どう‐しつ【同室】例文一覧 13件

  1. ・・・若し又多少でも僕等の間に不評判になっていたとすれば、それはやはり同室だった菊池寛の言ったように余りに誰にもこれと言うほどの悪感を与えていないことだった。………「だが君の厄介になるのは気の毒だな。僕は実は宿のこともBさんに任かせっきりにな・・・<芥川竜之介「湖南の扇」青空文庫>
  2. ・・・酒色を好まず、出たらめを云わず、身を処するに清白なる事、僕などとは雲泥の差なり。同室同級の藤岡蔵六も、やはり謹厳の士なりしが、これは謹厳すぎる憾なきにあらず。「待合のフンクティオネンは何だね?」などと屡僕を困らせしものはこの藤岡蔵六なり。藤・・・<芥川竜之介「恒藤恭氏」青空文庫>
  3. ・・・「ちょっと御挨拶を申上げます、……同室の御婦人、紳士の方々も、失礼ながらお聞取を願いとうございます。私は、ここに隣席においでになる、窈窕たる淑女。」 彼は窈窕たる淑女と云った。「この令嬢の袖を、袂をでございます。口へ挟みました旅・・・<泉鏡花「革鞄の怪」青空文庫>
  4. ・・・ 午後三時ごろ、学校から帰ると、私の部屋に三人、友だちが集まっています、その一人は同室に机を並べている木村という無口な九州の青年、他の二人は同じこの家に下宿している青年で、政治科および法律科にいる血気の連中でした。私を見るや、政治科の鷹・・・<国木田独歩「あの時分」青空文庫>
  5. ・・・赤い星というのであったか、とにかくそんな名前の童話雑誌に出ていた、何の面白味も無いお話で、或る少女が病気で入院していて深夜、やたらに喉がかわいて、枕もとのコップに少し残っていた砂糖水を飲もうとしたら、同室のおじいさんの患者が、みず、みず、と・・・<太宰治「苦悩の年鑑」青空文庫>
  6. ・・・嵐のせいであろうか、或いは、貧しいともしびのせいであろうか、その夜は私たち同室の者四人が、越後獅子の蝋燭の火を中心にして集まり、久し振りで打ち解けた話を交した。「自由主義者ってのは、あれは、いったい何ですかね?」と、かっぽれは如何な・・・<太宰治「十五年間」青空文庫>
  7. ・・・次郎兵衛は牢屋へはいってからもそのどこやら落ちつきはらった様子のために役人から馬鹿にはされなかったし、また同室の罪人たちからは牢名主としてあがめられた。ほかの罪人たちよりは一段と高いところに坐らされながら、次郎兵衛は彼の自作の都々逸とも念仏・・・<太宰治「ロマネスク」青空文庫>
  8. ・・・そうした場合に、同室にいる課長殿が、これは誰かに対する信号だということに気が付いたとしても、その信号を受けているのが室内のどの男だかということが分かりにくい。そこにこの信号の長所がある訳である。それで課長殿が窓際へ行って信号の出処を見届けよ・・・<寺田寅彦「異質触媒作用」青空文庫>
  9. ・・・なんでも昔寄宿舎で浜口雄幸、溝淵進馬、大原貞馬という三人の土佐人と同室だか隣室だかに居たことがある、そのときこの三人が途方もない大きな声で一晩中議論ばかりしてうるさくて困ったというのである。 この三人の方々に聞いてみたら何かしら学生時代・・・<寺田寅彦「埋もれた漱石伝記資料」青空文庫>
  10. ・・・それからしゃがれた声で早口に罵りはじめ、同室の婦人を指しては激烈に挑戦した。何を云っているかは聞取れない。巡査と駅員に守られて一旦乗船したが出船間際に連れ下ろされて行った。ついさっき暴れていたとは別人のようにすごすごと下りて行った後姿が淋し・・・<寺田寅彦「札幌まで」青空文庫>
  11. ・・・岡崎賢七とか云う人と同室へ入れられ、宅へ端書したゝむ。時計を見ればまだ三時なり。しかし六時の急行に乗る積りなれば落付いて眠る間もなかるべしと漱石師などへ用もなき端書したゝむ。ラムネを取りにやりたれど夜中にて無し、氷も梨も同様なりとの事なり。・・・<寺田寅彦「東上記」青空文庫>
  12. ・・・ これらの点より見れば、夫婦同室は決して面白きものにあらず。独身なれば、親戚朋友の附合もただ一方にして余計の心配なく、衣食住の物とて自分一人の気に任せて不自由なく、病気も一身の病気にして他人の病を憂うるに及ばざるに、ただ夫婦の約束したる・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  13. ・・・その布を見た同室の人が、あら、いいわねえ、みんなで早速人形つくりをはじめましょう、といったとき、「みんなですって、この布は私達のものよ。皆で作りたかったら、自分で行って布を貰ってくればいいでしょう。この布はあげられませんよ」女主人公はそうい・・・<宮本百合子「ことの真実」青空文庫>