とう‐しょ【投書】例文一覧 30件

  1. ・・・というものを投書した。ところがこの論理の不徹底な、矛盾に満ちた、そして椏者の言葉のように、言うべきものを言い残したり、言うべからざるものを言い加えたりした一文が、存外に人々の注意を牽いて、いろいろの批評や駁撃に遇うことになった。その僕の感想・・・<有島武郎「片信」青空文庫>
  2. ・・・――…………………それで主人は、詩をつくり、歌を読み、脚本などを書いて投書をするのが仕事です。画家 それは弱りましたな。けれど、末のお見込はありましょう。夫人 いいえ、その末の見込が、私が財産を持込みませんと、いびり出されるばか・・・<泉鏡花「山吹」青空文庫>
  3. ・・・当時の文壇の唯一舞台であった『読売新聞』の投書欄に「蛙の説」というを寄稿したのはマダ東校に入学したばかりであった。当時の大学は草創時代で、今の中学卒業程度のものを収容した。殊に鴎外は早熟で、年齢を早めて入学したからマダ全くの少年だった。が、・・・<内田魯庵「鴎外博士の追憶」青空文庫>
  4. ・・・の名声に動かされて勃興したので、坪内君がなかったならただの新聞の投書ぐらいで満足しておったろう。紅葉の如きは二人とない大才子であるが、坪内君その前に出でて名を成したがために文学上のアンビションを焔やしたのでさもなければやはり世間並の職業に従・・・<内田魯庵「明治の文学の開拓者」青空文庫>
  5. ・・・ 父親は偏窟の一言居士で家業の宿屋より新聞投書にのぼせ、字の巧い文子はその清書をしながら、父親の文章が縁談の相手を片っ端からこき下す時と同じ調子だと、情なかった。 秋の夜、目の鋭いみすぼらしい男が投宿した。宿帳には下手糞な字で共産党・・・<織田作之助「実感」青空文庫>
  6. ・・・文章倶楽部の愛読者通信欄に投書している文学少女を笑えません。いや、もっと悪い。私は先日の手紙に於いて、自分の事を四十ちかい、四十ちかいと何度も言って、もはや初老のやや落ち附いた生活人のように形容していた筈でありましたが、はっきり申し上げると・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  7. ・・・最初の一年はぼくは無我夢中で訳の分らぬ小説を書き、投書しました。急にスポーツをやめた故か、人の顔をみると涙がでる、生つばがわく、少しほてる。からだが松葉で一面に痛がゆくなる。『芸術博士』に応募して落ちた時など帯を首にまきつけました。ドストエ・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  8. ・・・その写真の綺麗な学生さんは芹川さんと、何とかいう投書雑誌の愛読者通信欄とでも申しましょうか、そんなところがあるでしょう? その通信欄で言葉を交し、謂わば、まあ共鳴し合ったというのでしょうか、俗人の私にはわかりませんけれど、そんなことから、次・・・<太宰治「誰も知らぬ」青空文庫>
  9. ・・・に、頭が悪いのです。もう、来年は、十九です。私は、子供ではありません。 十二の時に、柏木の叔父さんが、私の綴方を「青い鳥」に投書して下さって、それが一等に当選し、選者の偉い先生が、恐ろしいくらいに褒めて下さって、それから私は、駄目になり・・・<太宰治「千代女」青空文庫>
  10. ・・・という文字を使ったのが甚だ不都合だと云って、某新聞の投書欄でひどく腹を立てた人があった。歴史家も日本人なら、この投書家も日本人である。 老子にこんな言葉があった。「果而勿矜。果而勿伐。果而勿驕。果而勿不得止。果而勿強。」老子はなかなかフ・・・<寺田寅彦「雑記帳より(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  11. ・・・その頃の彼の悪戯の傑作は、Milton の sonnets をそのまま自作のような顔をして田舎新聞に投書したことである。勿論新聞は夢にも知らずにそれを掲載した。 十五歳の頃から写真を始めてかなり身を入れてやった。その外の娯楽は乗馬、クリ・・・<寺田寅彦「レーリー卿(Lord Rayleigh)」青空文庫>
  12. ・・・この間私が或る地方へ行ったらある新聞でそういう問題を出して小学生徒から答案の投書を募っていました。その中で自分の叔父さんが一番偉いという答を寄こしたのがあると聞いてはなはだ面白く感じました。自分の親父が天下一の人物だなどは至極好い了見で結構・・・<夏目漱石「中味と形式」青空文庫>
  13. ・・・『ホトトギス』所載の挿画 年の暮の事で今年も例のように忙しいので、まだ十三、四日の日子を余して居るにもかかわらず、新聞へ投書になった新年の俳句を病牀で整理して居る。読む、点をつける、それぞれの題の下に分けて書く、草稿へ棒を引・・・<正岡子規「ランプの影」青空文庫>
  14. ・・・ 今日の新聞では西尾末広の偽証罪が不問に附せられるかもしれないことについて、弁護士である人からの投書があった。有名なえらい人の偽証は無罪とされ、一般の人の偽証は犯罪とされているその点への疑惑が語られていた。裁判が精神的・物質的圧力から必・・・<宮本百合子「「委員会」のうつりかわり」青空文庫>
  15. ・・・ 新聞記事の出た前後、検事局の態度にあきたりない投書が、どっさりあった。この一事件は、猶予という形で落着したのであったが、考慮ある人々は、この一事件が暗示しているところが、どんなに深刻であるか、今日なおしばしば思いめぐらしているであろう・・・<宮本百合子「石を投ぐるもの」青空文庫>
  16. ・・・ さてこの投書は、前のとは少しちがってきて、一方では私の作品の真実が多数の人の心に生きる事実を認めはじめた。だがその一方で依然として「内容が一つ一つ逃げてゆく話」などという前の投書の言葉を、どうして素直にうけいれないのかと、河上氏は詰問・・・<宮本百合子「河上氏に答える」青空文庫>
  17. ・・・こちらの方は『ニュース・ウィーク』の投書欄にのっている。テキサスのトム・エフ・マンデンという人が七月十八日の『ニュース・ウィーク』にのったこの閲兵式の写真について、手紙をよこしているのだった。トム・マンデン氏は、そのエリザベス王女の写真が口・・・<宮本百合子「権力の悲劇」青空文庫>
  18. ・・・工場内には、はじめ、極く日常の出来事に関する感想を壁新聞に投書しているうち、ふと文学研究会へ出席するようになり、今では正規の労働通信員であると同時に、短篇小説や小評論をも書き出しているような若い男女が沢山ある。 婦人部の機関紙『労働婦人・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  19. ・・・ 四月号の時評だの、投書だののあっちこっちに赤線が引っぱってある。四月の時評は「戦争と私達の生計」を中心として、去年秋満州掠奪戦争がはじまってからの「死傷者の数」「軍費」その他中華ソヴェト、ソヴェト同盟の第二次五ヵ年計画の紹介などが書か・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  20. ・・・十八九の青年が投書しているのだが、自分は何とかして東京に出たい。村の生活は年寄たちが古風で理解がないばかりか、青年たちの生活もその内幕に入って見ると恐しいほど程度が低い。酒を飲むことと、夜遊びが唯一のたのしみで、本さえ手に入れることはできな・・・<宮本百合子「今日の文化の諸問題」青空文庫>
  21. ・・・最前列の女が席を立ってそれを舞台の上、演壇の下に出されてる投書受箱へ入れてきた。 ――タワーリシチ! 今夜盛大な第十回世界無産婦人デーの夕を持つことは実に愉快であります。何々区ソヴェトの心からの歓びを諸君に伝える為私は代表としてここに送・・・<宮本百合子「三月八日は女の日だ」青空文庫>
  22.  はなしはちょっとさかのぼるが、一月六日アカハタ「火ばな」に「宮本さんの話」という投書があった。一月も六日といえば、選挙闘争に本腰がはいって、その日の紙面もトップに田中候補が信州上田で藤村の「破戒に学ぼう」と闘っているニュー・・・<宮本百合子「事実にたって」青空文庫>
  23. ・・・の農民はうんと女房をなぐった。亭主のそれが情愛だといってなぐった。そういう時代はもちろん去った。けれどもモスクワ発行の『労働者新聞』の「自己批判」の投書に、こういうのが出ることがある。 パウマン区何々通五八番地、室十五号に住んでいる・・・<宮本百合子「スモーリヌイに翻る赤旗」青空文庫>
  24. ・・・という投書にもあらわれているように、労働者、小市民勤労者、農民、革命的インテリゲンツィアとしての学生までを、「勤労者文学」にこめて考えていても、生活の動きはきびしいから、でこぼこはひどくなる。労働者の文学は、プロレタリアートの文学として前衛・・・<宮本百合子「その柵は必要か」青空文庫>
  25. ・・・大衆的投書もある。文学サークルの連中の詩や小説ものる。 職場の新聞は、印刷の工場新聞をもっている工場でも各職場職場が手書きの壁新聞の型で発行している。五時間毎にかわる。これは、ほんとに職場の新聞で、職場の日常的なあらゆる感想、自己批判を・・・<宮本百合子「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」青空文庫>
  26. ・・・ ところが、きょうの新聞に奇怪な投書が掲載された。モラトリアム発表前の十六日、正金銀行で、課長以上の行員たちが殆ど全部現金を五円札に代え、前交易営団総務課長は、二十万円の金を五円札で引き出したという事実である。おそらく、現にその手で事務・・・<宮本百合子「人間の道義」青空文庫>
  27. ・・・然し現在各地の農村工場から送られて来る通信員の報告又は投書などには、その質において百の大田洋子が寄っても書けないいいものがあります。 文学の隆盛は階級の隆盛と密接に結びついています。一定の階級が勃興期にある時はその階級の文学も隆興し、そ・・・<宮本百合子「婦人作家の「不振」とその社会的原因」青空文庫>
  28. ・・・「ある女のひとが投書しているんですけれどね、電車のなかで私たちみたいな女がドストイェフスキーみたいな厚いむずかしいものなんかをよんでいるのを見かけるが、果して彼女達はどこまで理解してよんでいるのだろう、って云うんです。電車の中なんかでは・・・<宮本百合子「二人いるとき」青空文庫>
  29. ・・・に一読者よりとしての投書でのせられていた。「前略、万葉古義を拵えることも勿論立派な仕事と思いますが、而し民衆はそういうものよりも、もっと生活に喰いこんだものを求めているのではないでしょうか。略」 ぼんやりした表現で書かれていたけれども、・・・<宮本百合子「文学における今日の日本的なるもの」青空文庫>
  30. ・・・だから文学サークルが目下小説を書いている人たちだけの中心勢力で指導されていて他のより多くの人はいわゆる文学愛好家の水準にとどまって、心まかせの投書雑誌向きな詩や小品ばかりを書いているという状態は、できるだけ早く発展させられなければならないで・・・<宮本百合子「平和運動と文学者」青空文庫>