デッサン【(フランス)dessin】例文一覧 14件

  1. ・・・小説の勉強はまずデッサンからだと言われているが、デッサンとは自然や町の風景や人間の姿態や、動物や昆虫や静物を写生することだと思っているらしく、人間の会話を写生する勉強をする人はすくない。戯曲を勉強した人が案外小説がうまいのは、彼等の書く会話・・・<織田作之助「大阪の可能性」青空文庫>
  2. ・・・サルトルは絵描きが裸体のデッサンからはいって行くことによって、人間を描くことを研究するように、裸かの肉体をモラルやヒューマニズムや観念のヴェールを着せずに、描いたのだ。そして、人間が醜怪なる実存である限り、いかなるヴェールも虚偽であり、偽善・・・<織田作之助「可能性の文学」青空文庫>
  3. ・・・心境未だし、デッサン不正確なり、甘し、ひとり合点なり、文章粗雑、きめ荒し、生活無し、不潔なり、不遜なり、教養なし、思想不鮮明なり、俗の野心つよし、にせものなり、誇張多し、精神軽佻浮薄なり、自己陶酔に過ぎず、衒気、おっちょこちょい、気障なり、・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  4. ・・・首の細い脚の巨大な裸婦のデッサンがいちまい、まるいガラス張りの額縁に収められ、鏡台のすぐ傍の壁にかけられていた。これはマダムの部屋なのであろう。まだ新しい桑の長火鉢と、それと揃いらしい桑の小綺麗な茶箪笥とが壁際にならべて置かれていた。長火鉢・・・<太宰治「彼は昔の彼ならず」青空文庫>
  5. ・・・「書き損じのデッサンでもなんでも、とにかく見たいのです。ありませんか。」「待てよ。」老画伯は首をかたむけて、「デッサンが三枚ばかり、私のところに残っていたのですが、それを、あのひとが此の間やって来て、私の目の前で破ってしまいました。・・・<太宰治「水仙」青空文庫>
  6. ・・・一陣の風がスケッチブックをぱらぱらめくって、裸婦や花のデッサンをちらちら見せた。「馬場の出鱈目は有名ですよ。また巧妙ですからねえ。誰でもはじめは、やられますよ。ヨオゼフ・シゲティは、まだですか?」「それは聞きました」私は悲しい気持ちであ・・・<太宰治「ダス・ゲマイネ」青空文庫>
  7. ・・・ 画家のいわゆるデッサンが正しいとか正しくないとかというものも、やはりこういう意味で心理的に真実な描写をするという意味らしく思われる。これを極端までもって行くとカリカチュアが一番正確な肖像画になる勘定である。 これに聯関して思い合わ・・・<寺田寅彦「観点と距離」青空文庫>
  8. ・・・同時に普通の意味でのデッサンの誤謬や、不器用不細工というようなものが絵画に必要な要素だという議論にやや確かな根拠が見つかりそうな気がする。手品の種はここにかくれていそうである。 セザンヌはやはりこの手品の種を捜した人らしい。しかしベルナ・・・<寺田寅彦「自画像」青空文庫>
  9. ・・・その時自分の感じた事は、その鉛筆画が普通のアカデミックなデッサンとはどこか行き方が違っているという事であった。 いよいよ本式にカンヴァスに筆を取り始めてからも、二、三度見に行った。そしてその描いている時の様子の真剣なのに驚かされた。下絵・・・<寺田寅彦「中村彝氏の追憶」青空文庫>
  10. ・・・クロッキーはデッサンではない。クロッキーにおいて細部は追究されず、しかし流動する物体のエネルギーそのものの把握が試みられる。次の瞬間もうそこにはないその瞬間の腕の曲線、頸の筋骨の隆起、跳躍の姿がとらえられる。だが、そのうちに、ダイナミックに・・・<宮本百合子「解説(『風知草』)」青空文庫>
  11. ・・・モナ・リザは彼女の感覚によってレオナルドの知性を感じとり、レオナルドは彼のあらゆるデッサンにあらわれているあのおそろしいような人間洞察の能力で、モナ・リザという一人の女性の内奥の微妙な感覚までを把握したのであった。こういう共感が異性の間に生・・・<宮本百合子「女性の歴史」青空文庫>
  12. ・・・ 画の新しさ・主題・手法・色彩の溌溂として新鮮な感覚というものは、然し、末梢的な狙いで、ただ色よりも線でのデッサンを主にするような試みだけで獲得しうるものでないであろう。私は、いろいろの点で、帝展の数百点の画からは、かくあってはならぬ、・・・<宮本百合子「帝展を観ての感想」青空文庫>
  13. ・・・ディフォーメイションがデッサンの不確さを蔽うというイージーな画業への害悪を取上げてみても真面目な画家ならそこに疑問を発見するだろうと思う。〔一九四七年六月〕<宮本百合子「ディフォーメイションへの疑問」青空文庫>
  14. ・・・次にこの画は、女の裸体を描き得たことにおいて成功である。デッサンが狂っていない。肉づきにも無理がない。ことに女の体の清らかな美しさを遺憾なく発揮した所は嘆賞に価する。第三に、日本画で現代の浴室を、しかも全裸の女を描き得たということは、一種の・・・<和辻哲郎「院展遠望」青空文庫>