てつ‐がく【哲学】例文一覧 32件

  1. ・・・「冗談いっちゃいけない。哲学哲学、人生は人生さ。――所がそんな事を考えている内に、三度目になったと思い給え。その時ふと気がついて見ると、――これには僕も驚いたね。あの女が笑顔を見せていたのは、残念ながら僕にじゃない。賄征伐の大将、リヴ・・・<芥川竜之介「一夕話」青空文庫>
  2. ・・・ かつて河上肇氏とはじめて対面した時、氏の言葉の中に「現代において哲学とか芸術とかにかかわりを持ち、ことに自分が哲学者であるとか、芸術家であるとかいうことに誇りをさえ持っている人に対しては自分は侮蔑を感じないではいられない。彼らは現代が・・・<有島武郎「宣言一つ」青空文庫>
  3. ・・・ かの早くから我々の間に竄入している哲学的虚無主義のごときも、またこの愛国心の一歩だけ進歩したものであることはいうまでもない。それは一見かの強権を敵としているようであるけれども、そうではない。むしろ当然敵とすべき者に服従した結果なのであ・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  4. ・・・ さらば僕はいかに観音力を念じ、いかに観音の加護を信ずるかというに、由来が執拗なる迷信に執えられた僕であれば、もとよりあるいは玄妙なる哲学的見地に立って、そこに立命の基礎を作り、またあるいは深奥なる宗教的見地に居って、そこに安心の臍を定・・・<泉鏡花「おばけずきのいわれ少々と処女作」青空文庫>
  5. ・・・苦しむのが人生であるとは、どんな哲学宗教にもいうてはなかろう。しかも実際の人生は苦しんでるのが常であるとはいかなる訳か。 五十に近い身で、少年少女一夕の癡談を真面目に回顧している今の境遇で、これをどう考えたらば、ここに幸福の光を発見する・・・<伊藤左千夫「水害雑録」青空文庫>
  6. ・・・家の惣菜なら不味くても好いが、余所へ喰べに行くのは贅沢だから選択みをするのが当然であるというのが緑雨の食物哲学であった。その頃は電車のなかった時代だから、緑雨はお抱えの俥が毎次でも待ってるから宜いとしても、こっちはわざわざ高い宿俥で遠方まで・・・<内田魯庵「斎藤緑雨」青空文庫>
  7. ・・・いくら神学を研究しても、いくら哲学書を読みても、われわれの信じた主義を真面目に実行するところの精神がありませぬあいだは、神はわれわれにとって異邦人であります。それゆえにわれわれは神がわれわれに知らしたことをそのまま実行いたさなければなりませ・・・<内村鑑三「後世への最大遺物」青空文庫>
  8. ・・・ゴッホに、到底セザンヌの軽快洒脱を望むことはできないが、その表現主義的であり、哲学的である点に於て、ゴッホとムンクと相通ずるところがあるのは、同じ、北方の産であったゝめであろう。 私達は、さらに、漂浪の詩人に、郷土のなつかしまれたのを知・・・<小川未明「彼等流浪す」青空文庫>
  9. ・・・というような題の小説を書くほどの神経の逞しさを持っていながら、座談会に出席すると、この頃の学生は朝に哲学書を読み、夕に低俗なる大衆小説を読んでいるのは、日本の文化のためになげかわしいというような口を利いて、小心翼々として文化の殉教者を気取る・・・<織田作之助「可能性の文学」青空文庫>
  10. ・・・書記官と聞きたる綱雄は、浮世の波に漂わさるるこのあわれなる奴と見下し、去年哲学の業を卒えたる学士と聞きたる辰弥は、迂遠極まる空理の中に一生を葬る馬鹿者かとひそかに冷笑う。善平はさらに罪もなげに、定めてともに尊敬し合いたることと、独りほくほく・・・<川上眉山「書記官」青空文庫>
  11. ・・・欧州の政治史も読めば、スペンサーも読む、哲学書も読む、伝記も読む、一時間三十ページの割合で、日に十時間、三百ページ読んでまだ読書の速力がおそいと思ったことすらありました。そしてただいろんな事を止め度もなく考えて、思いにふけったものです。・・・<国木田独歩「あの時分」青空文庫>
  12. ・・・しかしある人の倫理学はその人の一般哲学根拠の上に築かれないものはないから、倫理学の研究は哲学及び哲学史の研究に伴わねばならぬのはいうまでもない。しかしここではそれには触れない。 倫理学の根本問題と倫理学史とを学ぶときわれわれは人間存在と・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  13. 当世の大博士にねじくり先生というがあり。中々の豪傑、古今東西の書を読みつくして大悟したる大哲学者と皆人恐れ入りて閉口せり。一日某新聞社員と名刺に肩書のある男尋ね来り、室に入りて挨拶するや否、早速、先生の御高説をちと伺いたし、・・・<幸田露伴「ねじくり博士」青空文庫>
  14. ・・・は先生が哲学上の用語に就て非常の苦心を費したもので「革命前仏蘭西二世紀事」は其記事文の尤も精采あるものである。而して先生は殊に記事文を重んじた。先生曰く、事を紀して読者をして見るが如くならしむるは至難の業である。若し能く記事の文に長ずれば往・・・<幸徳秋水「文士としての兆民先生」青空文庫>
  15. ・・・或る時は又一個の大哲学家となって、欧洲の学者を凹ませようと考えた事もあって、その考えは一年の間も続いて、一分時間も脳中を去らなかった。こういう妄想を、而も斯ういう長い年月の間、頭脳の裏に入れて置くとは、何という狂気染みた事だろう、と書いたも・・・<島崎藤村「北村透谷の短き一生」青空文庫>
  16.  此スバーと云う物語は、インドの有名な哲学者で文学者の、タゴールが作ったものです。インド人ですが英国で勉強をし立派な沢山の本を書いています。六七年前、日本にも来た事がありました。此人の文章は実に美しく、云い表わしたい十の・・・<著:タゴールラビンドラナート 訳:宮本百合子「唖娘スバー」青空文庫>
  17. ・・・なんでもこれからは、軍人が没落して今まで貧乏していた詩人などが世の中からもてはやされるようになったとかいうその記者たちの話でございまして、大谷先生は、その記者たちを相手に、外国人の名前だか、英語だか、哲学だか、何だかわけのわからないような、・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」青空文庫>
  18. ・・・ 哲学者の仕事に対する彼の態度は想像するに難くない。ロックやヒュームやカントには多少の耳を借しても、ヘーゲルやフィヒテは問題にならないらしい。これはそうありそうな事である。とにかく将来の哲学者は彼から多くを学ばねばなるまい。ショーペンハ・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  19. ・・・「――いえさ、おれのような職人だったんだが、マルクスと一緒にドイツ革命に参加したり、哲学書をかいたり、非常にえらい人だったそうだ」 母親は、それで見当がついた風で、「すると、やっぱりシャカイシュギかい?」 などという。――・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  20. ・・・桜さく三味線の国は同じ専制国でありながら支那や土耳古のように金と力がない故万代不易の宏大なる建築も出来ず、荒凉たる沙漠や原野がないために、孔子、釈迦、基督などの考え出したような宗教も哲学もなく、また同じ暖い海はありながらどういう訳か希臘のよ・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  21. ・・・話は余談に入るが、独逸の哲学者が概念を作って定義を作ったのであります。しかし巡査の概念として白い服を着てサーベルをさしているときめると一面には巡査が和服で兵児帯のこともあるから概念できめてしまうと窮屈になる。定義できめてしまっては世の中の事・・・<夏目漱石「教育と文芸」青空文庫>
  22. ・・・特に数学に入るか哲学に入るかは、私には決し難い問題であった。尊敬していた或先生からは、数学に入るように勧められた。哲学には論理的能力のみならず、詩人的想像力が必要である、そういう能力があるか否かは分らないといわれるのである。理においてはいか・・・<西田幾多郎「或教授の退職の辞」青空文庫>
  23. ・・・しかしてこの一つの奇異なる事実――それが他人の趣味によつて選定されるといふこと――が、美術品や文学書の装幀に於ける最も興味ある哲学を語るものではないか。なぜといつて私の所有にかかはるところの油画は、それが他人の描いたものであるにかかはらず、・・・<萩原朔太郎「装幀の意義」青空文庫>
  24. ・・・印度の何とか称する貴族で、デッキパッセンジャーとして、アメリカに哲学を研究に行くと云う、青年に貰った、ゴンドラの形と金色を持った、私の足に合わない靴。刃のない安全剃刀。ブリキのように固くなったオバーオールが、三着。「畜生! どこへ俺は行・・・<葉山嘉樹「浚渫船」青空文庫>
  25. ・・・ ある人いわく、慶応義塾の学則を一見し、その学風を伝聞しても、初学の輩はもっぱら物理学を教うるとのこと、我が輩のもっとも賛誉するところなれども、学生の年ようやく長じて、その上級に達する者へは、哲学・法学の大意、または政治・経済の書を・・・<福沢諭吉「経世の学、また講究すべし」青空文庫>
  26. ・・・で、社会主義ということは、実社会に対する態度をいうのだが、同時にまた、一方において、人生に対する態度、乃至は人間の運命とか何とか彼とかいう哲学的趣味も起って来た。が、最初の頃は純粋に哲学的では無かった……寧ろ文明批評とでもいうようなもので、・・・<二葉亭四迷「予が半生の懺悔」青空文庫>
  27. ・・・それならば哲学上の意見があるかと言うと、そういうむつかしい事は僕にはわからぬ。昔しの哲学者の言うた事などを聞きかじって見ても少しもわからぬ。僕らから見ると哲学者どもの色々言って居る事は、言って居る当人にも本統に分からないのでないかと思う。そ・・・<正岡子規「病牀苦語」青空文庫>
  28. ・・・これに賛せざる諸君よ、諸君は尚かの中世の煩瑣哲学の残骸を以てこの明るく楽しく流動止まざる一千九百二十年代の人心に臨まんとするのであるか。今日宗教の最大要件は簡潔である。吾人の哲学はこの二語を以て既に千六百万人の世界各地に散在する信徒を得た。・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  29. ・・・愛と平和――それは今の経済学、哲学とかの学問で説明したり、解剖したりする論理としての論理でなく、皆の分かり切った常識として、人間の生活に自由なものとなって来たら、愉快なことだと思います。〔一九二五年六月〕・・・<宮本百合子「愛と平和を理想とする人間生活」青空文庫>
  30. ・・・木村は随分哲学の本も、芸術を論じた本も読んでいるが、こんな詞を読んでは、何物をもはっきり考えることが出来ない。いかにも文芸には、アンデフィニッサアブルだとも云えば云われそうな、面白い処があるだろう。それは考えられる。しかしシチュアシヨンとは・・・<森鴎外「あそび」青空文庫>