とう‐ほう〔タウハウ〕【当方】例文一覧 7件

  1. ・・・――あの、実は、今しがた、遠方のお客様から電報が入りまして、この三時十分に動橋へ着きます汽車で、当方へおいでになるッて事だものですから、あとは皆年下の女たちが疲れて寝ていますし……私がお世話を申上げますので。あの、久しぶりで宵に髪を洗いまし・・・<泉鏡花「鷭狩」青空文庫>
  2. ・・・と一方はいったが、それでも一方は信疑相半して、「当方はどうしても頂戴して置きます」と意地張った。そこで唐君兪は遂に真鼎を出して、贋鼎に比べて視せた。双方とも立派なものではあるが、比べて視ると、神彩霊威、もとより真物は世間に二ツとあるべきでな・・・<幸田露伴「骨董」青空文庫>
  3. ・・・て、私のみに非ず、菊子姉上様も、貴方へのお世話のため、御嫁先の立場も困ることあるべしと存じられ候ところも、むりしての御奉仕ゆえ、本日かぎりよそからの借銭は必ず必ず思いとどまるよう、万やむを得ぬ場合は、当方へ御申越願度く、でき得る限りの御辛抱・・・<太宰治「帰去来」青空文庫>
  4. ・・・かならず、厳罰に附し、おわびの万分の一、当方の誠意かっていただきたく、飛行郵便にて、玉稿の書留より一足さきに、額の滝、油汗ふきふき、平身低頭のおわび、以上の如くでございます。なお、寸志おしるしだけにても、御送り申そうかと考えましたが、これ又・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  5. ・・・貴兄にとってはあれが力作かも知れませんが、当方ではあれでは迷惑ですし、あれで原稿料を要求されても困ると思います。いずれ、貴兄に機会があればお詫びするとして取敢えず原稿を御返却いたします。匆々。『秘中の秘』編輯部。」 月のない闇黒の一・・・<太宰治「二十世紀旗手」青空文庫>
  6. ・・・先方は立派な奥様で、当方は年期の明けた模範下女よろしくと云う有様だから、挨拶をするのも、ちょっと面はゆげに見えたんでしょうが、思い切って、おやまあ御珍らしい事とか何とか話かけて見ると案のごとく、先方では、もうとくの昔に忘れています。下女に近・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  7. ・・・ いらっしゃい! 当方は名代の三段がえし、旅順口はステッセル将軍と乃木大将と会見の場、サア只今! 只今! せり上り活人形大喝采一の谷はふたば軍記! 店々で呼び合う声と広告旗、絵看板、楽隊の響で、せまい団子坂はさわぎと菊の花でつまった煙突のよ・・・<宮本百合子「菊人形」青空文庫>