て‐しお〔‐しほ〕【手塩】例文一覧 5件

  1. ・・・「伯耆国は淀江村の百姓、太郎左衛門が、五十八年間手塩にかけて、――」木戸番は叫ぶ。 伯耆国淀江村。ちょっと考えて、愕然とした。全身の血が逆流したといっても誇張でない。あれだ! あの一件だ。「身のたけ一丈、頭の幅は三尺、――」木戸・・・<太宰治「黄村先生言行録」青空文庫>
  2. ・・・あれは私の、手塩にかけた子供です。まるまる太ったいい子です。」夕焼は、それを諸君に訴えて、そうして悲しく微笑むのである。そのとき諸君は夕焼を、不健康、頽廃、などの暴言で罵り嘲うことが、できるであろうか。できるとも、と言下に答えて腕まくり、一・・・<太宰治「善蔵を思う」青空文庫>
  3. ・・・「君は自分の手塩にかけた作品を市場にさらしたあとの突き刺されるような悲しみを知らないようだ。お稲荷さまを拝んでしまったあとの空虚を知らない。君たちは、たったいま、一の鳥居をくぐっただけだ」「ちぇっ! また御託宣か。――僕はあなたの小・・・<太宰治「ダス・ゲマイネ」青空文庫>
  4. ・・・しかしまた、一方で、多年手塩にかけた子供らを安心して学校に託している「赤くない親たち」の心持ちから言えば、せっかく苦労して育てただいじのだいじの子供らを赤い先生のためにだいなしにされたと思うかもしれない。そうすると、この場合のさるは先生でか・・・<寺田寅彦「さるかに合戦と桃太郎」青空文庫>
  5. ・・・ 何んしろ十三の時から手離して独りで働いて学校も出、身の囲りの事もしとるのやさかい、手塩にかけんで間違いが出ければ皆、力の足りぬ親が悪いのやさかい…… お節は、二十二三になる頃までにはあの社で一かどの者になれる望がこの事で根から・・・<宮本百合子「栄蔵の死」青空文庫>