とお‐まき〔とほ‐〕【遠巻(き)】例文一覧 5件

  1. ・・・ 群がり集まって来た子供たちは遠巻きにその一人の子供を取り巻いた。すべての子供の顔には子供に特有な無遠慮な残酷な表情が現われた。そしてややしばらく互いに何か言い交していたが、その中の一人が、「わーるいな、わるいな」 とさも人の非・・・<有島武郎「卑怯者」青空文庫>
  2. ・・・猛々しい犬は、小屋をも遠巻きに取巻いて、波のように、うごめき呻っていた。月のかげんで、眼だけが、けい/\と光っているのも見えた。すぐさま、彼等は、銃を取った。そして小屋から踊り出た。 犬の群は、なか/\あとへは引かなかった。人間に襲いか・・・<黒島伝治「前哨」青空文庫>
  3. ・・・それを四方から遠巻きに取り囲んで口々に何か言っているのである。 聞いてみると、背中にねずみがはいっているというのである。着物の間か羽織の下かどのへんかと聞いてみても無意味な声を出すだけで要領を得ない。ねずみが動いたりするたびに妙な叫び声・・・<寺田寅彦「ねずみと猫」青空文庫>
  4. ・・・ 青年団や、消防組が、山を遠巻きにして、犯人を狩り出していた。が、青年団や消防組員は、殆んど小作人許りであった! 勿論、当局が小作人組合に眼を光らさぬ筈がない。けれども、監獄に抛り込んである首謀者共が、深夜そうっと抜け出して来て、ブ・・・<葉山嘉樹「乳色の靄」青空文庫>
  5. ・・・これは外の並木通りで、絞りをずっと縮めてゆくともう一本やっぱりクレムリンを遠巻きにして円く――そう! これが内の並木通りである。 並木通新聞という言葉がある。 先年、モスクワ駐在の不幸な一日本海軍武官が神経の故障から何か個人的問・・・<宮本百合子「子供・子供・子供のモスクワ」青空文庫>