とう‐べん〔タフ‐〕【答弁/答×辯】例文一覧 24件

  1. ・・・が、その答弁は参謀の心に、明瞭ならば明瞭なだけ、一層彼等を間牒にしたい、反感に似たものを与えるらしかった。「おい歩兵!」 旅団参謀は鼻声に、この支那人を捉えて来た、戸口にいる歩哨を喚びかけた。歩兵、――それは白襷隊に加わっていた、田・・・<芥川竜之介「将軍」青空文庫>
  2. ・・・ 本当をいうと、私は諸家の批評に対していちいち答弁をすべきであるかもしれない。しかし私は議論というものはとうてい議論に終わりやすくって互いの論点がますます主要なところからはずれていくのを、少しばかりの議論の末に痛切に感じたから、私は単に・・・<有島武郎「想片」青空文庫>
  3. ・・・中村氏に対しては格別答弁はしなかったが、広津氏に対してはすぐに答えておいた。その後になって現われた批評には堺利彦氏と片山伸氏とのがある。また三上於菟吉氏も書いておられたが僕はその一部分より読まなかった。平林初之輔氏も簡単ながら感想を発表した・・・<有島武郎「片信」青空文庫>
  4. ・・・ 耕吉は半信半疑の気持からいろいろと問訊してみたが、小僧の答弁はむしろ反感を起させるほどにすらすらと淀みなく出てきた。年齢は十五だと言った。で、「それは本当の話だろうね。……お前嘘だったらひどいぞ」と念を押しながら、まだ十二時過ぎたばか・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  5. ・・・その時の、男の答弁は正しいのです。また、その一言を信頼し、無罪放免した検事の態度も正しいのです。決してお互い妥協しているのではありません。男は、あの決闘の時、女房を殺せ! と願いました。と同時に、決闘やめろ! 拳銃からりと投げ出して二人で笑・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  6. ・・・もしあの、ヘラヘラ笑いの答弁が、官僚の実体だとしたなら、官僚というものは、たしかに悪いものだ。あまりに、なめている。世の中を、なめ過ぎている。私はラジオを聞きながら、その役人の家に放火してやりたいくらいの極度の憎悪を感じたのである。「お・・・<太宰治「家庭の幸福」青空文庫>
  7. ・・・私の答弁は、狡猾の心から、こんなに煮え切らないのでは無くて、むしろ、卑屈の心から、こんなに、不明瞭になってしまうのである。皆、私より偉いような気がしているし、とにかく誰でも一生懸命、精一ぱいで生きているのが判っているし、私は何も言えなくなる・・・<太宰治「鴎」青空文庫>
  8. ・・・二人づれで私のところにやって来ると、ひとりは、もっぱら華やかに愚問を連発して私にからかわれても恐悦の態で、そうして私の答弁は上の空で聞き流し、ただひたすら一座を気まずくしないように努力して、それからもうひとりは、少し暗いところに坐って黙って・・・<太宰治「散華」青空文庫>
  9. ・・・これに対して、うちの細君はこういう答弁を与えました。それは結局、あなた自身に創意と工夫が無いからだ、いまさら誰をうらむわけにはいかない、東京が空襲で焼かれるだろうという事は、ずいぶん前からわかっていたのだから、焼かれる前に何かしらうまい工夫・・・<太宰治「やんぬる哉」青空文庫>
  10. ・・・さとの必死の答弁も、一向に、役に立たなかった様子である。 さとは大いにしょげて、こそこそとお膳を片附け、てれ隠しにわざと、おほほほと笑いながら、またお膳を捧げて部屋から逃げて出て、廊下を歩きながら、泣いてみたいと思ったが、べつに悲しくな・・・<太宰治「ろまん燈籠」青空文庫>
  11. ・・・しかしレナードの急き込んだ質問は、冷静な、しかも鋭い答弁で軽く受け流された。 レナード「もし実際そんな重力の『場』があるなら、何かもっと見やすい現象を生じそうなものではないか。」 アインシュタイン「見やすいとか見やすくないとかいう事・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  12. ・・・ それはとにかく、自分たち平生科学の研究に従事しているものが全然専門の知識に不案内な素人からいろいろの問題について質問を受けて答弁を求められる場合に、どうかすると時々ちょうどこのヤルカンドの歯医者の体験したのとよく似た困難を体験すること・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  13. ・・・第一に、蓄音機の存在にかかわらず音楽放送が行なわれている事実がこれに対する一つの答弁であるが、そればかりではない、もっと重要なことがある。現在同刻に他所で起こりつつある出来事の音響効果の同時放送中に、過去における別の場所の音的シーンを適当に・・・<寺田寅彦「ラジオ・モンタージュ」青空文庫>
  14. ・・・と源さんの答弁は少々漠然としている。 白暖簾の懸った座敷の入口に腰を掛けて、さっきから手垢のついた薄っぺらな本を見ていた松さんが急に大きな声を出して面白い事がかいてあらあ、よっぽど面白いと一人で笑い出す。「何だい小説か、食道楽じゃね・・・<夏目漱石「琴のそら音」青空文庫>
  15. ・・・ この答弁は日高君に対してのみならず、世間の読者のうちで、まだコンラッドを知らずして、余の説と日高君の説の矛盾だけを見てその調和に苦しむ人のために草したのである。<夏目漱石「コンラッドの描きたる自然について」青空文庫>
  16. ・・・向後花袋君及びその他の諸君の高説に対して、一々御答弁を致す機会を逸するかも知れない。その時漱石は花袋君及びその他の諸君の高説に御答弁ができかねるほど感服したなと誤解する疎忽ものがあると困る。ついでをもって、必ずしもしからざる旨をあらかじめ天・・・<夏目漱石「田山花袋君に答う」青空文庫>
  17. ・・・それを苦に病んで御爺さんが医者に相談をかけますと、医者は何でも答弁する義務がありますから、さよう、海岸へおいでになって何とか云う貝を召し上がったら子供ができましょうよと妙な返事をしました。爺さんは大喜びで、さっそく細君携帯で仏蘭西の大磯辺に・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  18. ・・・故意だか偶然だか解りませんけれども勢い私はそれに対して答弁の必要が出て来ました。私は仕方なしに、その人のあとから演壇に上りました。当時の私の態度なり行儀なりははなはだ見苦しいものだと思いますが、それでも簡潔に云う事だけは云って退けました。で・・・<夏目漱石「私の個人主義」青空文庫>
  19. ・・・彼は『省察録』の第二答弁において証明 dmontrer の仕方に二通りあるという。一つは分析 analyse ou rsolution であり、一つは綜合 synthse ou composition である。分析とは、物が方法的に見出され・・・<西田幾多郎「デカルト哲学について」青空文庫>
  20. ・・・、内行の不取締、醜といわるれば醜なれども、詐偽・破廉恥にはあらず、また我が一身の有様は自ずから人に語るべからざる都合もあることなるに、斯くまでに酷言せずともなどといささか不平もありながら、さりとて何と答弁の辞もなくして甚だ苦しきことなるべし・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  21. ・・・実は私の方でもあの通り速記者もたのんであります、ご答弁は私の方の機関雑誌畜産之友に載せますからご承知を願います。で私のおたずね致したいことはパンフレットにもありました通り動物がかあいそうだからたべないとあなた方は仰っしゃるが動物というものは・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  22. ・・・次第次第に育って来る『働く婦人』をつぶす口実を、編輯長である私の答弁の中からひっぱり出そうとするわけです。 いくらブルジョア、地主の官憲がいけないといったところで、わたしら働く婦人みんな本当に腹から帝国主義戦争には絶対反対なのだし、雑誌・・・<宮本百合子「ますます確りやりましょう」青空文庫>
  23. ・・・ 米内首相の答弁ぶりは、一つも気の利いたところのないものであるが、答弁の精神的態度とでもいうべきものは、正面に自分の体の幅全体を向けて端然としているこのひとの体の構えと全く一致していて興味ふかい。壮重な声が一見、余りあたり前の、努力いた・・・<宮本百合子「待呆け議会風景」青空文庫>
  24. ・・・私が何をしていくかという質問を出された前では、ただ自分は爆けていき、はみ出して行きたいと望んでいると答えるより、今のところ答弁は見つかりそうもない。<横光利一「作家の生活」青空文庫>