とう‐た〔タウ‐〕【×淘汰】例文一覧 20件

  1. ・・・音文字が採用されて、それで現すに不便な言葉がみんな淘汰される時が来なくちゃ歌は死なない。B 気長い事を言うなあ。君は元来性急な男だったがなあ。A あまり性急だったお蔭で気長になったのだ。B 悟ったね。A 絶望したのだ。B・・・<石川啄木「一利己主義者と友人との対話」青空文庫>
  2. ・・・もっとも、淘汰した者も全然ないわけではなく、たとえば、売上げ金費消の歴然たる者は、罪状明白なりとして馘首、最初の契約どおり保証金は没収した。 しかし、これとても全然はなからの計画ではなく、冷酷といってしまえばそれまでだが、敢えて「あばく・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  3. ・・・     五 相互選択と男性のイニシアチヴ 青年男女はその性の選択によって相互に刺激し合い、創造と淘汰との作用がおのずと行われる。青年や、娘の美の新しい型が生み出される。これは個人と個人との間だけでなく、ひとつのゼネレーショ・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  4. ・・・そういう者は男性の間で軽蔑せられ、淘汰されて滅びて行く。 だから女性の人生における受持は、その天賦の霊性をもって、人生を柔げ、和ませ、清らかにし、また男子を正義と事業とに励ますことであろう。 がその女性の霊性というものは、やはり宗教・・・<倉田百三「女性の諸問題」青空文庫>
  5.  私は先夜、眠られず、また、何の本も読みたくなくて、ある雑誌に載っていたヴァレリイの写真だけを一時間も、眺めていた。なんという悲しい顔をしているひとだろう、切株、接穂、淘汰、手入れ、その株を切って、また接穂、淘汰、手入れ、し・・・<太宰治「豊島與志雄著『高尾ざんげ』解説」青空文庫>
  6. ・・・これは元来ダーウィンの自然淘汰説に縁をひいていて、自然の選択を人工的に助長するにある。尤もこの考えはオリンピアの昔から、あらゆる試験制度に通じて現われているので、それ自身別に新しいことではないが、問題は制度の力で積極的にどこまで進めるかにあ・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  7. ・・・これは適者生存自然淘汰の原理によって、元来寒暖計などあるまじき原始人の風呂場にあった寒暖計が、当然に自然に消失したものであろう。 チャムバーレンという人が云った皮肉な詞に「日本人に独自なものは風呂桶とポエトリーだけだ」というのがある。そ・・・<寺田寅彦「家庭の人へ」青空文庫>
  8. ・・・古い村落は永い間の自然淘汰によって、颱風の害の最小なような地の利のある地域に定着しているのに、新集落は、そうした非常時に対する考慮を抜きにして発達したものだとすれば、これはむしろ当然すぎるほど当然なことであると云わなければならない。 昔・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  9. ・・・旧村落は「自然淘汰」という時の試練に堪えた場所に「適者」として「生存」しているのに反して、停車場というものの位置は気象的条件などということは全然無視して官僚的政治的経済的な立場からのみ割り出して決定されているためではないかと思われるからであ・・・<寺田寅彦「天災と国防」青空文庫>
  10. ・・・それがだんだんに三十一文字の短歌形式に固定して来たのは、やはり一種の自然淘汰の結果であって、それが当時の環境に最もよく適応するものであったためであろう。それには、この詩形が国語を構成する要素としての語句の律動の、最小公倍数とか、最大公約数と・・・<寺田寅彦「俳句の型式とその進化」青空文庫>
  11. ・・・それがいつとはなしに自然淘汰のふるいにでもかけられたかのようにいろいろな異分子が取り除かれて五と七という字数の交互的連続に移って行っている。こういう現象は決して権勢の力や金銭の力で招致することのできないものであって、やはり進化論的の意味での・・・<寺田寅彦「俳句の精神」青空文庫>
  12. ・・・上層と下層における魚類の色を自然淘汰によって説明した動物学者があるが、その基礎とするところは海中における光の吸収の研究である。また海岸の森林が魚類に如何なる影響があるかという問題があるが、これもいわゆる魚視界と名づける光学上の問題が多少関係・・・<寺田寅彦「物理学の応用について」青空文庫>
  13. ・・・そこで材料は第二段の淘汰を受けることになる。次には前々句よりももっと前の句列いったいへの考慮であって、そこにはたとえば人事の葛藤があまり多く連続しておりはしないか、あまりに多くの客観的風物がもたれ込んでおりはしないかを考えて、そこでさらに第・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  14. ・・・ 出版不況は、戦後の浮草的出版業を淘汰したと同時に、同人雑誌の活溌化をみちびき出している。「先輩たちが同人雑誌を守って十年十五年と修業したのち、やっと文壇に出られた」そのような「同人雑誌本来の面目にかえる日が来たことを」火野葦平はよろこ・・・<宮本百合子「しかし昔にはかえらない」青空文庫>
  15. ・・・或は又、父自身が帰って来て、その辺につみ重ねてある不用の来信を整理するとき、例の調子で自分から破って淘汰の仲間入りをさせてしまったこともあったでしょう。 今日、私共にとって纏った記念としてのこっているのは、明治三十七年一月から明治四十年・・・<宮本百合子「中條精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」青空文庫>
  16. ・・・けれども、その絵の見えなくなった動機が画家そのひとの内部から自発したものでなかったり、ジャーナリズムの文化的成長の表現としての淘汰でなかったりして、全く外部の影響で、きょうは何でも云えるというようなもののちからで消されたとあれば、それにはや・・・<宮本百合子「日本文化のために」青空文庫>
  17. ・・・ やがて、せまい町の裏通りにまでモーターの音をさせていた便乗景気に、淘汰が行われて来た。企業整備という名でいわれたその淘汰は、喘ぎながらも便乗していた街の小工場、小ブローカーをつぶして、より大きい設備と資本に整備した。戦争が進むにつれ、・・・<宮本百合子「便乗の図絵」青空文庫>
  18. ・・・科学者の或る者は、自然の大律である淘汰の原則によって、そうであると云うかも知れません。生物学的の立場からのみすれば、その言も正しいかも知れない。けれども、思想の上から見ると、これ等、殆ど悲劇的な離反の大部分は皆各自の生活を、悠久な人類の歴史・・・<宮本百合子「われを省みる」青空文庫>
  19. ・・・んで左右へ立ち別かれ、眼の玉が金壺の内ぐるわに楯籠り、眉が八文字に陣を取り、唇が大土堤を厚く築いた体、それに身長が櫓の真似して、筋骨が暴馬から利足を取ッているあんばい、どうしても時世に恰好の人物、自然淘汰の網の目をば第一に脱けて生き残る逸物・・・<山田美妙「武蔵野」青空文庫>
  20. ・・・日本の文芸の作品は世界的な広い視野のなかでもっと厳重に淘汰されてよいのである。先生が思い切ってそれをやろうとせられなかったことは、今考えても惜しい気がする。 先生が京都で講義せられていたときのことを後に成瀬無極氏から聞いたことがある。成・・・<和辻哲郎「露伴先生の思い出」青空文庫>