とう‐ちゃく〔タウ‐〕【到着】例文一覧 30件

  1. ・・・彼等はそこへ到着すると、一々罪状を読み聞かされた後、太い角柱に括りつけられた。それから右にじょあんなおすみ、中央にじょあん孫七、左にまりやおぎんと云う順に、刑場のまん中へ押し立てられた。おすみは連日の責苦のため、急に年をとったように見える。・・・<芥川竜之介「おぎん」青空文庫>
  2. ・・・最後のペテルスブルグ生活は到着早々病臥して碌々見物もしなかったらしいが、仮に健康でユルユル観光もし名士との往来交歓もしたとしても二葉亭は果して満足して得意であったろう乎。二葉亭は以前から露西亜を礼讃していたのではなかった。来て見れば予期以上・・・<内田魯庵「二葉亭追録」青空文庫>
  3. ・・・それでも幾日かかかって、にぎやかな都に到着いたしました。「なるほど、にぎやかなきれいなところだ。いつも、お祭り騒ぎをしているところだ。」と、思いました。 からすは、さっそく、社の境内へ飛んでゆきました。するといままで、見慣れない鳥が・・・<小川未明「馬を殺したからす」青空文庫>
  4. ・・・薪や炭や、石炭を生産地から直接輸入して、その卸や、小売りをしているので、あるときは、駅に到着した荷物の上げ下ろしを監督したり、またリヤカーに積んで、小売り先へ運ぶこともあれば、日に幾たびとなく自転車につけて、得意先に届けなければならぬことも・・・<小川未明「空晴れて」青空文庫>
  5. ・・・格を持った人間であるが、車掌にどなりつけられ、足を踏みつけられ、背中を押され、蛆虫のようにひしめき合い、自分が何某という独立の人格を持った人間であることを忘れるくらいの目に会って、死に物ぐるいで奈良に到着し、息も絶え絶えになって御物を拝見し・・・<織田作之助「可能性の文学」青空文庫>
  6. ・・・ 点呼令状によれば点呼を受ける者は午前七時に点呼場へ出頭すべしとあったが、点呼場は市内にあり、朝の一番電車に乗っても午前七時に到着することはむつかしかったので、市内の親戚の家に泊ったのである。そしてその朝私は午前五時に起きて支度をし、タ・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  7. ・・・「一筆示し上げ参らせ候大同口よりのお手紙ただいま到着仕り候母様大へん御よろこび涙を流してくり返しくり返しご覧相成り候」 何だつまらない! と一人の水兵が笑いだした。水野はかまわず、ズンズン読む、その声は震えていた。「ついてはご自・・・<国木田独歩「遺言」青空文庫>
  8. ・・・それには、しかし、中隊が麓へ到着するまでに登って、様子を見て、おりてきなければならなかった。そうしなければ、また中隊長がやかましく云うのだ。 山のひだは、一層、雪が深かった。松木と武石とは、銃を杖にしてよじ登った。そこには熊の趾跡があっ・・・<黒島伝治「渦巻ける烏の群」青空文庫>
  9.  身には疾あり、胸には愁あり、悪因縁は逐えども去らず、未来に楽しき到着点の認めらるるなく、目前に痛き刺激物あり、慾あれども銭なく、望みあれども縁遠し、よし突貫してこの逆境を出でむと決したり。五六枚の衣を売り、一行李の書を典し・・・<幸田露伴「突貫紀行」青空文庫>
  10. ・・・道が真直についていれば早く到着するのだのにサ。君も知ているだろう、二点の間の最も近きは直線なりという訳サ。所がヒニクに道路が曲りくねッてついているのサ。爰だテ、なぜ道が曲ッてついているのだろう。これを研究したらば誰も真理を発明するのサ。余程・・・<幸田露伴「ねじくり博士」青空文庫>
  11. ・・・ 何だいあれあ、と口々にお祭を意味なく軽蔑しながら、三島の町から逃れ出て沼津をさしてどんどん歩き、日の暮れる頃、狩野川のほとり、江島さんの別荘に到着することが出来ました。裏口から入って行くと、客間に一人おじいさんが、シャツ一枚で寝ころんで居・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  12. ・・・ 水上駅に到着したのは、朝の四時である。まだ、暗かった。心配していた雪もたいてい消えていて、駅のもの蔭に薄鼠いろして静かにのこっているだけで、このぶんならば山上の谷川温泉まで歩いて行けるかも知れないと思ったが、それでも大事をとって嘉七は・・・<太宰治「姥捨」青空文庫>
  13. ・・・ その日、男爵は二時間ちかく電車にゆられて、撮影所のまちに到着した。草深い田舎であったが、けれどもかれは油断をしなかった。金雀枝の茂みのかげから美々しく着飾ったコサック騎兵が今にも飛び出して来そうな気さえして、かれも心の中では、年甲斐も・・・<太宰治「花燭」青空文庫>
  14. ・・・ 自分の到着前には雄が二羽いたそうである。その中の一羽がむやみに暴戻で他の一羽を虐待する。そのたびに今もいる鴨羽の雌は人間で言わば仲を取りなし顔とでもいったような様子でそば近く寄って行って、いつもとは少しちがった特殊な低い鳴き声を発して・・・<寺田寅彦「あひると猿」青空文庫>
  15. ・・・ 案内記が詳密で正確であればあるほど、これに対する信頼の念が厚ければ厚いほど、われわれは安心して岐路に迷う事なしに最少限の時間と労力を費やして安全に目的地に到着することができる。これに増すありがたい事はない。しかしそれと同時についその案・・・<寺田寅彦「案内者」青空文庫>
  16. ・・・あるいは突然銃声が聞こえて窓ガラスに穴をあける、そこでカメラが回転して行って茂みに隠れた悪漢に到着するといったような、いわゆる非同時的な音響配偶によっていろいろの効果が収め得らるるのである。「西部戦線」の最後の幕で、塹壕のそばの焦土の上に羽・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  17. ・・・自分が研究を積んで甲の説から乙の説に移りまた乙から丙に進んで、毫も流行を追うの陋態なく、またことさらに新奇を衒うの虚栄心なく、全く自然の順序階級を内発的に経て、しかも彼ら西洋人が百年もかかってようやく到着し得た分化の極端に、我々が維新後四五・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  18. ・・・行かなかったのは余の幸であるかはた不幸であるか、考うること四十八時間ついに判然しなかった、日本派の俳諧師これを称して朦朧体という 忘月忘日 数日来の手痛き経験と精緻なる思索とによって余は下の結論に到着した自転車の鞍とペダルとは何・・・<夏目漱石「自転車日記」青空文庫>
  19. ・・・だが最後に到着し、いつものプラットホームに降りた時、始めて諸君は夢から醒め、現実の正しい方位を認識する。そして一旦それが解れば、始めに見た異常の景色や事物やは、何でもない平常通りの、見慣れた詰らない物に変ってしまう。つまり一つの同じ景色を、・・・<萩原朔太郎「猫町」青空文庫>
  20. ・・・また徳川の時代に、江戸にいて奥州の物を用いんとするに、飛脚を立てて報知して、先方より船便に運送すれば、到着は必ず数月の後なれども、ただその物をさえ得れば、もって便利なりとして悦びしことなれども、今日は一報の電信に応じて、蒸気船便に送れば、数・・・<福沢諭吉「教育の目的」青空文庫>
  21. ・・・ これを要するに、開進の今日に到着して、かえりみて封建世禄の古制に復せんとするは、喬木より幽谷に移るものにして、何等の力を用うるも、とうてい行わるべからざることと断定せざるをえず。目今その手段を求めて得ざるものなり。論者といえども自から・・・<福沢諭吉「徳育如何」青空文庫>
  22. ・・・そのときあちこちの氷山に、大循環到着者はこの附近に於て数日間休養すべし、帰路は各人の任意なるも障碍は来路に倍するを以て充分の覚悟を要す。海洋は摩擦少きも却って速度は大ならず。最も愚鈍なるもの最も賢きものなり、という白い杭が立っている。これよ・・・<宮沢賢治「風野又三郎」青空文庫>
  23. ・・・そしてネネムはまちをこめた黄色の夕暮の中の物干台にフゥフィーボー博士が無事に到着して家の中に入って行くのをたしかに見ました。 そこでネネムは教室を出てはしご段を降りますと、そこには学生が実に沢山泣いていました。全く三千六百五十三回、則ち・・・<宮沢賢治「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」青空文庫>
  24. ・・・そのスナップには「写真班は、救急班の到着を待ちかねた」という意味のスクリプトがついている。 王女の生活の公式の面と私的な面とは、右の手と左の手のようなもので、聖書の文句にあるとおり、右手のなすところを左手にしらしむるなかれという関係にお・・・<宮本百合子「権力の悲劇」青空文庫>
  25. ・・・各国からの代表、歓び勇んでやって来たプロレタリア作家たちの到着だ。みんなは、みんなの母国語で歌った。が、モスクワの初冬の空気をツン裂いて、「ああインターナショナル」と歌われたとき、あらゆる国語の差別は消え全く一団の燃える声となって八・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  26. ・・・ ブレオーテの人、アウシュコルンがちょうど今ゴーデルヴィルに到着した。そしてある辻まで来ると、かれは小さな糸くずが地上に落ちているのを見つけた。このアウシュコルンというのはノルマン地方の人にまがいなき経済家で、何によらず途に落ちているも・・・<著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩「糸くず」青空文庫>
  27. ・・・ 寛永元年五月安南船長崎に到着候時、三斎公は御薙髪遊ばされ候てより三年目なりしが、御茶事に御用いなされ候珍らしき品買い求め候様仰含められ、相役横田清兵衛と両人にて、長崎へ出向き候。幸なる事には異なる伽羅の大木渡来いたしおり候。然るところ・・・<森鴎外「興津弥五右衛門の遺書」青空文庫>
  28. ・・・寛永元年五月安南船長崎に到着候節、当時松向寺殿は御薙髪遊ばされ候てより三年目なりしが、御茶事に御用いなされ候珍らしき品買求め候様仰含められ、相役と両人にて、長崎へ出向き候。幸なる事には異なる伽羅の大木渡来致しおり候。然るところその伽羅に本木・・・<森鴎外「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」青空文庫>
  29. ・・・ドレスデンではルイザの父オーストリア皇帝、プロシャ皇帝、同盟国の最高君主が一団となって、百十万余人の軍隊と共に彼ら二人の到着を出迎えた。 この古今未曾有の荘厳な大歓迎は、それは丁度、コルシカの平民ナポレオン・ボナパルトの腹の田虫を見た一・・・<横光利一「ナポレオンと田虫」青空文庫>
  30. ・・・先生はそこに到着するまでの種々の心持ちを製作の内に現わしている。『門』『彼岸過迄』『行人』『心』などはその著しいものである。ここにも開展のあとは認められる。『心』において極度まで押しつめられた生死の問題は、右の無頓着が著しくなるにつれて、一・・・<和辻哲郎「夏目先生の追憶」青空文庫>