とう‐あ【東亜】例文一覧 18件

  1. ・・・彼の音信に依れば、古都北京は、まさしく彼の性格にぴったり合った様子で、すぐさま北京の或る大会社に勤め、彼の全能力をあますところなく発揮して東亜永遠の平和確立のため活躍しているという事で、私は彼のそのような誇らしげの音信に接する度毎に、いよい・・・<太宰治「佳日」青空文庫>
  2. ・・・ このいい気な愚行のにおいが、所謂大東亜戦争の終りまでただよっていた。 東条の背後に、何かあるのかと思ったら、格別のものもなかった。からっぽであった。怪談に似ている。 その二・二六事件の反面に於いて、日本では、同じ頃に、オサダ事・・・<太宰治「苦悩の年鑑」青空文庫>
  3. ・・・日本は日出ずる国と言われ、また東亜とも言われているのだ。太陽は日本からだけ昇るものだとばかり僕は思っていたのだが、それじゃ駄目だ。日本が東亜でなかったというのは、不愉快な話だ。なんとかして、日本が東で、アメリカが西と言う方法は無いものか。」・・・<太宰治「十二月八日」青空文庫>
  4. ・・・ 近ごろ中井博士の「東亜植物」を見ていろいろ興味を感じたことの中でも特におもしろいと思ったことは、日本各地の植物界に、東亜の北から南へかけてのいろいろな国土の植物がさまざまに入り込み入り乱れている状況である、これも日本という国の特殊な地・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  5.  近年新聞紙の報道するところについて見るに、東亜の風雲はますます急となり、日支同文の邦家も善鄰の誼しみを訂めている遑がなくなったようである。かつてわたくしが年十九の秋、父母に従って上海に遊んだころのことを思い返すと、恍として隔世の思いが・・・<永井荷風「十九の秋」青空文庫>
  6. ・・・オペラ一座の渡来も要するに幸を東亜に与えた戦禍の一現象である。当時巴里に於て、一邦人が独力にしてマネエ、ロダンの如き巨匠の製作品と、又江戸浮世絵の蒐集品とを仏蘭西人の手より買取ったことがあった。是亦戦争の余沢である。オペラは帝国劇場を主管す・・・<永井荷風「帝国劇場のオペラ」青空文庫>
  7. ・・・ 今日の世界大戦の課題が右の如きものであり、世界新秩序の原理が右の如きものであるとするならば、東亜共栄圏の原理も自ら此から出て来なければならない。従来、東亜民族は、ヨーロッパ民族の帝国主義の為に、圧迫せられていた、植民地視せられていた、・・・<西田幾多郎「世界新秩序の原理」青空文庫>
  8. ・・・日本のなかに、客観的な真実、学問上の真理、生活の現実を否定して、日本民族の優秀性と、侵略的大東亜主義を宣伝する文筆だけが許される段階に入りつつあった。ジャーナリストたちは、規準のわからない発禁つづきに閉口して、内務省の係の人に執筆を希望しな・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第五巻)」青空文庫>
  9. ・・・ひきつづいて超国家主義の大東亜共栄圏の観念にならされた。こんにち、かつての大東亜圏の理論家のあるものは、きわめて悪質な戦争挑発者と転身して、反民主的な権力のために奉仕している。「プロレタリア文学における国際的主題について」は、それらの問・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」青空文庫>
  10. ・・・けれども戦争が始まり、特に大東亜戦争が始まってから少女達の生活も大変な変化をしました。 家族の中から沢山の人が兵隊にとられて生活の事情が今までよりも困難になった為に、家庭生活の重みが少女達の肩にも幾分かずつ掛りはじめたということもありま・・・<宮本百合子「美しく豊な生活へ」青空文庫>
  11.              ○ 支那事変がはじまって五年、大東亜戦争がはじまって満一ヵ年と十ヵ月経って秋も深くなった。 燃料がどこの家でも不如意になって来ていて、風呂たきは注意ぶかい一家の行事の一つとなった。 いろいろのも・・・<宮本百合子「折たく柴」青空文庫>
  12. ・・・大東亜文学者大会というのがあります。村岡花子が日本の女流作家だそうです。 十一月八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より〕 今日は嬉しいことがあります。オリザビトンが五つ程みつかりました。今そちらにいくつかあるでしょうから、・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  13. ・・・ 現在のところでは上野の帝国図書館にしろ蔵書の量と種目とでは決して満足と云えないし、日比谷の市立図書館を、東亜の大首都東京市の代表図書館であると云わなければならないことには、些か忸怩たるものがありはしないだろうか。図書館へは学生のうちだ・・・<宮本百合子「実際に役立つ国民の書棚として図書館の改良」青空文庫>
  14. ・・・少くとも東亜の指導力たる日本は、その程度の文明の奥ゆきというか、厚みというかは蓄積されて来ている。 文学はなるほど人の心を慰めるものであり将棋も名人となれば一つの精神の王国をもっているであろう。だが、名人にとって将棋は娯楽の範囲にとどま・・・<宮本百合子「日本文化のために」青空文庫>
  15. ・・・一億一心、八紘一宇、聖戦、大東亜共栄圏というような狂信的用語が至るところに溢れた。文学はこれらの言葉の下に埋没した。この緊迫した状態のもとで宮本の公判がはじまった。当時宮本は公判廷に出ても席に耐えないでベンチの上に横になる程疲労していた・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  16. ・・・特に太平洋戦争が始まってから、我々日本の人民は、その戦争を大東亜戦争という名で呼ばされた。且つ「聖戦」と言い聞かされた。ところが敗戦してポツダム宣言を受諾した時、日本は連合諸国から戦争犯罪国として、対等の国際的自立性を奪われた。私達祖国を愛・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>
  17. ・・・ 今日、昭和の御世、日本が東亜の指導者となりつつあるといわれているとき、国の中で首府の真中で、そういう気風が現われているということについて、私たちは何を考えさせられるだろうか。そして、要路の指導者たちはそれに対してどんな方策を考慮してい・・・<宮本百合子「私の感想」青空文庫>
  18. 一 ファウストを訳した時の苦心を話すことを、東亜之光の編者に勧められた。然るに私は余り苦心していない。少くも話の種にする程、苦心していない。こう云うのがえらがるのでないことは勿論である。また過誤のあった時、分疏をするために予め地・・・<森鴎外「不苦心談」青空文庫>