どう‐こう〔‐カウ〕【動向】例文一覧 24件

  1. ・・・その僕の感想文というのは、階級意識の確在を肯定し、その意識が単に相異なった二階級間の反目的意識に止まらず、かかる傾向を生じた根柢に、各階級に特異な動向が働いているのを認め、そしてその動向は永年にわたる生活と習慣とが馴致したもので、両階級の間・・・<有島武郎「片信」青空文庫>
  2. ・・・ この理由は、個人の研究や、創造はいかに貴くとも幾十年の間も、その光輝を失わぬものは少ないけれど、これに反し、集団の行動は、その動向を知るだけでも時代が分るためです。故にその時代を見ようと思えば、当時の雑誌こそ、何より有益な文献でなけれ・・・<小川未明「書を愛して書を持たず」青空文庫>
  3. ・・・      五 すみれ娘 日本の近代映画でも、PCLの提供するものの中には色々な点で有望な進歩の動向を示しているものがあるように思う。この「すみれ娘」などもその一例である。あくどい蒼蠅さがわりに少なくて軽快な俳諧といったよう・・・<寺田寅彦「映画雑感(5[#「5」はローマ数字、1-13-25])」青空文庫>
  4. ・・・しかし、ある時代のある国民の思想の動向をある方向に引き向ける第一第二の因子が何かしら存在している、それを観察し認識する能力が現在のわれわれには欠けているのではないかという気がする。そうしていっそう難儀なことはその根本的な無知を自覚しないでほ・・・<寺田寅彦「三斜晶系」青空文庫>
  5. ・・・女もひっくるめた全人民の生存のための問題であり、女子労働の悪条件と悲劇的な女子失業の現象は、とりも直さず全勤労人口の問題であるとして捉えられたとき――問題のそういう把握を可能としている日本社会の今日の動向そのものの中に、はっきり、問題の現実・・・<宮本百合子「合図の旗」青空文庫>
  6. ・・・「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」は総括的にこの時期を展望している。プロレタリア文学運動の組織とその作家たちのうけた被害の姿を眺めて、居直ったブルジョア文学とその作家が、横光利一の「紋章」をかざして、一方に擡頭しつつあるファッシズ・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」青空文庫>
  7. ・・・「過去一年をふりかえってみて私としてもっとも強い関心を感じることは、個々の法令、個々の規則ということよりも、それらの禁圧的法令、規則の脊後を通じて一貫している最近の政治動向そのものについてである。」「ここ一年以来の民自党政府のやり方には・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  8. ・・・小説は、果してこの急激な底潮を感じさせる時代の空気と動向とを芸術化しているであろうか。 文学の仕事に従事するのは何時の時代にもそれぞれの階級の知識的な分子である。ブルジョア文学はブルジョアのインテリゲンツィアによって作られて来た。プロレ・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  9. ・・・プロレタリア文化・文学運動の全体関係においての敗北の時期にあたって、当時の多くのプロレタリア文学者たちが自分たちの経験を箇人的にのみみて、客観的に大衆の負うている歴史の特殊性と日本インテリゲンツィアの動向との関係として自身の敗北をも追求し、・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  10. ・・・によって第一段の債鬼追っ払いをした時代であり、日本文学の動向に於てかえり見ると、これは明瞭な指導性をもつ文芸思潮というものが退潮して後、しかも今日では被うべくもない文化に対する統制が次第に現れようとする時であった。森田たま氏の「もめん随筆」・・・<宮本百合子「作家のみた科学者の文学的活動」青空文庫>
  11. ・・・高見順と共に新人として登場した丹羽文雄の作品などもその世界に生きる人間群の現実的な生活のモティーヴだの動向だのという面からの観察は研ぎ込まれていず、人物の自然発生な方向と調子に従って、ひたすらその路一筋を辿りつめる肉体と精神の動きが跡づけら・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  12. ・・・昏迷や作品の上での無解決が問題ではなく昏迷・無解決そのものの社会的・心理的因子と作者の企図する動向が芸術の胚種であることは誰しも知っている。作品の読後感がそこに触れざるを得ない理由もここにある。 作家の主観というものは、それだけにたよっ・・・<宮本百合子「数言の補足」青空文庫>
  13. ・・・この点は、とくに第二次世界大戦後の精神における顕著な動向である。人類の文化において、第二次世界大戦後、個人主義が地盤を縮小したということは、個人や個性が消滅したということではなくて、真に個性や価値や自由な発展を確保するためには、その個人の生・・・<宮本百合子「政治と作家の現実」青空文庫>
  14. ・・・ ここにたとえて云えば「現代学生の動向」という題があったとする。決してジャーナリスティックでもないし、文学的でもない題だと思う。謂わばこちたき題名で、そこに著者が肩書つきであらわれていれば、随分と取締の立場も感じられる題の一つである・・・<宮本百合子「生態の流行」青空文庫>
  15.  一九四七年の文学の動向として大へん目立つことは大体三つあると思います。 その一つは、一九四六年中は戦争に対する協力者としての活動の経験から執筆をひかえていたどっさりの作家が、公然と活動をはじめたことです。これは日本の政・・・<宮本百合子「一九四七・八年の文壇」青空文庫>
  16. ・・・        『新日本文学』の業績と課題 さて、このように錯綜し、紛糾している今日の文学の動向の間にあって、『新日本文学』はこの一年に、どういう文学的創造能力を発揮してきたでしょう。 新日本文学会としての組織活動の成果・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  17. ・・・中国文化に対する私共作家の理解は、何卒そういう感を、進歩的であり誠実である中国の人々に抱かせないですむぐらい正確且つ健全な歴史性の動向に沿ったものでありたいと思う。例えば芥川龍之介氏の支那游記と、〔十三字分伏字〕とでは、既に文化の感情が本質・・・<宮本百合子「中国文化をちゃんと理解したい」青空文庫>
  18. ・・・ ジャーナリズムは夥だしい功罪ともども読者を捕えてゆくのではあるが、そのためには読者の人間的社会的意欲の動向を敏活にとらえ反映して展開させなければジャーナリズムは実利上にも成立たない。ここに、現代ジャーナリズムに対する読者の声、要求の深・・・<宮本百合子「微妙な人間的交錯」青空文庫>
  19. ・・・作家と読者との相関のいきさつのなかに文学の動向の諸相を明らかにしてゆく現実の作用は喪われて、批評はそれを書くひとの主観の流れに応じて肆意的に自身の渦巻きを描くものとなった。批評の論理性の喪失、その随筆化ということがその頃一般の注目をひいたの・・・<宮本百合子「文学精神と批判精神」青空文庫>
  20. ・・・今日及び明日の作家には、文学の大道から、今日おびただしい犠牲を通じて行われている心を痛ましめる衝突と一刻も早く望まれる最善の解決とを、歴史性の動向につき入って観察し描破しようとする熱意、力量の蓄積、鍛練が希望されている筈である。  ・・・<宮本百合子「文芸時評」青空文庫>
  21. ・・・各論文は、当時の文学的動向に対して常に緊要と認められた問題にふれているばかりでなく、プロレタリア文学の若き一人の支持者として「『敗北』の文学」を書き、又「過渡時代の道標」を書いた筆者自身が、かかる急速な左翼文化・文芸運動の波の裡にあって、強・・・<宮本百合子「『文芸評論』出版について」青空文庫>
  22. ・・・円本時代に頻出した作家たちの海外漫遊は、ある一部の日本の作家達の経済的向上を語ったと同時に、微妙な独特性でその後におけるそれらの作家達の社会的動向に影響を及ぼした。 一九二九年以来、世界の事情は急変した。久米正雄氏が嘗て美しい夫人を伴っ・・・<宮本百合子「「迷いの末は」」青空文庫>
  23. ・・・私はこうした立場から終戦後の文化動向に関する一般報告を文化、芸術の面から行いたいと思う。〔一九四七年七月〕<宮本百合子「明瞭で誠実な情熱」青空文庫>
  24. ・・・ある人々の主観の中での昂りでなく、人間生活の歴史的動向に沿うて上昇し発展されなければなるまい。子供を愛すことも出来ないで何のヒューマニズムぞやと云いすてるところから、今日人々が再び、子供を愛すとはどういうことなのだろう、ヒューマニズムとはど・・・<宮本百合子「夜叉のなげき」青空文庫>