て‐だれ【手足れ/手練】例文一覧 7件

  1. ・・・ 一あめ、さっと聞くおもい、なりも、ふりも、うっちゃった容子の中に、争われぬ手練が見えて、こっちは、吻と息を吐いた。…… ――踊が上手い、声もよし、三味線はおもて芸、下方も、笛まで出来る。しかるに芸人の自覚といった事が少しもない。顔・・・<泉鏡花「開扉一妖帖」青空文庫>
  2. ・・・老人だから、楽屋で急病が起って、踊の手練が、見真似の舞台を勤めたというので、よくおわかりになろうと思う。何、何、なぜ、それほどの容色で、酒場へ出なかった。とおっしゃるか? それは困る、どうも弱ったな。一樹でも分るまい。なくなった、みどり屋の・・・<泉鏡花「木の子説法」青空文庫>
  3. ・・・……この木製の蛇が、僕の手練に依って、不可思議なる種々の運動を起すです。急がない人は立って見て行きたまえよ、奇々妙々感心というのだから。 だが、諸君、だがね、僕は手品師では無いのだよ。蛇使いではないのですが、こんな処じゃ、誰も衛生という・・・<泉鏡花「露肆」青空文庫>
  4. ・・・昔の河遊びの手練がまだのこっていて、船はするすると河心に出た。 遠く河すそをながむれば、月の色の隈なきにつれて、河霧夢のごとく淡く水面に浮かんでいる。豊吉はこれを望んで棹を振るった。船いよいよ下れば河霧次第に遠ざかって行く。流れの末は間・・・<国木田独歩「河霧」青空文庫>
  5. ・・・とあって、未だ十三歳と雖も、その手練の程は思いやられる。私が十三歳の時には、女中から怪談を聞かされて、二、三夜は、ひとりで便所へ行けなかった。冗談ではない。実に、どうにも違い過ぎる。武人が武術に長じているのは自然の事でもあるが、しかし、文人・・・<太宰治「花吹雪」青空文庫>
  6. ・・・ 明治文学の再評価の機運があることや、不安の呼び声の裡に方向を失っている若手のスランプが刺戟となったりして、自然主義以来の老作家たちが、それぞれ手練の作品をひっさげ、数年の沈黙を破って再び出場して来たことである。島崎藤村は明治文学の記念・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  7. ・・・ 尊敬すべき農夫は、決して土をうなう手練の巧妙と熟達とを、仲間に誇ろうとはしないだろう。土を鋤く事は、よい穀物を立派に育てる為なのだと云う事を知っているのだ。             ○ 私が去年の夏行っていた、或る湖畔には、非・・・<宮本百合子「一粒の粟」青空文庫>