でん‐し【電子】例文一覧 17件

  1. ・・・ところが近代になって電子などというものが発見され、あらゆる電磁気や光熱の現象はこの不思議な物の作用に帰納されるようになった。そしてこの物が特別な条件の下に驚くべき快速度で運動する事も分って来た。こういう物の運動に関係した問題に触れ初めると同・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  2. ・・・の関係が疑われてから以来、初めはフラスコの水を根気よく振っていると少し温まるといったような実験から、進んで熱の器械的当量が数量的に設定されるまで、それからまた同じように電気も、光熱の輻射も化合の熱も、電子や陽子やあらゆるものの勢力が同じ一つ・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  3. ・・・もし物体の内部構造等に立ち入らざるマクロスコピックの見方よりすれば、これらの量は直ちに物体の状態を単義的に指定すれども、これに反し分子説、電子説の立場よりミクロスコピックの眼にて見れば、これらの量にては物体の内部状況は単義的には指定されずほ・・・<寺田寅彦「自然現象の予報」青空文庫>
  4. ・・・例えば塵埃に光波が当った時に、光電効果のような作用電子が放散され、それが高層空気の電離を起す事、それが無線電信の伝播に重大な関係を持ち得る事、あるいは塵が空中の渦動によって運搬されるメカニズムやその他色々の問題が残っている。限られた紙数では・・・<寺田寅彦「塵埃と光」青空文庫>
  5. ・・・近年力学物理学を根底より改造する気運を生じたいわゆる相対率の原理のごときも、もし電子の運動に関する実験上の事実が知られなかったならばおそらく今日のごとき進境を示す事もなかったであろう。 知るにはまた種々多様の知るがある。地球上の物体が地・・・<寺田寅彦「知と疑い」青空文庫>
  6. ・・・翻って従来の決定派の物理学について考えてみても一度肉眼的領域を通り越して分子原子電子の世界に入ればもはやすべての事がらは統計的、蓋然的な平均とその変異との問題にほごされてしまう。のみならず今日ではその統計的知識にさえもある不可超限界が置かれ・・・<寺田寅彦「日常身辺の物理的諸問題」青空文庫>
  7. ・・・その不思議を昔われらの先祖が化け物へ帰納したのを、今の科学者は分子原子電子へ持って行くだけの事である。昔の人でもおそらく当時彼らの身辺の石器土器を「見る」と同じ意味で化け物を見たものはあるまい。それと同じようにいかなる科学者でも・・・<寺田寅彦「化け物の進化」青空文庫>
  8. ・・・物理学者や化学者は物質を磨り砕いて原子の内部に運転する電子の系統を探っている。そうして同一物質の原子の中にある或る「個性」の胚子を認めんとしているものもある。化学的の分析と合成は次第に精微をきわめて驚くべき複雑な分子や膠質粒が試験管の中で自・・・<寺田寅彦「春六題」青空文庫>
  9. ・・・と命名した球形の電磁石がつり下がっており、他の一方には陰極が插入されていて、そこから強力な陰極線が発射されると、その一道の電子の流れは球形磁石の磁場のためにその経路を彎曲され、球の磁極に近い数点に集注してそこに螢光を発する。その実験装置のそ・・・<寺田寅彦「B教授の死」青空文庫>
  10. ・・・今日ではほとんどこの電子の実在を疑う者はない。放射性物質や真空放電の現象に止まらず、あらゆる方面にわたって電子によって始めて説明される新しい現象も発見さるるに至った。今日では電子の数をかぞえる事も出来る。各種物質の出す光のスペクトルの研究か・・・<寺田寅彦「物質とエネルギー」青空文庫>
  11. ・・・たとえば電子波回折の実験がX光線回折の実験の行なわれたころにすでに行なわれたというような事も、それ自身において必ずしも不可能でなかったと思われるから、もしもそうであったとしたら、その後の物理学界の動きはよほど実際とは違ったものになったのでは・・・<寺田寅彦「物理学圏外の物理的現象」青空文庫>
  12. ・・・質量は物体に含まるる実体の量だというように考えたは昔の事で、後にむしろ力の概念が先になって、物体に力が働いた時に受ける加速度を定める係数というふうに解釈した実証論者もある。電子説が勢いを得てからは運動せる電気がすなわち質量と考えてすべての質・・・<寺田寅彦「物理学と感覚」青空文庫>
  13. ・・・ しかし人間が超顕微鏡的の眼を有っていない以上は分子や電子を直接見る事が出来ない。それで多くの場合にはこのようなものを考えなくて却って事柄は簡単に明瞭に処理されるのである。もし量子的の考えを用いずしてすべての現象が矛盾なしに説明され得る・・・<寺田寅彦「方則について」青空文庫>
  14. ・・・昔の物理学者らが一名を電子と称するテルの矢のねらいは熟練と注意とによって無限に精確になりうると考えたに反して、新しい物理学者は到底越え難いある「不確定」の限界を認容することになった。いわば昔はただ主観の不確定性だけを認めて客観の絶対確定性を・・・<寺田寅彦「野球時代」青空文庫>
  15. ・・・物質の不連続的構造はもはや仮説の域を脱して、分子や原子、なおその上に電子の実在が動かす事の出来ないようになった。その上にエネルギーの推移にまでも或る不連続性を否む事が出来なくなった。生物の進化でも連続的な変異は否定されて飛躍的な変異を認めな・・・<寺田寅彦「厄年と etc.」青空文庫>
  16. ・・・またここのルクレチウスの記述には、今の電子を思わせるある物もある。電火によって金属の熔融するのは、これら粒子の進入のために金属元子の結合がゆるめらるるといっているのも興味がある。 雷雨の季節的分布を論ずる条において、寒暑の接触を雷雨の成・・・<寺田寅彦「ルクレチウスと科学」青空文庫>
  17. ・・・あるいはまた「電子」と呼ばれるべきであるか。恐らくそれらの名は新しいパウロによって鬼神として斥けらるべきものだろう。我らは「知らざる神に」祭壇を築いて、その神を説きあかすべきパウロの出現を待つ。そうして近代精神の造り出したあらゆる偶像の破壊・・・<和辻哲郎「『偶像再興』序言」青空文庫>