とうじ‐しゃ〔タウジ‐〕【当事者】例文一覧 30件

  1. ・・・しかもそれを当事者自身は何か英雄的行為のようにうぬ惚れ切ってするのですからね。けれどもわたしの恋愛小説には少しもそう云う悪影響を普及する傾向はありません。おまけに結末は女主人公の幸福を讃美しているのです。 主筆 常談でしょう。……とにか・・・<芥川竜之介「或恋愛小説」青空文庫>
  2. ・・・吾人は貞淑なる夫人のために満腔の同情を表すると共に、賢明なる三菱当事者のために夫人の便宜を考慮するに吝かならざらんことを切望するものなり。……」 しかし少くとも常子だけは半年ばかりたった後、この誤解に安んずることの出来ぬある新事実に遭遇・・・<芥川竜之介「馬の脚」青空文庫>
  3. ・・・それは前に掲げました実例通り、ドッペルゲンゲルの出現は、屡々当事者の死を予告するからでございます。しかし、その不安の中にも、一月ばかりの日数は、何事もなく過ぎてしまいました。そうして、その中に年が改まりました。私は勿論、あの第二の私を忘れた・・・<芥川竜之介「二つの手紙」青空文庫>
  4. ・・・何故と云えば一二年以前、この事件の当事者が、ある夏の夜私と差向いで、こうこう云う不思議に出遇った事があると、詳しい話をしてくれた時には、私は今でも忘れられないほど、一種の妖気とも云うべき物が、陰々として私たちのまわりを立て罩めたような気がし・・・<芥川竜之介「妖婆」青空文庫>
  5. ・・・ もっとも中年の恋がいかに薄汚なく気味悪かろうとも、当事者自身はそれ相応の青春を感じているのかも知れない。しかし私は美しい恋も薄汚ない恋もしてみようという気には到底なれない。情事に浮身をやつすには心身共に老いを感じすぎているのである。私・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  6. ・・・ いいかえれば、当事者はべつとして、その出来事を知っているものは、大阪中にただ一人しかいない――ということになる。 その意味では、その目撃者はかなり重要な人物だと、云ってもよいから、まずその姓名を明らかにして置こう。 小沢十吉…・・・<織田作之助「夜光虫」青空文庫>
  7. ・・・場合には、自然に且つ多くの場合に当事者の無意識の間に、色々の拘束障害が発生して来て、その研究は結局中止するか、あるいは研究者がそこを去る外はないようになることもないとは云われない。環境に適しないものの生存が自然に沮止されるのはこのような場合・・・<寺田寅彦「学問の自由」青空文庫>
  8. ・・・それでこの機会を利用して専売局に敬意を表すると同時に、当事者がますます煙草に関する科学的芸術的ないし経済的研究を進められて、今よりも一層優良な煙草を一層廉価で供給されんことを希望する次第である。・・・<寺田寅彦「ゴルフ随行記」青空文庫>
  9. ・・・そういう見地から見ると大地震が来たらつぶれるにきまっているような学校や工場の屋根の下におおぜいの人の子を集団させている当事者は言わば前述の箱根つり橋墜落事件の責任者と親類どうしになって来るのである。ちょっと考えるとある地方で大地震が数年以内・・・<寺田寅彦「災難雑考」青空文庫>
  10. ・・・不備に対して当事者を攻撃し誹謗する事よりもむしろ当事者の味方になり、そうして一般読者とともにその不備を除去する方法を講究する機関となる事を心がけたいものである。そういう心持ちがもう少しはっきり現われていさえすれば、現在の新聞でももう少し気持・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  11. ・・・しかし、当事者はそう思わず、主観的な歓喜と平安とを主張して終ったのであった。「或る女」の第二章はその部分だけを取扱って十分一つの長篇を描き得るものである。この部分の価値を若し作者が十分理解して少くとも前篇を構成していたら、「或る女」・・・<宮本百合子「「或る女」についてのノート」青空文庫>
  12. ・・・ そして、そういう現代の女性の比較的表現されていない気持は、後輩や娘たちが当事者として、異性との間に友情と恋愛の感情の区別をはっきり自覚しないでいろいろ混迷しているとおり、やはり事態に対して何となし判断の混乱におかれている場合がすくなく・・・<宮本百合子「異性の友情」青空文庫>
  13. ・・・ 見た眼がいいものを――という気持の出版当事者も悪いが、又装幀を引受けた美術家なるものもあまりに盲目的である。芸術的良心を痲痺させてしまって出版業者に動員されて、てんから恥ない所がありはすまいか、出版当事者美術家ともに大いに良心を覚醒さ・・・<宮本百合子「業者と美術家の覚醒を促す」青空文庫>
  14. ・・・曲った金品を取らせようとする人間とそれを取るか、取らぬかの判断は、当事者の廉潔心によるしかない立場におかれる人間との関係というものは、社会的などういう相互利害の関係から生じるのであろうか。最も根底的なこれらの人間関係の腐敗の原因は何処にある・・・<宮本百合子「暮の街」青空文庫>
  15. ・・・或る生活の中に生じる波瀾かっとうは非常に苛烈であって、異常であるが、それに対する理解が驚くべき見とおしによって貫かれていて、当事者がそれを悲劇以上の把握で捉えて生きぬく場合、それは文学に描かれて悲劇の程度に止っているであろうか。リヤ王なんか・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  16. ・・・ところが、不思議なことに、その作品のモデルだとみずから名乗って作品のその醜さが当事者たちの名誉を毀損する、法律に訴えると、ジャーナリズムに大きな声をあげた男女の作家があらわれた。 他人にわからない文壇生棲間のもつれでもあってのことだろう・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  17. ・・・双方が総ての意味で真面目である場合とすれば、 一、現今のように、何か異状な出来事の如く感ぜず冷静に、深い愛を以って、愛人達の生活のよき発展を助けること、相手がよいわるい、適不適と云うことは当事者達の生活経験によらなければ云えないことと心・・・<宮本百合子「子に愛人の出来た場合」青空文庫>
  18. ・・・転向文学という独特な通称がおこったほど、当時は過去を描いた作品がプロレタリア作家によって発表されたのであったが、その一貫した特徴は、文化運動を通じての活動によって法律の制裁をも受けた当事者たちの箇人的な意味での自己曝露であり、良心の苦悩の告・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  19. ・・・或る場合、この心理的動機は当事者である娘たちに自覚されていないことが多いのである。 さっき触れた朝日新聞の諸家の見解の中で山脇高女の先生である竹田菊子氏が、男装のレビューガール等を慕うのは「この頃は昔と違って結婚年齢がおくれているか・・・<宮本百合子「昨今の話題を」青空文庫>
  20. ・・・親、戸主の権威が不幸の原因とさえなっていた結婚というものは、当事者である男女の互の意志によってとりきめられ、互の協力によって維持されるべきものとなろうとしている。憲法で、男女同等の基本的人権が認められるようになった。それに準じて変更される民・・・<宮本百合子「世界の寡婦」青空文庫>
  21. ・・・しかし、この心理はいつもけっして、当事者たちによってその動機そのものを率直に示されません。昔のプロレタリア文学運動にたいする政治的偏向の批判とか、文学における世界観の課題にたいする過小評価、作家論の場合は平野謙の小林多喜二にたいする批評など・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  22. ・・・ 第二は、結婚生活を、全く当事者間の箇人的結合と云う点にだけ強調して、互の事業を完成させる為、又は、互の精神的肉体的欠点を後代に遺伝させない為、全然子供を期待しないもの。 最後に、非常な下層民で、生活の機能、人格価値などに対してはま・・・<宮本百合子「男女交際より家庭生活へ」青空文庫>
  23. ・・・ ある作家が、ただ実際はこうであったという自分なり人なりの経験にだけ頼って、その範囲内で一つの事件をみて小説を書いた場合、読者は必ずしもその作品から実際事件が当事者達に与えたような感銘を受取り得るとは限らない。屡々反対の結果が起っている・・・<宮本百合子「問に答えて」青空文庫>
  24. ・・・ ただこの場合、当事者の夫人の虚栄心が災いを引き起したという事が主として強調されていますが、私ども女にとっては、何か合点の行くような行かないような気がします。 女の虚栄心ということは、昔から一つの通俗的な世間道徳の戒めとなっており、・・・<宮本百合子「果して女の虚栄心が全部の原因か?」青空文庫>
  25. ・・・ 然し、それ等の事実に対する当事者、周囲の心の態度は、或る時代、社会によっていろいろに異う。今日、我々はどう考えても、ヘレナ一人のために、二つの部族と神々まで加えた戦争を惹起するような空想は、たとい一種のロマンスとしても実感を以て描くこ・・・<宮本百合子「深く静に各自の路を見出せ」青空文庫>
  26. ・・・日本文学の歴史において一つの画期を示したこの自我の転落は、当事者たちの主観から、未来を語る率直悲痛な堕落としては示されず、何か世紀の偉観の彗星ででもあるかのような粉飾と擬装の下に提示され、そこから、文学的随筆的批評というようなものも生じた次・・・<宮本百合子「文学精神と批判精神」青空文庫>
  27. ・・・協会は当事者として聴取者に求めている。「何事に対しても多数の人が銘々の意見や希望を投書によって率直に述べるということは其事業を大衆的に効果あらしめる最もよい手段であって、ラジオに対する欧米人の態度が丁度このよい例である。」と。更に「ラジオは・・・<宮本百合子「「ラジオ黄金時代」の底潮」青空文庫>
  28. ・・・の問題でなくて、当事者である男女の問題として扱われるようになった。「家」は、家庭を単位として扱われることになり、そこには夫と妻と子供たちとのひとかたまりが、基本として考えられるようになった。「家」の嫁は、はっきりと夫の妻、子の母、としての立・・・<宮本百合子「離婚について」青空文庫>
  29. ・・・母権時代は、現実の上には遠く遙かに過ぎ去っているのであったから、そういう主張をした婦人たち自身の恋愛や結婚にしろ、わずかに当事者たちの選択の自由、自主性、を示し得たに止った。そしてその女性たちの選択の自主性が、はたしてどれだけ人間的に社会的・・・<宮本百合子「若き世代への恋愛論」青空文庫>
  30. ・・・それは、工場、官庁その他の公共的な場面に働く勤務者が、私たちと全く同様な生活の必要から一定の要求をすると、当事者たちは、その要求を拒絶出来ない代り、忽ち、その結果を、一般市民これを見よ、とでもいう風な、其々の部門での値上りとして反映させるこ・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>