てっ‐かい〔‐クワイ〕【撤回】例文一覧 11件

  1. ・・・を取った。「一つはやられぬ。半分やろう。」 犬はしばらく強情に、「一つ下さい」を繰り返した。しかし桃太郎は何といっても「半分やろう」を撤回しない。こうなればあらゆる商売のように、所詮持たぬものは持ったものの意志に服従するばかりである・・・<芥川竜之介「桃太郎」青空文庫>
  2. ・・・ 僕は女優問題など全く撤回しようかと思ったくらいだし、こんなおやじに話したッて要領を得ないと考えたので、いい加減のところで切りあげておいたのだ。 飯を独りすませてから、独りで帰って行くのらくらおやじの姿がはしご段から消えると、僕の目・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  3. ・・・と、おとなしいお嫂さんも、さすがに我慢できなかったのでしょう、拝むようにして兄さんにたのんで、とにかくそれだけは撤回させてもらいましたが、兄さんのお写真なんかを眺めていたら、猿面冠者みたいな赤ちゃんが生れるに違いない。兄さんは、あんな妙ちき・・・<太宰治「雪の夜の話」青空文庫>
  4. ・・・に対するそのモデルの良人からの撤回要求問題の話を聞いているうちに急激な地震を感じた。椅子に腰かけている両足の蹠を下から木槌で急速に乱打するように感じた。多分その前に来たはずの弱い初期微動を気が付かずに直ちに主要動を感じたのだろうという気がし・・・<寺田寅彦「震災日記より」青空文庫>
  5. ・・・そう言われて見ると成程又そうでもあると、其晩即席に自説を撤回して、又文学者になる事に一決した。随分呑気なものである。 然し漢文科や国文科の方はやりたくない。そこで愈英文科を志望学科と定めた。 然し其時分の志望は実に茫漠極まったもので・・・<夏目漱石「処女作追懐談」青空文庫>
  6. ・・・と圭さんは自己の申し出しを惜気もなし撤回した。 一度途切れた村鍛冶の音は、今日山里に立つ秋を、幾重の稲妻に砕くつもりか、かあんかあんと澄み切った空の底に響き渡る。「あの音を聞くと、どうしても豆腐屋の音が思い出される」と圭さんが腕組を・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  7. ・・・ かく社会が倫理的動物としての吾人に対して人間らしい卑近な徳義を要求してそれで我慢するようになって、完全とか至極とか云う理想上の要求を漸次に撤回してしまった結果はどうなるかと云うと、まず従前から存在していた評価率が自然の間に違ってこなけ・・・<夏目漱石「文芸と道徳」青空文庫>
  8. ・・・の再吟味で、メイエルホリドは、彼の最初からの宣言を撤回していない。装置は、劇的表現の構成部分として必要以上の扱いを受けるべきではないという。メイエルホリドは、ソヴェト演劇の舞台は、がっしりよく組たてられた自動車、フォードが持つ美を、もたなけ・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>
  9. ・・・翌日、自分一人ならまだしも仲間まで関係づけたことが悔いられ、さんざんたのんで撤回方を願ったが」「私の生命といわんよりは魂を救うために上申書は取消して下さいといったが駄目でした。」「八月二十日、私一人犯行説でも、私は自分の想像の供述に対し、検・・・<宮本百合子「それに偽りがないならば」青空文庫>
  10. ・・・ 翌日の夕刊で、その整理案撤回を東交が要求して、罷業準備の指令を発したという記事をよんで、私達はそれが突飛なことであるというような感銘はちっとも受けなかった。整理案の内容は、既に一般市民に、東交がそう出ることの自然であるという感じを抱か・・・<宮本百合子「電車の見えない電車通り」青空文庫>
  11. ・・・は美術展覧会の裸体画を撤回させ「モリエールの作品が孝行の本義に背くと云って、その全訳を発禁に処した。そして更に時の首相陶庵公が序文を附したゾラの一訳書が、西園寺内閣の内務大臣によって発禁されたこともあった」 当時「文芸委員会」の委員であ・・・<宮本百合子「矛盾の一形態としての諸文化組織」青空文庫>