ・・・ 各地で隠匿物資の摘発が行われている。これには生活擁護問題の若い人々やその他種々の農民組合、労働組合の若い人々が大きい動力となって働いている。青年の本来の心にある正義心は、自分達の愚弄された青春をわが手にとり戻そうとしてこれ等の動きに現・・・<宮本百合子「青年の生きる道」青空文庫>
  15. ・・・このように不安な時代に生れる文学はリアリズムの方向にもどるにしろ当然かくの如きインテリゲンチアの不安を語り、摘発し、解決する文学でなければならない、というのがその論拠であったと考えられるのである。 そういう社会的不安を反映する文学の創作・・・<宮本百合子「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」青空文庫>
  16. ・・・第一回で、羞恥ということはわれとわが身を摘発することだ、と書きはじめている。その「ぱッと顔の赤らむ直截な感情である」羞恥とはなんであろうか、ということをこの作者は生々しい感情から扱いえなくて中村光夫さんはこういうふうに論じている、誰それは、・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  17. ・・・ 他人の話を聞き、他人に会い、その言動の裡から欠点ばかりを摘発するとしたら、結局自分は、今在るだけの自己を肯定するばかりで、何ら新らしい利益を得たことにならないのではありませんか。同様のことが、外国旅行者にも云えると思います。 その・・・<宮本百合子「男女交際より家庭生活へ」青空文庫>
  18. ・・・毛利基は宮本の関係した党内スパイ摘発事件のとき、スパイを潜入させその活動を指導するための主役の一人であった。はじめて保護観察所によばれたとき、この毛利が鉈豆煙管をさげて出てきて、「どうだね、悪いことをしたと思うかね。」と言った。そのとき・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  19. ・・・ 常識的に見ると、こういう複雑な場合では、この周囲の社会的事情そのものの中にある原因を十分探究摘発すべきであって、たまたま派手ずきで目立っていた一婦人の虚栄心という所にのみ、その責任の大部分を塗りつけるのは無理です、何か弱いものいじめの・・・<宮本百合子「果して女の虚栄心が全部の原因か?」青空文庫>
  20. ・・・ この頃、新聞に閣僚や官僚の不正利得が摘発された記事がでるようになった。罪のない新聞の読者は、もしかしたら、これも日本が民主的になって、人民の正義がいくらか通る時代になったからではあるまいか、と思ってそれらの記事にも目をそそぐのでは・・・<宮本百合子「便乗の図絵」青空文庫>
  21. ・・・であることを摘発しつつ、では何故そんなに俗っぽくて常識万能の鼻もちならなさが当時の社会に瀰漫したかという原因については、深く追究していない点である。同時に、一日本人としての漱石自身が十八世紀のイギリスを俗っぽいと感じ、下等だ、と感じるその感・・・<宮本百合子「風俗の感受性」青空文庫>
  22. ・・・真実の愛もない夫婦の生活が、多く、如何程の人格的偽瞞と虚偽に満ちているかを摘発する。新たな恋愛価値の創始、人格の飛躍が、一方、色情狂めいた性的好奇心の横行とともに、今日の社会には到るところに叫ばれていると思うのである。 けれども、翻って・・・<宮本百合子「深く静に各自の路を見出せ」青空文庫>
  23. ・・・ プロレタリア文学の運動は、昨今、非常に意味ぶかい第二次的な発展的時期に入っているということは、広い目で見ると、逆に大宅、杉山両氏によって摘発されたもとの指導的評論家の退転という事実そのもののうちにも察しられるように思う。急激なテンポで・・・<宮本百合子「冬を越す蕾」青空文庫>
  24. ・・・性質のものであるかを摘発し、今日の現実に闘争する革命的大衆にアッピールすべき農民の姿を小説のどこにも見出し得なかったことを「青年」について批判している。特に高崎郡領一揆と大久保利通にその例を見る維新の封建地主勢力の庇護のもとにあった志士団と・・・<宮本百合子「文学に関する感想」青空文庫>
  25. ・・・バルザックが彼の太く膏ぎったペンで、結婚の儀式のかげにかくされている金銭取引の憎むべき社会悪を摘発してから、フランスの社会は多くの推移を経験した。それにもかかわらず、結婚生活というものはその形式の本質の中に、アンネットの要求を必然ならしめる・・・<宮本百合子「未開の花」青空文庫>
  26. ・・・女が最後の武器として無感動を装うのを、さらに摘発し覆さなければやまないほど私は残酷であった。――そうして結果はどうなるのか。女はますます無恥であるように努力するだろう。私にはただ後悔が残った。 他人の製作に対する私の心持ちにも同じような・・・<和辻哲郎「転向」青空文庫>