てってい‐てき【徹底的】例文一覧 30件

  1. ・・・今夜こそは徹底的に父と自分との間の黒白をつけるまでは夜明かしでもしよう。父はややしばらく自分の怒りをもて余しているらしかったが、やがて強いてそれを押さえながら、ぴちりぴちりと句点でも切るように話し始めた。「いいか。よく聞いていて考えてみ・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  2. ・・・なぜならばあの問題はもっと徹底的に講究されなければならないものであって、他人の言説のあら探しで終わるべきはずのものではないからである。 本当をいうと、私は諸家の批評に対していちいち答弁をすべきであるかもしれない。しかし私は議論というもの・・・<有島武郎「想片」青空文庫>
  3. ・・・けれども北海道の冬となると徹底的に冬だ。凡ての生命が不可能の少し手前まで追いこめられる程の冬だ。それが春に変ると一時に春になる。草のなかった処に青い草が生える。花のなかった処にあらん限りの花が開く。人は言葉通りに新たに甦って来る。あの変化、・・・<有島武郎「北海道に就いての印象」青空文庫>
  4. ・・・井侯薨去当時、故侯の欧化政策は滑稽の思出草となったが、あらゆる旧物を破壊して根底から新文明を創造しようとした井侯の徹底的政策の小気味よさは事毎に八方へ気兼して※咀逡巡する今の政治家には見られない。例えば先祖から持ち伝えた山を拓いて新らしい果・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  5. ・・・ 今度の戦争の事に対しても、徹底的に最後まで戦うということは、独逸が勝っても、或は敗けても、世界の人心の上にはっきりした覚醒を齎すけれども、それがこの儘済んだら、世界の人心に対して何物をも附与しないであろう。・・・<小川未明「愛に就ての問題」青空文庫>
  6. ・・・行為の決定の徹底的な正しさを追究するときには、カントのように純に意志そのものの形式によらざるを得なくなるのは当然であって、この意味で私は新カント派のリップスや、コーヘンの「純粋意志の倫理学」が、現象学派のハルトマンや、シェーラーの「実質的価・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  7. ・・・劣勢の場合には尻をまくって逃げだすが、優勢だと、図に乗って徹底的な惨虐性を発揮してくる。そういう話が、たった八人の彼等を、おびやかすのだった。本隊を遠く離れると、離れる程、恐怖は強くなって、彼等は、もう、たゞ彼等だけだと感じるようになった。・・・<黒島伝治「前哨」青空文庫>
  8. ・・・ 彼が、大佐の娘に熱中しているのを探り出して、云いふらしたのも吉原だった。「不軍紀な、何て不軍紀な! 徹底的に犠牲にあげなきゃいかん!」 そして彼は、イワンに橇を止めさせると、すぐとびおりて、中隊長と云い合っている吉原の方へ雪に長靴・・・<黒島伝治「橇」青空文庫>
  9. ・・・しかし、革命的プロレタリアートに対しては、徹底的に弾圧の手をゆるめやしないのだ。 なお、そればかりではない。第三期に這入って帝国主義戦争が間近かに切迫して来るに従って、ブルジョアジーは入営する兵士たちに対してばかりでなく、全国民を、青年・・・<黒島伝治「入営する青年たちは何をなすべきか」青空文庫>
  10. ・・・或る場合には、悲惨をも、残酷をも、人類の進歩のために肯定するプロレタリアートが徹底的にどこまでも反対するのは、帝国主義××である。即ち、××的、××的戦争に反対するのである。      二 ブルジョアジーの戦争反対文学は、多・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  11. ・・・すなわち、この小説は、徹底的に事実そのままの資料に拠ったもので、しかも原作者はその事実発生したスキャンダルに決して他人ではなかった、という興味ある仮説を引き出すことが出来るのであります。更に明確にぶちまけるならば、この小品の原作者 HERB・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  12. ・・・船橋から、帰る日、私への徹底的な絶望と思って私がかなしんだ、貴方の言葉は今、特に絶対必要なありがたい力をあたえてくれています。ピカソも、マチスも見方によっては一笑に付されることを実行している。私の、この頃描いた絵は実行でなく申し訳であったと・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  13. ・・・ 私は、どきりとして、「よし、そんならこんど逢った時、僕の徹底的な遊び振りを見せてあげる。」 と言ったが、内心は、いやなおばさんだと思った。私の口から言うのもおかしいだろうが、こんなひとこそ、ほんものの不健康というものではなかろ・・・<太宰治「父」青空文庫>
  14. ・・・ この仕事を仕遂げるために必要であった彼の徹底的な自信はあらゆる困難を凌駕させたように見える。これも一つのえらさである。あらゆる直接経験から来る常識の幻影に惑わされずに純理の道筋を踏んだのは、数学という器械の御蔭であるとしても、全く抽象・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  15. ・・・ことに彼の経験では有為な徹底的な人間は往々一方に偏する傾向があるというのである。従って中等学校では生徒がある特殊な専門に入るだけの素養が出来次第その学科に対するだけの免状をやる事にすればいい。前に中学卒業試験全廃を唱えたのは、つまりこうして・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  16. ・・・の意義を徹底的に理解させるに格好な対照となるのである。そういう比較によって始めてわれわれの哲学も宗教も科学もその完全な本体を現わすであろう。 これほどに深い意義のある逆転映画を見せられる機会があまりにもまれなのは遺憾なことである。この驚・・・<寺田寅彦「映画の世界像」青空文庫>
  17. ・・・今度の火災については消防方面の当局者はもちろん、建築家、百貨店経営者等直接利害を感ずる人々の側ではすぐに徹底的の調査研究に着手して取りあえず災害予防方法を講究しておられるようであるが、何よりもいちばんだいじと思われる市民の火災訓練のほうがい・・・<寺田寅彦「火事教育」青空文庫>
  18. ・・・読み方も徹底的で、腑に落ちないところはどこまでも追究しないと気がすまないという風であった。朝は寝坊であったが夜は時には夜半過ぐるまで書斎で仕事をしていたそうである。たまにはラジオで長唄や落語など聴く事もあった。西洋音楽は自分では分らないと云・・・<寺田寅彦「工学博士末広恭二君」青空文庫>
  19. ・・・えて、再びもとの夫婦に立ち帰って、病妻の看護に身を委ねたというのがモーパサンの小説の筋ですが、男の疑も好い加減な程度で留めておけばこれほどの大事には至らなかったかも知れないが、そうすれば彼の懐疑は一生徹底的に解ける日は来なかったでしょう。ま・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  20. ・・・今日の世界大戦は徹底的に此の課題の解決を要求するのである。一つの世界的空間に於て、強大なる国家と国家とが対立する時、世界は激烈なる闘争に陥らざるを得ない。科学、技術、経済の発達の結果、今日、各国家民族が緊密なる一つの世界的空間に入ったのであ・・・<西田幾多郎「世界新秩序の原理」青空文庫>
  21. ・・・それはかつてデカルトが『省察録』において用いた如く、懐疑による自覚である、meditari である。それは徹底的な否定的分析でなければならない。彼は『省察録』の第二答弁において証明 dmontrer の仕方に二通りあるという。一つは分析 a・・・<西田幾多郎「デカルト哲学について」青空文庫>
  22. ・・・若い男や女の勤労者が、真に健康に、立派に階級の前衛として育つために、ソヴェト同盟では、男女青年労働者の待遇の徹底的改善を決定したのである。 その教室を出て、もう一つの教室へ行くと、そこでは若い生徒ではない、もう四十五十の小父さん小母さん・・・<宮本百合子「明るい工場」青空文庫>
  23. ・・・ 今やわたくしたちは元気よく立ち上ったその肩の力で、人間生活を圧し殺して来た圧迫を徹底的にとりのぞかなければなりません。そして、自分たちのただ一度しかない人生を、自分として納得出来るしかたで充実させて行かなければならないと思います。・・・<宮本百合子「明日を創る」青空文庫>
  24. ・・・私には、作者有島武郎が自身の内にあった時代的な矛盾によって、一見非凡であって実は平凡な葉子の矛盾に興味を引かれながら、まぎれもないその理由によって芸術の対象としての葉子の現実を徹底的には解剖も解決もし得なかったということを感じるのである。・・・<宮本百合子「「或る女」についてのノート」青空文庫>
  25. ・・・アンネットは一旦自分を譲ったら徹底的に譲歩する自分の性質、並に必ず反抗するに違いない自分の自由を欲する魂をよく知っている。 中年に成って、アンネットはその恋愛に征服された。彼女は精力的な、社会の下層から身をのし上げた、有名な、派手な、素・・・<宮本百合子「アンネット」青空文庫>
  26. ・・・このことは、とりもなおさず、過去の文学の休止符はどの辺でうたれたかというきびしい現実を示す一方、この数年の間、日本の民衆生活内部にある若々しく貴重な創造力が、どれほど徹底的に圧殺されてきたかということを証明している。 作家たちは、自分た・・・<宮本百合子「歌声よ、おこれ」青空文庫>
  27. ・・・のであるが、しかし彼が新しい時代に対して抱いたのはただ恐怖のみであって、新しい建設への見通しでもなければ、新しい指導的精神の思索でもなかった。『樵談治要』のなかに彼は「足軽」の徹底的禁止を論じている。足軽は応仁の乱から生じたものであるが、こ・・・<和辻哲郎「埋もれた日本」青空文庫>
  28. ・・・より見れば自分のこの傾向は至極徹底的であった。すべての人が自分を捨ててもいい。人が自分を捨てる前に自分は既にその人を捨てているのである。自分は孤立の淋しさを恐れない。それを恐れるのは自分の独立と自由とが完全でない証拠に過ぎないから。自分が人・・・<和辻哲郎「自己の肯定と否定と」青空文庫>
  29. ・・・それのもたらした新事実をあげれば、まず自然科学の進歩、社会主義の勃興、一般人民の物質的享楽への権利の主張、徹底的な虚無主義の出現――芸術上においては様式の単純化、日常生活の外形的な細部の描写の成功などであるが、そこに著しい進歩があったとは言・・・<和辻哲郎「「自然」を深めよ」青空文庫>
  30. ・・・ 私の努力はそれと徹底的に戦って自己の生活を深く築くにある。私の心は日夜休むことがない。私は自分の内に醜く弱くまた悪いものを多量に認める。私は自己鍛錬によってこれらのものを焼き尽くさねばならぬ。しかし同時に私は自分の内に好いものをも認め・・・<和辻哲郎「「ゼエレン・キェルケゴオル」序」青空文庫>