どう‐じょう【同乗】例文一覧 14件

  1. ・・・で、その、ちょっとあらかじめ御諒解を得ておきたいのですが、お客様が小人数で、車台が透いております場合は、途中、田舎道、あるいは農家から、便宜上、その同乗を求めらるる客人がありますと、御迷惑を願う事になっているのでありますが。」「ははあ、・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  2. ・・・その頃はマダ合乗俥というものがあったが、沼南は夫人と共に一つ俥に同乗して葬列に加わっていた。一体合乗俥というはその頃の川柳や都々逸の無二の材料となったもので、狭い俥に両性がピッタリ粘着き合って一つ膝掛に纏まった容子は余り見っともイイものでは・・・<内田魯庵「三十年前の島田沼南」青空文庫>
  3. ・・・それで二日の午前に、まず第一に陸軍から、大橋特務曹長操縦、林少尉同乗で、天候の観測をするよゆうもなく、冒険的に日光へ飛行機をかり、御用邸の上をせんかいしながら、「両陛下が御安泰にいらせられるなら旗をふって合図をされたい」としたためたかきつけ・・・<鈴木三重吉「大震火災記」青空文庫>
  4. ・・・そのガラス窓を隔ててすぐそこに、信濃町で同乗した、今一度ぜひ逢いたい、見たいと願っていた美しい令嬢が、中折れ帽や角帽やインバネスにほとんど圧しつけられるようになって、ちょうど烏の群れに取り巻かれた鳩といったようなふうになって乗っている。・・・<田山花袋「少女病」青空文庫>
  5. ・・・この工事を県当局で認可する交換条件として上高地までの自動車道路の完成を会社に課したという噂話を同乗の客の一人から聞かされた。こうした工事が天然の風致を破壊するといって慨嘆する人もあるようであるが自分などは必ずしもそうとばかりは思わない。深山・・・<寺田寅彦「雨の上高地」青空文庫>
  6. ・・・この歌が街頭へ飛び出して自動車のおやじから乗客の作曲家に伝染し、この男が汽車へ乗ったおかげで同乗の兵隊に乗り移る。兵隊が行軍している途中からこの歌の魂がピーターパンの幽霊のような姿に移って横にけし飛んだと思うと、やがて流浪の民の夜営のたき火・・・<寺田寅彦「音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」青空文庫>
  7. ・・・何某講と染め抜いた揃いの手拭を冠った、盛装に草鞋ばきという珍しい出で立ちの婦人の賑やかに陽気な一群と同乗した。公園の入口にはダリアが美しく咲いて森閑とした園内を園丁が掃除していた。子供の時分によく熱病をわずらって、その度に函館産の氷で頭を冷・・・<寺田寅彦「札幌まで」青空文庫>
  8. ・・・ 同乗の小学生を注意して見ると、もちろんみんな違った顔であるが、それでいて妙にみんなよく似た共通の表情がある。軍人を見てもやっぱりそうであるらしい。これがどうしてそうなるかを突きとめる事はある人々にきわめて重大な問題であると思われる。わ・・・<寺田寅彦「写生紀行」青空文庫>
  9. ・・・この場合には自分のわずかな時間と労力の節約のために他の同乗者のおのおのから数十秒ずつの時間を強要し消費することになるのである。これも遠慮したほうがよさそうに思われる。 しかし、昇降機のほうから言えば何階で止まるも止まらぬのもたいした動力・・・<寺田寅彦「蒸発皿」青空文庫>
  10. ・・・また仁明天皇の御代に僧真済が唐に渡る航海中に船が難破し、やっと筏に駕して漂流二十三日、同乗者三十余人ことごとく餓死し真済と弟子の真然とたった二人だけ助かったという記事がある。これも颱風らしい。こうした実例から見ても分るように遣唐使の往復は全・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  11.  電車の中で試みに同乗の人々の顔を注意して見渡してみると、あまり感じの好い愉快な顔はめったに見当らない。顔色の悪い事や、眼鼻の形状配置といったようなものは別としても、顔全体としての表情が十中八、九までともかくも不愉快なもので・・・<寺田寅彦「電車と風呂」青空文庫>
  12. ・・・してまた上野行に乗込み、さて車内の乗客を見渡すと、先刻行きに同乗した見覚えの顔がいくつも見つかったそうである。多分みんな狐につままれたような顔をしていたことと想像される。 地味な科学者の中でさえも「新しいもの好き」がある。新しいもの好き・・・<寺田寅彦「猫の穴掘り」青空文庫>
  13. ・・・ ヴェスヴィオの麓までの馬車には年取った英国人の夫婦と同乗させられた。英国の婆さんは英語のわからぬ御者というものがこの世に存在し得るという事実だけは夢想することも出来ないように見えた。しかし裾野の所々に熟したオレンジの畑は美しく、また日・・・<寺田寅彦「二つの正月」青空文庫>
  14. ・・・ 謡をうたう、同乗の子供に「お嬢さん、何か音が聞えますか?」 自分の謡のことを云うなり、子供わからず「……」「ねえ嬢ちゃん何の音だろう」 又謡をうたう。母親「何でしょうね」と世辞にいう。 子供・・・<宮本百合子「一九二七年春より」青空文庫>