て‐ぜま【手狭】例文一覧 4件

  1.         一 お蓮が本所の横網に囲われたのは、明治二十八年の初冬だった。 妾宅は御蔵橋の川に臨んだ、極く手狭な平家だった。ただ庭先から川向うを見ると、今は両国停車場になっている御竹倉一帯の藪や林が、時雨勝な・・・<芥川竜之介「奇怪な再会」青空文庫>
  2. ・・・南向きの縁先一間半ばかりの細長い庭には棚を造り、翁の楽しみの鉢物が並べてある。手狭であるが全体がよく整理されて乱雑なさまは毛ほどもなく、敷居も柱も縁もよくふきこまれて、光っている。「御免なさい。」と武は上がり口の障子をあけたが、茶の間に・・・<国木田独歩「二老人」青空文庫>
  3. ・・・ 教員室は以前の幹事室兼帯でも手狭なので、二階の角にあった教室をあけて、そっちの方へ引越した。そこに大きな火鉢を置いた。鉄瓶の湯はいつでも沸いていた。正木大尉は舶来の刻煙草を巻きに来ることもあるが、以前のようにはあまり話し込まない。幹事・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
  4. ・・・ 蠣殻町の住いは手狭で、介抱が行き届くまいと言うので、浜町添邸の神戸某方で、三右衛門を引き取るように沙汰せられた。これは山本家の遠い親戚である。妻子はそこへ附き添って往った。そのうちに原田の女房も来た。 神戸方で三右衛門は二十七・・・<森鴎外「護持院原の敵討」青空文庫>