どう‐てき【動的】例文一覧 30件

  1. ・・・その静的な一画面から次の画面への推移のリズムによって始めてそこに動的な効果を生じる。しかし映画の場合でもたとえばドブジェンコの「大地」などはほとんど静的な画面のモンタージュが多い。有名な「ポチョムキン」の市街砲撃の場面で、石のライオンが立ち・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  2. ・・・換言すれば映画芸術の要素としての律動的要素の優秀なるできばえである。従って一つの楽曲のおもしろさを貧弱な人間の「言葉」と名づける道具で現わすことが困難であると同様にこの映画の律動的和声的要素の長所を文字の羅列で置き換えようとすることは、始め・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  3. ・・・そうして最後の刹那の衝動的な変化をもっと分析して段階的加速的に映写したい。それから上野が斬られて犬のようにころがるだけでなく、もう少し恐怖と狼狽とを示す簡潔で有力な幾コマかをフラッシュで見せたい。そうしないとせっかくのクライマックスが少し弱・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  4. ・・・外の各種の舞踊に表われるような動的エネルギーの表出はなくて、すべてが静的な線と形の律動であるように思われた。 二番目の「地久」というのは、やはり四人で舞うのだが、この舞の舞人の着けている仮面の顔がよほど妙なものである。ちょっと恵比寿に似・・・<寺田寅彦「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  5. ・・・こういう意味ではいわゆる定常波もこの中に含まれてもいいわけであるが、この動的なそうしてすでによく知られて研究し尽くされた波形はしばらく別物として取り除いて、ここではそれ以外の natural, staticallyを含むイマジナリーな部分か・・・<寺田寅彦「自然界の縞模様」青空文庫>
  6. ・・・ただ、出来るなら、もう少し動的な排列にしたらどうかと思ったことであった。 二科の彫刻塑像には帝展などのとちがって何となく親しめるものが多い。自分は、彫刻を見た時に何となく両手の掌で撫でてみたくなるようなものならきっといいものだ、という妙・・・<寺田寅彦「二科展院展急行瞥見記」青空文庫>
  7. ・・・弓の毛髪と振動体とが複雑な週期的相対運動をしている際に摩擦係数がはたして静的係数と動的係数との間を不連続的に往復しているのか、それとももっと複雑な変化をしているのか、これについてはまだだれも徹底的に研究した人はないようである。 クントの・・・<寺田寅彦「日常身辺の物理的諸問題」青空文庫>
  8. ・・・なぜかと言えば、詩歌にはその言葉の連続によって生ずる一貫した企図の表現、平たく言えば筋書きがあって、その筋書きによって代表された一つのまとまった全体があり、そういう点では律動的でない戯曲や小説や紀行文や随筆やとも共通な要素をもっている。それ・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  9. ・・・そもそも日本の女の女らしい美点――歩行に不便なる長い絹の衣服と、薄暗い紙張りの家屋と、母音の多い緩慢な言語と、それら凡てに調和して動かすことの出来ない日本的女性の美は、動的ならずして静止的でなければならぬ。争ったり主張したりするのではなくて・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  10. ・・・よきにつけあしきにつけ主動的であり、積極的である男心に添うて、娘としては親のために、嫁いでは良人のために、老いては子のために自分の悲喜を殺し、あきらめてゆかねばならない女心の悶えというものを、近松は色彩濃やかなさまざまのシチュエーションの中・・・<宮本百合子「新しい船出」青空文庫>
  11. ・・・驟雨が今にも来ようとする前の自然は、独特に動的だ。椽側に立っている私の顔にさッと雨まじりの風がつめたく当った。風が樹々を揺る、揺る! ポプラーは狂気のように頭を振り、秋の葉を撒きちらす。松や杉は落付いているのに恐ろしい灰色雲の下で竹がざわめ・・・<宮本百合子「雨と子供」青空文庫>
  12. ・・・率直だ。動的で、生活的だ。 活溌な闘争にしたがう世界のプロレタリアートは、だから一方にはブルジョア社会への攻撃の武器として、他方には自己批判の武器として、諷刺をアレゴリーとはくらべものにならない効果で利用しているわけなのである。 プ・・・<宮本百合子「新たなプロレタリア文学」青空文庫>
  13. ・・・ 宗達の作品もいろいろであろうが、この作品のように清明で、精気こもった動的な美しさは、心から私たちをよろこばすものの一つだと思う。人間の艷、仕事の艷というものについて、宗達は、目から精神にそそぎ込む多くのものをもっているのである。 ・・・<宮本百合子「あられ笹」青空文庫>
  14. ・・・被動的に隠居仰せつけられその外力によって、社会関係の一部が変えられる迄は、さながら、自分からの解決の方法はないように旧態にとどまっている。ここが作者の人生態度としてもなかなか面白い点であろうと思う。忠直卿は、昔の殿様としてはびっくりするくら・・・<宮本百合子「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」青空文庫>
  15. ・・・パストゥールが、科学の示した真実についてどこまでも譲歩せず屈従せず其の真実性を守ったことから人類への福祉はもたらされたのだし、感動的な美がその物語のうちに生じたのであって、万一あれがクリスチャン・サイエンスの映画であったら、何の美しさや感動・・・<宮本百合子「科学の精神を」青空文庫>
  16. ・・・社会関係に対して動的な女性、単に習俗にしたがうよりも自分にとって人生の原則と感じられる動機によって行為を選択して生きる女性。ロマン・ロランは、アンネットによって、最も現代史を積極的に生きとおす可能をもった女性の発端の歩みを示したと思われる。・・・<宮本百合子「彼女たち・そしてわたしたち」青空文庫>
  17. ・・・台をなして実に活々と確かに歴史の現実の諸関係をつかみ出している科学者としての方法は、ミケルアンジェロの芸術の本質をはっきりと描き出しているのみならず、当時の複雑きわまる社会と芸術との活きた画が立体的に動的にくりひろげられてゆくその道すじに、・・・<宮本百合子「現代の心をこめて」青空文庫>
  18. ・・・ 物質の世界と心の世界とは、人間の文明の進むにつれて、だんだん野蛮な二元的解決から解放され、そのものの現実的でまた自然な動的な相互関係の統一のうえに理解されて来ている。 幸福というような、人間の社会生活の環境から生まれた一つの観念は・・・<宮本百合子「幸福の感覚」青空文庫>
  19. ・・・曲折にたえて、社会と個人の相互関係については、動的で柔軟な見とおしに立たなければならない必然が、こういうところからも説明されると思う。「伸子」の批判的――と云っても主として被抑圧的な者の立場からの照明を与えられている――リアリズムの方法・・・<宮本百合子「心に疼く欲求がある」青空文庫>
  20. ・・・雌が、ふるくからいるものに驚かされて、やたらに籠中を逃げ廻ったり、そうかと思うと呑気そうに羽づくろいや身じまいなどをする間に、雄は、攻撃的に、動的に、自分等の住居を決めようとする。文鳥が始めて来た時などは、特にそれが著しく、自分は興深いこと・・・<宮本百合子「小鳥」青空文庫>
  21. ・・・          五 あらゆる社会現象の理解のために、そして文学の正常な進展のためには、現代の歴史的な性格というものが動的につかまれなければならないわけだろう。その意味で、今日の文学の感覚の中で歴史性というものはどう見られ・・・<宮本百合子「今日の文学の諸相」青空文庫>
  22. ・・・能動的精神といい、ヒューマニズムといい、それぞれ熱心に討論されたのではあったろうが、社会全般の中で見ればやはり文壇をめぐっての抽象的な専門家間の論議に終っていたことである。この一二年来、日本の大衆の日常生活と生活感情とは、少なからずショック・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  23. ・・・主人公が父平助でなくて息子荘太郎であるということからは、作者が平助の側からその心理を叙しているよりもさらに描写に骨の折れる動的な葛藤、摩擦、若き精神の懊悩が小説の世界へ溢れでてくる。悲劇の最後で、失われる命が父平助のものであるにしろ、他のも・・・<宮本百合子「作品の主人公と心理の翳」青空文庫>
  24. ・・・で、著者は過去の理解が、現実の歴史との関係で文学史を静的なものとし、批評を動的なものとして区別をもったまま止っていた誤りを訂して、両者の職能を密接な関連のもとに統一することをこそ、批評の本質が批評家に求めているものとしてみている。こういうも・・・<宮本百合子「作家に語りかける言葉」青空文庫>
  25. ・・・ 現実を、その動的関係の中で把握しては、詩としての美が失われるのだと主張する人がある。そういうものだろうか? ほんとうにそう思うといえるのだろうか? 一九四五年の春、世界をどよもした叙事詩は、その人にとって美でなかったとすれば愕くべきこ・・・<宮本百合子「作家の経験」青空文庫>
  26. ・・・ロマン・ローランが我々の人間の精神上の幸、不幸の原因についてこの点にまで切りこんで行ったことはさすがに敬服に価する態度であるが、我々に負わされている肉体の健康、不健康の問題をもう一歩進んで動的なものと理解せず、どちらかと云えば個人的に宿命的・・・<宮本百合子「昨今の話題を」青空文庫>
  27. ・・・一名、動的生活。球の皮と皮との継ぎ目には“К”とスタンプが押してある。 一ヵ月経った。モスクワの春がむら気に近づいてきた。雪がひどく降った。 雪の中を私はいつも変らぬ我が道伴れとともに借室を見に行った。そこから日本大使館へ廻った。本・・・<宮本百合子「シナーニ書店のベンチ」青空文庫>
  28. ・・・この作品が道具立てとしてはさまざまの社会相の面にふれ、アクつよきものの諸典型を紹介しようと試みつつ、行間から立ちのぼって最後に一貫した印象として読者にのこされるものは、ある動的なもの、強靭で、肺活量の多いものを求めている作者の主観的翹望であ・・・<宮本百合子「十月の文芸時評」青空文庫>
  29. ・・・ルネッサンスは婦人の人間性も解放したけれどもその人間性は、デスデモーナにおいて、どんなにまで受動的であり、分別が不たしかであやうげなものだろう。私達の今日の常識でいえば、非常に大事なハンカチーフをなくした場合は、貴方からいただいたハンカチー・・・<宮本百合子「女性の歴史」青空文庫>
  30. ・・・ 政治的成長というものは、いってみればそのような撞着的事象の本体を洞察して、その間から何か積極的な合理的な人間生活建設の可能をとらえてゆく動的な生活的叡智、行動にほかならないのであろうと思う。そして、ある場合には、婦人の真の政治的な成熟・・・<宮本百合子「女性の歴史の七十四年」青空文庫>