どう‐い【同意】例文一覧 30件

  1. ・・・勿論私にしても格別釣に執着があった訳でもありませんから、早速彼の発議に同意して、当日は兼ねての約束通り柳橋の舟宿で落合ってから、まだ月の出ない中に、猪牙舟で大川へ漕ぎ出しました。「あの頃の大川の夕景色は、たとい昔の風流には及ばなかったか・・・<芥川竜之介「開化の良人」青空文庫>
  2. ・・・「いや、いや、隠居の儀なら、林右衛門の成敗とは変って、相談せずとも、一門衆は同意の筈じゃ。」 修理、こう云って、苦々しげに、微笑した。「さようでもございますまい。」 宇左衛門は、傷しそうな顔をして、修理を見た。が、相手は、さ・・・<芥川竜之介「忠義」青空文庫>
  3. ・・・ マルクスの主張が詮じつめるとここにありとすれば、私が彼のこの点の主張に同意するのは不思議のないことであって、私の自己衝動の考え方となんら矛盾するものではない。生活から環境に働きかけていく場合、すべての人は意識的であると、無意識的である・・・<有島武郎「想片」青空文庫>
  4. ・・・という人に会って話した時、あすこにいる間はいやな処だと思うことが度々あったが、離れて見ると何となくなつかしみの感ぜられる処だなといったら、その人も思っていたことを言い現わしてくれたというように、心から同意していた。長く住んでいた処はどんな処・・・<有島武郎「北海道に就いての印象」青空文庫>
  5. ・・・ 奥さんは夫と目を見合せて同意を表するように頷いた。しかしそれは何と返事をして好いか分からないからであった。「本当に嫌でも果さなくてはならない義務なのだろう。」奥さんもこんな風に自ら慰めて見て、深い溜息を衝いた。 夫を門の戸まで・・・<著:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ 訳:森鴎外「罪人」青空文庫>
  6. ・・・ 予は渋川に逢うや否や、直ぐに直江津に同行せよと勧め、渋川が呆れてるのを無理に同意さした。茶を持ってきた岡村に西行汽車の柏崎発は何時かと云えば、十一時二十分と十二時二十分だという。それでは其十一時二十分にしようときめる。岡村はそれでは直・・・<伊藤左千夫「浜菊」青空文庫>
  7. ・・・両親兄弟が同意でなんでお前に不為を勧めるか。先度は親の不注意もあったと思えばこそ、ぜひ斎藤へはやりたいのだ。どこから見たって不足を言う点がないではないか、生若いものであると料簡の見留めもつきにくいが斎藤ならばもう安心なものだ。どうしても承知・・・<伊藤左千夫「春の潮」青空文庫>
  8. ・・・と、達ちゃんも、同意しました。 ひとり、達ちゃんばかりでありません。みんなは、政ちゃんの、いうことをきいて、ほんとうだと思いました。平常、かわいがっていながら、ペスが、犬殺しに、つれられていったと知っても、もらいにいってやらぬというのは・・・<小川未明「ペスをさがしに」青空文庫>
  9. ・・・えらい商売を始めたものやと思っているうちに、酒屋への支払いなども滞り勝ちになり、結局、やめるに若かずと、その旨柳吉に言うと、柳吉は即座に同意した。「この店譲ります」と貼出ししたまま、陰気臭くずっと店を閉めたきりだった。柳吉は浄瑠璃の・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
  10. ・・・と老父もそれに同意したが、「なるほどこれでは少しひどい」と驚いた。 表戸を開けてはいると四坪の土間で、藁がいっぱい積まれてあった。八畳の板の間には大きな焚火の炉が切ってあって、ここが台所と居間を兼ねた室である。その奥に真暗な四畳の寝・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  11. ・・・然し私は友の言葉に同意を表しかねました。東京にもまた別種のよさがあることを云いました。そんなことをいう者さえ不愉快だ。友の調子にはこう云ったところさえ感ぜられます。そして二人は押し黙ってしまいました。それは変につらい沈黙でした。友はまた京都・・・<梶井基次郎「橡の花」青空文庫>
  12. ・・・ と鷹見の言葉のごとく、私も同意せざるを得ないのです。口数をあまりきかない、顔色の生白い、額の狭い小づくりな、年は二十一か二の青年を思い出しますと、どうもその身の周囲に生き生きした色がありません、灰色の霧が包んでいるように思われます。・・・<国木田独歩「あの時分」青空文庫>
  13. ・・・「国主の御用ひなき法師なれば、あやまちたりとも科あらじとや思ひけん、念仏者並びに檀那等、又さるべき人々も同意したりとぞ聞えし、夜中に日蓮が小庵に数千人押し寄せて、殺害せんとせしかども、いかんがしたりけん、其夜の害も免れぬ。」 このさ・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  14. ・・・特派員は、副官の説明に同意するよりさきに、部屋の内部の見なれぬ不潔さにヘキエキした。が、すぐ、それをかくして、「この中隊が、嫩江を一番がけに渡ったんでしたかな?」とじろ/\と部屋と兵士とを見まわした。「うむ、そうです。」「何か、その・・・<黒島伝治「前哨」青空文庫>
  15. ・・・もとより惜むほどの貴いものではなし、差当っての愛想にはなる事だし、また可愛がっている娘の言葉を他人の前で挫きたくもなかったからであろう、父は直に娘の言葉に同意して、自分の膳にあった小いのをも併せて贈ってくれた。その時老人の言葉に、菫のことを・・・<幸田露伴「太郎坊」青空文庫>
  16. ・・・心、いらざるところへ勇気が出て敵は川添いの裏二階もう掌のうちと単騎馳せ向いたるがさて行義よくては成りがたいがこの辺の辻占淡路島通う千鳥の幾夜となく音ずるるにあなたのお手はと逆寄せの当坐の謎俊雄は至極御同意なれど経験なければまだまだ心怯れて宝・・・<斎藤緑雨「かくれんぼ」青空文庫>
  17. ・・・と、そんなことをぬかすので、おれも、ははあ、これは何かあるな、と感づき、何食わぬ顔して、それに同意し、今朝、旅行に出たふりしてまた引返し、家の中庭の隅にしゃがんで看視していたのだ。夕方あいつは家を出て、何時何処で、誰から聞いて知っていたのか・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  18. ・・・と云って同意したから、強ち自分だけの錯覚ではないらしい。田舎の景色を数十分見て来たというだけの履歴効果で、いつも見馴れた町がこんなにちがって見えるのである。「馬鹿も一度はしてみるものだ」と云われるかもしれない。馬鹿を一遍通って来た利口と・・・<寺田寅彦「異質触媒作用」青空文庫>
  19. ・・・しかしながら大逆罪の企に万不同意であると同時に、その企の失敗を喜ぶと同時に、彼ら十二名も殺したくはなかった。生かしておきたかった。彼らは乱臣賊子の名をうけても、ただの賊ではない、志士である。ただの賊でも死刑はいけぬ。まして彼らは有為の志士で・・・<徳冨蘆花「謀叛論(草稿)」青空文庫>
  20. ・・・ くらい町を、高島をかこんで、古藤の下宿にもどりながら、学生たちのうしろから歩いてゆくと、ときどき、古藤がふりかえって、三吉に同意をもとめるためにふりかえる。こっちの情勢を高島に報告するのであるが、三吉は三吉で、もう今夜の演説会で、「新・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  21. ・・・もし以上の如き珍々先生の所論に対して不同意な人があるならば、請う試みに、旧習に従った極めて平凡なる日本人の住家について、先ずその便所なるものが縁側と座敷の障子、庭などと相俟って、如何なる審美的価値を有しているかを観察せよ。母家から別れたその・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  22. ・・・さあ上ろうと同意する。上れば上るほど怪しい心持が起りそうであるから。 四階へ来た時は縹渺として何事とも知らず嬉しかった。嬉しいというよりはどことなく妙であった。ここは屋根裏である。天井を見ると左右は低く中央が高く馬の鬣のごとき形ちをして・・・<夏目漱石「カーライル博物館」青空文庫>
  23. ・・・私は復古癖の人のように、徒らに言語の純粋性を主張して、強いて古き言語や語法によって今日の思想を言い表そうとするものに同意することはできない。無論、古語というものは我々の言語の源であり、我民族の成立と共に、我国語の言語的精神もそこに形成せられ・・・<西田幾多郎「国語の自在性」青空文庫>
  24. ・・・民法親族編第七百七十一条に、子カ婚姻ヲ為スニハ其家ニ在ル父母ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス但男ハ満三十年女ハ満二十五年ニ達シタル後ハ此限ニ在ラスとあり。婚姻は人間の大事なれば父母の同意即ち其許なくては叶わず、なれども父母の意見を以て・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  25. ・・・蕪村は徂徠ら修辞派の主張する、文は漢以上、詩は唐以上と言えるがごとき僻説には同意するものにあらざるべけれど、唐以上の詩をもって粋の粋となしたること疑いあらじ。蕪村が書ける春泥集の序の中に曰く、彼も知らず、我も知らず、自然に化して俗を・・・<正岡子規「俳人蕪村」青空文庫>
  26. ・・・ それは家畜撲殺同意調印法といい、誰でも、家畜を殺そうというものは、その家畜から死亡承諾書を受け取ること、又その承諾証書には家畜の調印を要すると、こう云う布告だったのだ。 さあそこでその頃は、牛でも馬でも、もうみんな、殺される前の日・・・<宮沢賢治「フランドン農学校の豚」青空文庫>
  27. ・・・行ったのですが、私はどちらかというと椅子の生活が好きな方で、恰度近いところに洋館の空いているのを見つけ私の注文にはかなった訳ですが、私と一緒にいる友達は反対に極めて日本室好みで、折角説き落して洋館説に同意して貰ったまではよかったのですが、見・・・<宮本百合子「愛と平和を理想とする人間生活」青空文庫>
  28. ・・・診断は僕もお上さんに同意します。両側下顎脱臼です。昨夜脱臼したのなら、直ぐに整復が出来る見込です」「遣って御覧」 花房は佐藤にガアゼを持って来させて、両手の拇指を厚く巻いて、それを口に挿し入れて、下顎を左右二箇所で押えたと思うと、後・・・<森鴎外「カズイスチカ」青空文庫>
  29. ・・・悲しげな女の目には近所の人達の詞に同意する表情が見えた。そしてこう云った。「難有うございます。皆さんが御親切になすって下すって難有うございます。」ユリアはまだその上にこう云った。「警部さん。あなたはこうなった方が、かえってよいかも知れないと・・・<著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外「破落戸の昇天」青空文庫>
  30. ・・・偶像の迷信を彼が攻撃すると、哲学者も迷信の弊を認めて同意する。彼はそれに力を得てイエスの復活を説き立てる。哲学者は急に熱心になって霊魂不滅の信仰が迷妄に過ぎないこと、この迷妄を打破しなければ人間の幸福は得られないことを説いて彼を反駁する。彼・・・<和辻哲郎「『偶像再興』序言」青空文庫>