どう‐り〔ダウ‐〕【道理】例文一覧 31件

  1. ・・・が、ここで睡ってしまっては、折角の計略にかけることも、出来なくなってしまう道理です。そうしてこれが出来なければ、勿論二度とお父さんの所へも、帰れなくなるのに違いありません。「日本の神々様、どうか私が睡らないように、御守りなすって下さいま・・・<芥川竜之介「アグニの神」青空文庫>
  2. ・・・てな』と天理教のお歌様にもある通り、定まった事は定まったようにせんとならんじゃが、多い中じゃに無理もないようなものの、亜麻などを親方、ぎょうさんつけたものもあって、まこと済まん次第じゃが、無理が通れば道理もひっこみよるで、なりませんじゃもし・・・<有島武郎「カインの末裔」青空文庫>
  3. ・・・ 乏しい様子が、燐寸ばかりも、等閑になし得ない道理は解めるが、焚残りの軸を何にしよう…… 蓋し、この年配ごろの人数には漏れない、判官贔屓が、その古跡を、取散らすまい、犯すまいとしたのであった――「この松の事だろうか……」 ―・・・<泉鏡花「瓜の涙」青空文庫>
  4. ・・・ 母の心配も道理のあることだが、僕等もそんないやらしいことを云われようとは少しも思って居なかったから、僕の不平もいくらかの理はある。母は俄にやさしくなって、「お前達に何の訣もないことはお母さんも知ってるがネ、人の口がうるさいから、た・・・<伊藤左千夫「野菊の墓」青空文庫>
  5. ・・・それから、急に不評判になって、あの婆さんと娘とがいる間は、井筒屋へは行ってやらないと言う人々が多くなったのだそうだ。道理であまり景気のいい料理店ではなかった。 僕が英語が出来るというので、僕の家の人を介して、井筒屋の主人がその子供に英語・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  6. ・・・わたくしを生きながら元の道へお帰らせなさる事のお出来にならないのも、同じ道理でございます。幾らあなたでも人間のお詞で、そんな事を出来そうとは思召しますまい。」「わたくしは、あたたの教で禁じてある程、自分の意志のままに進んで参って、跡を振・・・<著:オイレンベルクヘルベルト 訳:森鴎外「女の決闘」青空文庫>
  7. ・・・自分の子供が可愛ければ、他の子供にもやさしくなるのは、この道理であります。 このことは、古今、東西、国を異にし、また種族を異にしても相違のある筈はないでありましょう。こゝに思い至るたびに、私は、戦争ということが、頭に浮び、心が暗くなるの・・・<小川未明「男の子を見るたびに「戦争」について考えます」青空文庫>
  8. ・・・をして横を見ると、呀と吃驚した、自分の直ぐ枕許に、痩躯な膝を台洋燈の傍に出して、黙って座ってる女が居る、鼠地の縞物のお召縮緬の着物の色合摸様まで歴々と見えるのだ、がしかし今時分、こんなところへ女の来る道理がないから、不思議に思ってよく見よう・・・<小山内薫「女の膝」青空文庫>
  9. ・・・ 繁昌らぬのも道理だ。家伝薬だというわけではなし、名前が通っているというわけでもなし、正直なところ効くか効かぬかわからぬような素人手製の丸薬を、裏長屋同然の場所で売っていて誰が買いに来るものか。 無論、お前もそのことは百も承知し・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  10. ・・・叔父が笑うのも道理で、鹿狩りどころか雀一ツ自分で打つことはできない、しかし鹿狩りのおもしろい事は幾度も聞いているから、僕はお供をすることにした。 十二月の三日の夜、同行のものは中根の家に集まることになっていたゆえ僕も叔父の家に出かけた、・・・<国木田独歩「鹿狩り」青空文庫>
  11. ・・・日蓮世間の体を見て、粗一切経を勘ふるに、道理文証之を得了んぬ。終に止むなく勘文一通を造りなして、其の名を立正安国論と号す。文応元年七月十六日、屋戸野入道に付して、古最明寺入道殿に進め了んぬ。これ偏に国土の恩を報ぜん為めなり。」 これが日・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  12. ・・・「そうか、そんなことをやりくさったんか。道理で、此頃、熊と伊三郎がちょん/\やっとると思いよった。くそッ!」 敷地にはずれた連中は、ぐゎい/\騒ぎ出した。敷地に這入るか、這入らないかは、彼等の家がつぶれるか、つぶれないかに関係してい・・・<黒島伝治「浮動する地価」青空文庫>
  13. ・・・それもその道理で、夫は今でこそ若崎先生、とか何とか云われているものの、本は云わば職人で、その職人だった頃には一通りでは無い貧苦と戦ってきた幾年の間を浮世とやり合って、よく搦手を守りおおさせたいわゆるオカミサンであったのであるし、それに元来が・・・<幸田露伴「鵞鳥」青空文庫>
  14. ・・・服従の世界なれば也。道理や徳義の此門内に入るを許さざれば也。 蓋し司法権の独立完全ならざる東洋諸国を除くの外は此如き暴横なる裁判、暴横なる宣告は、陸軍部内に非ざるよりは、軍法会議に非ざるよりは、決して見ること得ざる所也。 然り是実に・・・<幸徳秋水「ドレフュー大疑獄とエミール・ゾーラ」青空文庫>
  15. ・・・ある部分は道理だとも思うが、ある部分は明らかに他人の死殻の中へ活きた人の血を盛ろうとする不法の所為だと思う。道理だと思う部分も、結局は半面の道理たるに過ぎないから、矛盾した他の半面も同じように真理だと思う。こういう次第で心内には一も確固不動・・・<島村抱月「序に代えて人生観上の自然主義を論ず」青空文庫>
  16. ・・・の家がありますから、そこへ行ってお聞きになると、ひょっとしたら、わかるかも知れません、といいこと教えられ、なるほど消防とは気がつかなかった、鳶の者と言えば、火消しのことで、いまで言えば消防だ、なるほど道理だ、と勢い附いて、その教えられた横丁・・・<太宰治「おしゃれ童子」青空文庫>
  17. ・・・ みずから時計を出してみて、「道理だ」という顔をして、そのままポケットに収めた。 「何時です?」 「二時十五分」 二人は黙って立っている。 苦痛がまた押し寄せてきた。唸り声、叫び声が堪え難い悲鳴に続く。 「気の毒だナ・・・<田山花袋「一兵卒」青空文庫>
  18. ・・・という自明的な道理を忘れやすいから起こるのではあるまいか。 景色や科学的知識の案内ではこのような困難がある。もっとちがったいろいろの精神的方面ではどんなものであろうか。こっちにはさらにはなはだしい困難があるかもしれないが、あるいは事によ・・・<寺田寅彦「案内者」青空文庫>
  19. ・・・しかしだれもいないところでふれたって売れる道理はないのだから、やっぱりみんなの見ているところで怒鳴れるように修業しなければならない。 それからだんだん、ふれ声も平気で言えるようになり、天秤棒の重みで一度は赤く皮のむけた肩も、いつかタコみ・・・<徳永直「こんにゃく売り」青空文庫>
  20. ・・・なら、わしも定めし島流し、硯の海の波風に、命の筆の水馴竿、折れてたよりも荒磯の、道理引つ込む無理の世は、今もむかしの夢のあと、たづねて見やれ思ひ寝の、手枕寒し置炬燵。とやらかした。小走りの下駄の音。がらりと今度こそ格子が明いた。お妾は抜・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  21. ・・・繋がるるも道理じゃ」とアーサーはまたからからと笑う。「主の名は?」「名は知らぬ。ただ美しき故に美しき少女というと聞く。過ぐる十日を繋がれて、残る幾日を繋がるる身は果報なり。カメロットに足は向くまじ」「美しき少女! 美しき少女!」・・・<夏目漱石「薤露行」青空文庫>
  22. ・・・――尤も、船会社と、船会社から頼まれた海軍だけだったが―― やがて、彼女が、駆逐艦に発見された時、船の中には、「これじゃ船が動く道理がない」と、船会社の社長が言った半馬鹿、半狂人の船長と、木乃伊のような労働者と、多くの腐った屍とがあった・・・<葉山嘉樹「労働者の居ない船」青空文庫>
  23. ・・・悲しくてたまらなくなッて、駈け出して裏梯子を上ッて、座敷へ来て泣き倒れた自分の姿が意気地なさそうにも、道理らしくも見える。万一を希望していた通り、その日の夜になッたら平田が来て、故郷へ帰らなくともよいようになッたと、嬉しいことばかりを言う。・・・<広津柳浪「今戸心中」青空文庫>
  24. ・・・ 人或は言わん、右に論ずる所、道理は則ち道理なれども、一方より見れば今日女権の拡張は恰も社会の秩序を紊乱するものにして遽に賛成するを得ずとて、躊躇する者もあらんかなれども、凡そ時弊を矯正するには社会に多少の波瀾なきを得ず。其波瀾を掛念と・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  25. ・・・何でも気味の善い鳥とは思わなかったが、道理で地獄で鳴いてる鳥じャもの。今日は弔われのくたびれで眠くなって来た…………もう朝になったかしら、少し薄あかるくなったようだ。誰かはや来て居るよ。ハア植木屋がかなめを植えに来たと見える。しかしゆうべま・・・<正岡子規「墓」青空文庫>
  26. ・・・そして静かなところを、求めて林の中に入ってじっと道理を考えていましたがとうとうつかれてねむりました。全体、竜というものはねむるあいだは形が蛇のようになるのです。この竜も睡って蛇の形になり、からだにはきれいなるり色や金色の紋があら・・・<宮沢賢治「手紙 一」青空文庫>
  27. ・・・アメリカ委員会の活動は廃止さるべきものであり、鉄のカーテンはとけうるものであり、またとかせるべきものであり、利潤を追うあまりに戦争挑発のとびこみ台となる基本産業は国有にされたほうがよいと、誰にでもその道理がうなずける綱領を示したからであった・・・<宮本百合子「新しい潮」青空文庫>
  28. ・・・市街戦の惨状が野戦よりはなはだしいと同じ道理で、皿に盛られた百虫の相啖うにもたとえつべく、目も当てられぬありさまである。 市太夫、五太夫は相手きらわず槍を交えているうち、全身に数えられぬほどの創を受けた。それでも屈せずに、槍を棄てて刀を・・・<森鴎外「阿部一族」青空文庫>
  29. ・・・ 二人とも何やら浮かぬ顔色で今までの談話が途切れたような体であッたが、しばらくして老女はきッと思いついた体で傍の匕首を手に取り上げ、「忍藻、和女の物思いも道理じゃが……この母とていとう心にはかかるが……さりとて、こやそのように、忍藻・・・<山田美妙「武蔵野」青空文庫>
  30. ・・・「そうか、道理で顔が青いって。」「そうやろが。」「そしてこれから何処行きや?」「何処って、俺に行くとこあるものか。母屋に厄介になろうと思うて帰って来たのやが、秋公がお前、南の家は株内やぬかして、引っ張って来よったのや、ほんま・・・<横光利一「南北」青空文庫>